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Saturday, February 12, 2022

秋吉 健のArcaic Singularity:保護者を悩ませる子どものスマホデビュー。買い与える際に注意すべき点を4つのポイントに分けて考える【コラム】 - S-MAX - S-MAX

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小中学生のスマホデビューについて考えてみた!

今の時代、小中学生の子どものいる家庭で大きな悩みごとと言えば、スマートフォン(スマホ)をいつ頃から持たせるのか、というものがあるかと思います。

小学生であれば「まだ早い」と一喝して済ませられることもあるかも知れませんが、「みんなもう持ってる」とか「持ってないと仲間はずれにされる」と言われてしまうと、与えざるを得なくなることもあるでしょう。

また中学生ともなれば「なんでスマホはダメなんだよ!」と、反抗期の親子喧嘩を増やす原因にもなりかねません。

悩ましいスマホデビューの時期には他にも多くの課題と親が知っておくべき知識や心構えが多数あります。保護者として子どものスマホデビューをどうサポートし、どう接していくべきなのでしょうか。

感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載コラム「Arcaic Singularity」。今回は小中学生のスマホデビューについて考察します。

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子どもたちにスマホを持たせるために必要な条件とは

■大半の小学生はすでにスマホを持っているという現実
はじめに、現在の小中学生がどの程度スマホを持っているのか調べてみましょう。

MMD研究所が2月4日に公開した「2022年1月初めてスマートフォンを持つ子どもと親のスマートフォン意識調査」によると、子どもに初めてスマホを買い与えた時期(初めてスマートフォンを購入する時期)が中学生以下の頃であると答えた保護者は、実に85.9%にも上りました。

さらに小学生以下でスマホを買い与えている保護者は57.4%にも上り、小学生未満、小学生、中学生、さらには高校生や大学生も含め、すべてのカテゴリーで2019年時よりもスマホデビューの低年齢化が加速しているという調査結果となっています。

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スマホデビューの低年齢化が止まらない

小学生の6割近くがスマホを持っているという事実自体に驚愕しますが、やはり気になるのはその使い方や家庭でのルール作りです。

スマホはいつでも連絡が取れるという点やGPSを内蔵していることから防犯アイテムでもあり、保護者の視点から子どもたちに持たせるメリットもあります。

しかしながら一方では、犯罪に巻き込まれたりSNSを使ったいじめなどの問題に加え、ゲーム依存や長時間利用による健康被害など、保護者の目が行き届かないところでのデメリットが多い点は常に悩みの種です。

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子どもにスマホを持たせた理由を見ても、保護者の苦労が垣間見える

■驚愕した「スマホを持たせる際のルール作り」の実態
そのような調査内容の中でも筆者が注目したのは、「子どもにスマートフォンを持たせたときのルール決め」という項目です。

犯罪を含めた重篤なリスクに遭遇することが十分予想される道具であるスマホを子どもに持たせるからには、家庭内で子どもとよく話し合いしっかりとしたルール作りを行うことが大前提だと考えますが、この設問への解答を見ると、「ルールを決めていない」と回答した保護者が21.6%もいるのです。

実に5世帯に1世帯は子どもたちとの対話やルール作りもなく、言わば野放しのようにしてスマホを使わせているのです。これはあまりにも危険且つ無責任な状況だと言わざるを得ません。

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ルール作りもなく子どもにスマホを持たせるなど言語道断だ

2020年に、小中学生のスマホユーザーの増加とフィルタリングサービスを利用することの重要性について本連載コラムでも執筆したことがあります。

当時のコラムでは、ネット上のみならずリアルでも子どもたちを驚異から護るという点でフィルタリングサービスが非常に有効であるという点を解説させて頂きました。

そういったフィルタリングサービスを利用することもまたルール作りの1つです。なぜフィルタリングしなければいけないのか、それがないとどういった危険があるのか、子どもたちが納得するまで話合う必要があるのです。

【過去記事】秋吉 健のArcaic Singularity:自分の子どもにスマホを持たせられますか?小・中学生のスマホ利用率増加とフィルタリングの重要性を考える【コラム】

スマホを何のルールも作らず自由に使わせるというのは、育児放棄と同等であるとすら感じるところです。

もちろん、上記の数字の裏を見れば、8割近い家庭ではしっかりと話し合っている点は評価すべきでしょう。

「子どもにスマートフォンを持たせる際に決めたルール」という項目を見ても、1日何時間までなら使っていいのか、どのようなサービスを使ってはいけないのかなど、さまざまなルール作りをしている様子が分かります。

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ルールを作っている家庭ではかなりしっかりとした話し合いをしている様子が見て取れるだけに格差が酷い

