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Thursday, June 30, 2022

多様性を一つの価値観とは捉えない?民主主義のDXに挑むZ世代からみた同世代 | 株式会社リクルート - リクルート

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自分のアクションには何かを変える影響力なんてない。「自己効力感」が低い日本の空気を変えていくZ世代中心のスタートアップLiquitousのメンバーがみる今と描く未来とは。

1990年中盤以降生まれの「Z世代」が、いよいよ社会で活躍をはじめている。彼らはどんな社会背景を持って育ち、どのような価値観を持っているのだろうか。

今回話を聞いたのは、オンライン参加型合意形成プラットフォーム「Liqlid(リクリッド)」の開発・社会実装をすすめる株式会社Liquitous(リキタス)に所属するZ世代の3人だ。前編では民主主義のDXに挑むビジネスパーソンとしての側面を聞いたが、後半では主に3人だけでなく同世代を俯瞰して感じる共通点やそれをつくってきた社会背景について話を聞いた。

前編:「私達がやらないと国がなくなってしまう」Z世代が民主主義のDXに挑む理由

相手にログインできたらいいのに

── 前編で栗本さんと藤井さんは、小さい頃から政治に興味があったと話していましたね。どうして興味を持っていたのでしょうか。

栗本 私の関心は、政治というよりも統治でした。私は両親が共働き、かつ海外出張の多い家庭で育ちました。両親はよく海外から電話をくれたんです。バングラデシュ、シンガポール、アメリカ…電話が来るたびに、両親がいる国を図鑑で調べていました。

小学校に入学する頃、ふと「図鑑の中に自分の国がほしい」と思ったんです。そこで国旗や憲法、貨幣などを自分なりに考えて「国ごっこ」を始めたんです。

── 「国ごっこ」って、どんなことをしていたんですか?

栗本 コピー用紙を切って紙幣を、段ボールでパスポートをつくってみたり、インターネットでさまざまな憲法を調べてつくってみたり。まずは家族5人を国民にして、金魚のきんちゃんが6人目でした(笑)。国名も考えていましたよ。最初は「ヒロ王国」という王制の国でしたが、途中で共和制に変更したり、大統領選挙もやってみたりして(笑)。小学校では同級生と一緒に「会社ごっこ」もやっていました。メンバーを集めて、名刺をつくって。雑誌をつくって、独自の貨幣でビジネスの真似事をしていたんです。

中学校1年生ではクラスを代表して、生徒会に意見を伝える「生徒議会議員」に立候補しました。「議会」や「議員」というキーワードに惹かれたことがきっかけでしたが、実際に生徒会活動に関わることで「民主主義ってこういうことか」と実感。そこで、2年生からは生徒会に入り、中高合わせて副会長を3回、生徒会長もやりました。高校では全国的な生徒会のネットワークで、中心的な役割を果たすこともありました。日本全国の生徒会から制度の問題点を集めて、改善していくための議論をしたり、自分たちではどうにもならないことは国や文科省に提言することもありました。

── 「ごっこ」から、徐々に実際の政治や行政へと移っていったんですね。藤井さんはどうでしょう。

藤井 僕は栗本みたいに国を作った経験はありませんが(笑)、両親の仕事に影響を受けた点は一緒です。母親は障がいを持った子どものヘルパー、父親は生活保護が必要な人の相談窓口をやっていました。社会にはさまざまな事情を持つ人や社会的に弱い立場にいる人がいることを小さなころからなんとなく知っていたし、そういった人たちと僕たちの環境の間には格差があることもわかっていました。

でも、日本には民主主義という仕組みがあって、みんなに選ばれた政治家が代表者として政治をしている。本来であれば、政治家とはさまざまな課題を解決できるすばらしい仕事だと思うんです。でも、すべての人がそうとはいいませんが、不正や汚職の報道が絶えませんし、世間もそういったマイナスイメージに引っ張られている。本来の民主主義の仕組みも、政治の役割も十分に機能できていない。そんな状況が気になり、次第に政治や行政への関心が高まってきました。

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リサーチャー・オペレーターの藤井海さん

── 栗栖さんは集団心理に興味を持っていたと話していましたね。これはなぜだったのでしょうか。

栗栖 私も中学時代に生徒会の役員を務めており、その経験が大きいです。栗本のように学外の人とコミュニケーションをとっていたわけではないですが、学内で大人数の意見をまとめることが多くありました。学校という小さなコミュニティであっても多数派・少数派があり、まとめるのは簡単なことではありません。

また、コミュニケーションを取っていると、相手の真意がわからなかったり、自分の真意を伝えられなかったりすることも多い。そもそも自分が何を考えているかをメタ認知できていないこともあります。「相手にログインできたらいいのに」とよく考えていました。

── 相手にログイン?