■子どもにスマホを持たせる際の4つのポイント
ルール作りを行っている家庭と行っていない家庭での深刻なリテラシー格差を感じるところですが、子どもたちにスマホをもたせる上で重要だと考える4つのポイントがあります。

・セキュリティ
・プライバシー
・リテラシー
・保護者が持つべき心構えと知識

セキュリティとは、前述のフィルタリングサービスの利用やアンチウィルスアプリの導入、さらに緊急時の連絡の仕方の訓練(練習と確認)などが挙げられます。

前述のように、スマホはさまざまなリスクを抱えた扱いの難しい道具であると同時に、保護者の目が届かないところで子どもたちを守れる強い武器でもあります。

その武器としての使い方や、スマホを使った身の守り方を教えるのもまた、保護者としての責任でしょう。

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大人でさえ陥る危険があるネット利用を、社会の仕組みすらほとんど知らない子どもたちに丸投げして良いはずがない

プライバシーはセキュリティと共に考えるべき課題です。

LINEのような「閉鎖的なコミュニティ」だけを利用していると、まるでそこでの会話やコミュニケーションは外の世界に繋がっていないかのように錯覚してしまいがちですが、実際はどのような情報も一瞬で世界中に拡散してしまうのがSNSの恐ろしさです。

大人になればSNSなどで発信して良い個人情報の取捨選択やフィルタリング(写真のぼかし処理など)もできるようになりますが、子どもたちにそれを徹底させることは非現実的です。だからこそ、保護者がしっかりとルールとして定め、守らせる必要があります。

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極論、個人情報は大人になるまで一切ネット上に出さないくらいのルールでも問題はない

リテラシーは子どもたちに教えるのが非常に難しいものです。そもそも対面でのリアルなコミュニケーションで必要なリテラシー(およびTPO)すら理解できていない場合も多くあります。

そのような子どもたちに「何故これをしてはいけないのか」を考えさせ、さらに理解させることはとても大変です。

しかしながら、その苦労なくしてスマホを持たせるべきではないとも考えます。ネットリテラシーのみならず、コミュニケーションリテラシーも重要です。いわゆる「立ち居振る舞い」を教え、子どもたちに「なるほど」と実感させた上で理解させることが大切です。

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リテラシーの在り方は、ネット上でもリアルでも大差はない

そして最後に忘れてはいけないのは、保護者たる大人の側の心構えと知識です。

子どもたちにスマホの扱い方やリスクへの対処を教え、スマホ自体にそういった仕組みを導入し、ルール作りを行い、適切なマナーとリテラシーを教えるには、まず保護者が見本とならなければいけません。

これは筆者の体験談になりますが、かつて学生時代にマナーやリテラシーの整わない大人を見て非常に残念に思うと同時に、そういった大人を少なからず見下していたことを覚えています。

それでも「あんな大人になるものか」と反骨精神とともに反面教師にしていれば問題はなかったのですが、「大人がちゃんとやってないんだからオレたちだってやらなくていいだろ」と開き直ることもしばしばありました。

子どもたちは大人が考えている以上にモノを考え、大人を見ています。ましてやそれが自分の親であれば尚の事です。親が模範となり見本となることで、子どもたちにスマホをどう扱うべきかを教えることもまた、非常に大切なことだと考えるところです。

保護者が子どもに手本を見せるためには、スマホに対する深い知識も必要になるでしょう。

「スマホはよく分からなくて……」などと普段から言っている親からスマホの使い方でとやかく注意されても、子どもにしてみれば「何も知らないくせに」と不満を爆発させるばかりです。

もはやスマホは生活必需品です。1日のうちで最も利用頻度の高いデジタル機器と言って良いでしょう。そのような道具なのですから、その正しい使い方や注意すべき点程度は子どもにしっかりと自信を持って教えられるように知識を身に付けておくことは、保護者としての義務だとすら感じます。

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まずは大人が手本を見せること。意外とそれが子どもたちにリテラシーやルールを知ってもらうための近道だったりする

■スマホについて、子どもとよく話し合って欲しい
子どもたちのスマホデビューの低年齢化はもはや止めることができない現実です。だからこそ、私たち大人や保護者がスマホのリスクから子どもたちを守りきらなければなりません。

決して子どもたちにスマホを買い与えるだけで放置するようなことがあってはならないのです。

子どもたちが自分でお金を稼いでスマホを買ったり月額料金を支払っているわけではない以上、すべての責任はスマホを買い与えた大人にあります。

子どもにスマホをもたせるのであれば、その責任もすべて背負うということをしっかりと理解した上で、子どもたちとスマホの使い方について話し合って頂きたいと思います。

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子どもは親の背中を見て育つ。親が手本となれることが何よりも大切だ

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