栗栖 自分が誰かとコミュニケーションを取る時、目の前に見える相手の外側と、相手の心の奥にある内面は全然別のものだと思うんです。だから相手にログインして言葉にしない思いをわかることができればと。

こうしたことをより深く考えていくと、思考は社会の影響やフィルタリングの結果にも影響を受けていることに気付きました。そもそも環境のせいで本音が言えないときもあれば、本人が気づいていない本音がある場合もあるでしょう。そこを越えるためには個人に向き合うよりも社会全体と向き合ったほうがよいのではないかと思うようになったんです。

フレームワークは共通でも、それを通じて見ているものは違う

── 相手にログインという発想を中学生から持てるのがZ世代らしさかもしれないと思いました。みなさんは「Z世代」「Z世代らしさ」をどのように捉えていますか?

栗本 Z世代と言っても、世代共通の考えが定まっているわけではないし、人によってずいぶんと価値観が異なると思います。「この世代はこうだ」なんてラベリングできるようなものではない。例えば、Z世代はジェネレーションレフト(左派世代)なんて言われることもありますが、私は一概にそうとは思いません。ただその一方で、世の中を見るときのフレームワークはかなり共通していると思うんです。私が感じるフレームは主に3つです。

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代表取締役CEOの栗本拓幸さん

栗本 1つは、デジタルとアナログに関して。年上の人と話すと、「デジタル or アナログ」という二者択一にこだわる人が非常に多いですが、Z世代はデジタルかアナログかということにこだわりはないんです。純粋に「そのとき大切な手段」を選ぶだけ。

2つ目は、多様性について。これも上の世代の方と話をすると「多様性」を一つの価値観のように捉えている人が多いと感じます。でも、Z世代の多くは多様であることを前提として世の中を捉えている。

3つ目は、社会に対するある種の無力感について。私たちの世代は、世の中が今の延長線上では続かないと思っているし、何もしなければ現状維持はできるかもしれないけれども、良くなるとも思っていない。甘い期待や夢を持っていないんです。その結果として、人によっては刹那的になるかもしれないし、あるいは何とかしなきゃと思うかもしれない。

これらは、Z世代の多くが共通して持っているフレームワークだと思うんです。しかし、このフレームワークを通して何を見ているかというのは、かなり人によって違うのではないのかなという印象があります。

栗栖 栗本がいうところの多様性の話とも関連しますが、周りとの比較の仕方にZ世代の共通性があると思っています。過去も現在も集団生活が基本なので、Z世代も他の世代と同じように自分と他人を比較します。ただし、上の世代は周りと比べた時にいかに自分が「劣っていないか」を比較のものさしにしていたように思うんです。しかしZ世代は「何がぬきんでているか」という視点で周りと比べているのではないか、と。

一昔前のインターネットカルチャーは匿名が基本でした。自分の顔はもちろん、多くの場合は本名も出さない。でも今は自分の顔も声も出して、自分のパーソナリティをさらけ出して、人の共感を得ようとしています。だから自分のオリジナリティを探す方向に意識も向いている人が多いのかもしれません。この傾向は良くも悪くもリアクションされることが生きる上で重要なウェイトを占めてしまい、個性的であることが強迫観念になっていることもまた、Z世代の共通点だと思います。

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栗本さんと、リサーチャー・コミュニケーターの栗栖翔竜さん

栗本 共感の測り方も独特かも知れないです。少し上の世代は、いいね数やリツイート数など、定量的でわかりやすい数値を基準にしていました。しかし、Z世代は必ずしも定量的ではありません。圧倒的な数にリーチはできなくてもいいけど、わかる人には深くわかってほしいというような。

藤井 個性的という意味では、就活への価値観もずいぶんと変わってきていると思います。どんな仕事に就きたいかではなく、自分は人生で何をしたいかという考え方です。例えば、YouTuberとしてこれまで仕事にならなかったような自分の好きなことを仕事にもできるし、昔からあるような大きな会社の一社員として働くこともできる。いろんな選択肢ができたことで、仕事に就くことより手前から考えるようになった。

── 藤井さんの周囲にはどのように就活を考えている人が多いですか。

藤井 僕は『資本主義と民主主義の終焉――平成の政治と経済を読み解く』という本を書いた水野和夫先生のゼミにいるんですが、右肩上がりの経済成長が頭打ちになることを前提に考えてる人は少なくないと思います。周りには、演劇に進んだり、休学してみたりと、まずはお金よりも自分のやりたいことを選んだ人も多いですね。ある程度のお金を稼ぐ方法はいろいろあるから、それらを活用しながら自分のやりたいことをしようと。

栗本 藤井の言うような経済的な感覚や仕事への向き合い方には、実は地域差があると思います。仕事で地方を訪れて同世代と話すと、情報としては触れながらも周囲の価値観が変わっていないので結果的に旧来的な価値観が再生産されてしまう。情報が簡単に得られるようになった分、地方と都市部の価値観の差は広がっているという側面もあると思います。

栗栖 私は高校卒業するまで広島にいたので、地方と都市の差は強く感じます。都市のほうが圧倒的に選択肢が多い。とくに感じたのは、進路指導やサポート体制です。私はAO入試で大学受験をしたのですが、面接や志望理由書などの対策環境は圧倒的に都市のほうが有利だと感じました。そもそもAO入試を選ぶ学生の数が少ないですし、私の周囲には「そんな受験の仕方は認めない」というような人もいました。こうした教育や社会参加に対するハードルはあります。

栗本 高校時代に全国の同世代と話し、こうした地域における差を感じたこともまた、今の事業の原動力になっています。いくら都市で先端的な議論をしても、それが都市だけで終わってしまえば、社会に実装されたとは言えないと思うのです。

それぞれが描いている未来について

── 最後に、3人がそれぞれどんな未来を描いているかについて、教えてください。

栗栖 地方であろうと都市であろうと、どんな社会的な背景があっても、人それぞれが動き方や考え方を自由に決めることができる、その手段が用意されているのが社会のあるべき姿だと思っています。

ですから、私たちが進めている民主主義のDXの方法にすべての国民や市民を押し付けて参加させるようなものであってはならないと思うんです。あくまでも行政と市民のコミュニケーションの選択肢の一つとして、私たちの業務が浸透していってほしいと思っています。そのためにも、インフラと胸を張って言えるようなレベルまで整えていかねばならならないですね。

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藤井 例えば政治や社会への関心度だって、人それぞれだとは思っています。投票率が低いことも、いますぐ変えられることではない。僕たちがやっているのは、関心を持った人が自分の意見を伝えることができる仕組みづくりです。伝えるべきものがあるときはきちんと伝わる、伝えた声が行政などに反映される市民参加の仕組みの前提が整備されることで未来がすこしでも良くなればと思っています。

栗本 私たちは「一人ひとりが影響力を発揮できる社会」を目指しています。影響力とは、例えば誰かが国や行政に届けたい声があれば、届けることができる。あるいは、この社会を変えたいと思ったときに、社会を変えることができる、ということ。つまり、一人ひとりが「自分のアクションは何かを変える影響力がある」と実感することです。

日本では、若い方を中心に自己効力感が低いことがさまざまな調査などで明らかになっています。自己効力感とは、自分がある状況において「必要な行動をうまく遂行できる」と自分の可能性を認知していること。現状では多くの人が「自分の1票では世の中は変わらない」「自分がデモに参加したところで意味がない」と思っている。

これを解くには、市民の参加の仕方や仕組みづくり、ひいては統治の在り方自体を考え直さなければならない。つまり、「民主主義」という大きなキーワードを考え直す必要があると思うんです。

もちろん、それはすぐにできることではありません。だからこそ、事業としても持続可能なものにしなくてはなりませんし、一つひとつ着実に変化を積み重ねていくことが必要なんです。

プロフィール/敬称略

※プロフィールは取材当時のものです

栗本拓幸(くりもと・ひろゆき)

1999年生まれ。株式会社Liquitous 代表取締役CEO。市民の社会参加/政治参加にかかる一般社団法人やNPO法人の理事、地方議員コンサルタントなどとして活動。現場の声や自らの経験をもとに、デジタル空間上に、市民と行政をつなぐ「新しい回路」の必要性を確信し、2020年2月にLiquitousを設立。

藤井 海(ふじい・かい)

2000年生まれ。株式会社Liquitousリサーチャー・オペレーター。法政大学法学部政治学科を休学中。中学生の頃、デンマーク海外派遣に参加し、日本とデンマークの教育や政治などの社会システムの違いに衝撃を受ける。以来、政治に関心をもち、大学では主に経済分野から政治を学ぶ。

栗栖翔竜(くりす・しょうた)

2000年生まれ。株式会社Liquitousリサーチャー・コミュニケーター。慶應義塾大学総合政策学部に在学中。集団での研究活動などの経験から、「コミュニケーションのあり方」に関心を持つ。以来、郊外のコミュニティ運営を支援する学生団体の設立等に寄与したのち現職。大学では主にメディア政治学と精神分析学を学ぶ。

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Wednesday, June 29, 2022

総務省公募「周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」に採択 ーGNSSアンカーと単眼カメラを活用した多点測位システムを開発ー:時事ドットコム - 時事通信ニュース

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[株式会社コア]

5GまたはBeyond 5G実現後の社会における電波資源拡大へ貢献

株式会社コア(本社:東京都世田谷区、代表取締役 社長執行役員 松浪 正信、以下「コア」という。)は、総務省が募集した「令和4年度から新たに実施する電波資源拡大のための研究開発に係る提案公募」における「周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」について、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。)、FCNT株式会社と共同で応募し採択されましたのでお知らせいたします。
株式会社コア https://www.core.co.jp/

多点測位システムの研究開発

 5GまたはBeyond 5G実現後の社会において、各センサーや端末の時刻同期精度・位置精度を向上させることで、周波数資源の有効利用促進に貢献。

 5GまたはBeyond 5G実現後の社会においては、ドローン制御や自動運転をはじめ、長期的には無人工場や無人港湾の管理など、各センサーや端末間で位置データ・高解像度画像等のデータをリアルタイムに処理する必要のあるユースケースの実現が見込まれています。本研究開発では、小型民生機器に搭載可能な小型原子時計と、 それを活用し近距離通信において各端末で時刻情報を高精度に同期・管理する時刻同期基盤(以下「高精度時刻 同期基盤」)を確立するとともに、端末の位置情報を正確に把握するための時空間座標情報基盤を実現する多点測位システムを確立する研究開発を行います。これにより、各端末の時刻同期精度・位置精度を向上させ、時間軸や空間軸での周波数資源の有効利用促進を目指します。
 コアでは、準天頂衛星みちびきセンチメートル級測位補強受信機を使用した小型原子時計搭載GNSSアンカーと、単眼カメラを活用した多点測位システムの開発を実施します。センチメートル級の高精度受信機を使用することで、従来のGNSS受信機に比べて測位精度と周波数安定性を1桁向上させ、時空間の座標基準としてのアンカーを実現します。また、世界測地系に準拠した測位を非GNSS環境にも適用するために、空間的に離れた複数センサーによる物体位置推定と、異なるセンサーによる物体位置推定を検証する多点測位システムを実現します。

研究開発の背景

逼迫する周波数資源の有効活用には、無線ネットワーク の時刻同期精度の大幅な改善が必要不可欠
 ネットワークに接続されるIoTデバイスの数は今後も加速度的に増加することが見込まれています。また無線ネットワークにおいては、多数のモビリティ機器やセンサーの間で画像等の大量のデータをリアルタイムに送受信する用途が拡充されるために、通信量がさらに爆発的に増大することが危惧されています。このような周波数逼迫の問題に対し、単純な周波数帯域の拡充だけでは、各デバイスに搭載されるアンテナやフィルタ等が増加して小型端末のボード面積が増大していくため、周波数資源の活用を時間軸や空間軸の観点から見直すことが求められています。
 空間的多重度は、断続的な通信途絶からの復帰等において逐一実行される同期処理等を抑制・削除すること や、端末間の時刻同期精度および位置同定の精度を向上させて高指向性の電波送信技術と組み合わせることによって、高めることができます。一部の端末が占有する周波数帯域を最小限に抑制することによって、周波数資源を有効利用することが可能となります。この空間的多重度の向上を実現するためには、無線ネットワーク の時刻同期精度の大幅な改善が必要不可欠となります。
 本研究開発では、多くの通信ノードや小型民生機器を含むIoTデバイスが原子時計を搭載できる環境を整えるとともに、原子時計の搭載が困難な端末へもネットワーク内の原子時計搭載端末と連携させ、原子時計と同程度の精度の時刻推定を可能にするアルゴリズムを実現します。

コアが有する技術

高精度GNSS測位技術
 コアでは2005年よりGPS事業(現GNSS事業)に取り組んでおり、日本版GPSである「みちびき」の高精度測位補強サービス「CLAS※」に対応した受信機を開発してまいりました。CLASの測位方式は、GNSS受信機単独でセンチメータ級の測位が可能であり、時刻に換算するとUTC(協定世界時)に対して誤差300ピコ秒程度の誤差で同期することが可能です。本研究開発では、CLAS受信機を絶対時刻基準として利用し、周波数基準となる小型原子時計と組み合わせたGNSSアンカーを実現することで、通信ネットワークが得られない環境でも高精度な時刻を維持します。
※Centimeter Level Augmentation Service:みちびきセンチメータ級測位補強サービス

単眼カメラによる物体認識及び測距技術
 コアでは、単眼カメラとAIを組み合わせることでステレオカメラやLiDARを使わなくても人や車の距離を認識する仕組みを実現しており、交通インフラにおける交通流の監視や、車庫内の車両位置管理、ドローンの空撮映像を使った渋滞検知、海洋船舶における衝突回避など、様々な場面での利用を想定した実証実験を行ってまいりました。

 本研究開発では、GNSS測位とセンサー測位をシームレスに繋ぐ多点測位システムを実現して位置の同定技術を向上させることで、無線通信の空間的多重度を高め、周波数資源の有効活用に貢献します。

Society 5.0が目指す超スマート社会の実現

 本研究開発を通じて、みちびき対応GNSS受信機の利用用途を高精度測位のみならず高精度時刻同期へと拡大します。時刻精度を追求することで、より競争力が強化してまいります。また、単眼カメラは高精度時刻と組み合わせることで、より精度の高い位置同定技術が実現されます。画像認識技術に高精度位置情報を付加したソリューションとして拡大を図ってまいります。
 本研究はコネクテッドカーや自動運転、ドローンの制御に加え、スマート工場・スマートシティなど今後発展が予測される社会の通信インフラに必要不可欠な技術となります。コアは本研究をNICTと共同で他社に先駆け実施、開発した技術を基にSociety 5.0が目指す超スマート社会の実現に貢献いたします。

■株式会社コアについて
 1969年創業の東証プライム市場上場企業。マイコンを搭載した組込み機器が社会に登場した草創期から組込みソフトウェア開発事業を開始。独立系・全国にある拠点網を活かしたICTサービスを展開し、 “ソリューションメーカー“として顧客本位のサービスを幅広い業種、業務分野に提供しています。創業以来の事業である組込みソフトウェア開発で培った技術とノウハウを結実させ、豊富な人材と長年の業務で得た経験と実績で顧客と「新たな価値」を共創し、お客様の課題解決と理想の実現に取り組んでいます。
詳細については、https://www.core.co.jpをご覧ください。

■本製品に関するお問い合わせ先
 株式会社コア GNSS ソリューションビジネスセンター 営業統括部
 TEL:044-989-5115 E-Mail:gc-sales“at”core.co.jp
 ※“at”を@に変換し、ご利用ください

企業プレスリリース詳細へ (2022/06/30-12:47)

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総務省公募「周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」に採択 ーGNSSアンカーと単眼カメラを活用した多点測位システムを開発ー - PR TIMES

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  • 多点測位システムの研究開発
 5GまたはBeyond 5G実現後の社会において、各センサーや端末の時刻同期精度・位置精度を向上させることで、周波数資源の有効利用促進に貢献。 

 5GまたはBeyond 5G実現後の社会においては、ドローン制御や自動運転をはじめ、長期的には無人工場や無人港湾の管理など、各センサーや端末間で位置データ・高解像度画像等のデータをリアルタイムに処理する必要のあるユースケースの実現が見込まれています。本研究開発では、小型民生機器に搭載可能な小型原子時計と、 それを活用し近距離通信において各端末で時刻情報を高精度に同期・管理する時刻同期基盤(以下「高精度時刻 同期基盤」)を確立するとともに、端末の位置情報を正確に把握するための時空間座標情報基盤を実現する多点測位システムを確立する研究開発を行います。これにより、各端末の時刻同期精度・位置精度を向上させ、時間軸や空間軸での周波数資源の有効利用促進を目指します。 
 コアでは、準天頂衛星みちびきセンチメートル級測位補強受信機を使用した小型原子時計搭載GNSSアンカーと、単眼カメラを活用した多点測位システムの開発を実施します。センチメートル級の高精度受信機を使用することで、従来のGNSS受信機に比べて測位精度と周波数安定性を1桁向上させ、時空間の座標基準としてのアンカーを実現します。また、世界測地系に準拠した測位を非GNSS環境にも適用するために、空間的に離れた複数センサーによる物体位置推定と、異なるセンサーによる物体位置推定を検証する多点測位システムを実現します。

  • 研究開発の背景
逼迫する周波数資源の有効活用には、無線ネットワーク の時刻同期精度の大幅な改善が必要不可欠
 ネットワークに接続されるIoTデバイスの数は今後も加速度的に増加することが見込まれています。また無線ネットワークにおいては、多数のモビリティ機器やセンサーの間で画像等の大量のデータをリアルタイムに送受信する用途が拡充されるために、通信量がさらに爆発的に増大することが危惧されています。このような周波数逼迫の問題に対し、単純な周波数帯域の拡充だけでは、各デバイスに搭載されるアンテナやフィルタ等が増加して小型端末のボード面積が増大していくため、周波数資源の活用を時間軸や空間軸の観点から見直すことが求められています。
 空間的多重度は、断続的な通信途絶からの復帰等において逐一実行される同期処理等を抑制・削除すること や、端末間の時刻同期精度および位置同定の精度を向上させて高指向性の電波送信技術と組み合わせることによって、高めることができます。一部の端末が占有する周波数帯域を最小限に抑制することによって、周波数資源を有効利用することが可能となります。この空間的多重度の向上を実現するためには、無線ネットワーク の時刻同期精度の大幅な改善が必要不可欠となります。 
 本研究開発では、多くの通信ノードや小型民生機器を含むIoTデバイスが原子時計を搭載できる環境を整えるとともに、原子時計の搭載が困難な端末へもネットワーク内の原子時計搭載端末と連携させ、原子時計と同程度の精度の時刻推定を可能にするアルゴリズムを実現します。
  • コアが有する技術
高精度GNSS測位技術
 コアでは2005年よりGPS事業(現GNSS事業)に取り組んでおり、日本版GPSである「みちびき」の高精度測位補強サービス「CLAS※」に対応した受信機を開発してまいりました。CLASの測位方式は、GNSS受信機単独でセンチメータ級の測位が可能であり、時刻に換算するとUTC(協定世界時)に対して誤差300ピコ秒程度の誤差で同期することが可能です。本研究開発では、CLAS受信機を絶対時刻基準として利用し、周波数基準となる小型原子時計と組み合わせたGNSSアンカーを実現することで、通信ネットワークが得られない環境でも高精度な時刻を維持します。
※Centimeter Level Augmentation Service:みちびきセンチメータ級測位補強サービス  


単眼カメラによる物体認識及び測距技術
 コアでは、単眼カメラとAIを組み合わせることでステレオカメラやLiDARを使わなくても人や車の距離を認識する仕組みを実現しており、交通インフラにおける交通流の監視や、車庫内の車両位置管理、ドローンの空撮映像を使った渋滞検知、海洋船舶における衝突回避など、様々な場面での利用を想定した実証実験を行ってまいりました。


 本研究開発では、GNSS測位とセンサー測位をシームレスに繋ぐ多点測位システムを実現して位置の同定技術を向上させることで、無線通信の空間的多重度を高め、周波数資源の有効活用に貢献します。

  • Society 5.0が目指す超スマート社会の実現
 本研究開発を通じて、みちびき対応GNSS受信機の利用用途を高精度測位のみならず高精度時刻同期へと拡大します。時刻精度を追求することで、より競争力が強化してまいります。また、単眼カメラは高精度時刻と組み合わせることで、より精度の高い位置同定技術が実現されます。画像認識技術に高精度位置情報を付加したソリューションとして拡大を図ってまいります。
 本研究はコネクテッドカーや自動運転、ドローンの制御に加え、スマート工場・スマートシティなど今後発展が予測される社会の通信インフラに必要不可欠な技術となります。コアは本研究をNICTと共同で他社に先駆け実施、開発した技術を基にSociety 5.0が目指す超スマート社会の実現に貢献いたします。

■株式会社コアについて
 1969年創業の東証プライム市場上場企業。マイコンを搭載した組込み機器が社会に登場した草創期から組込みソフトウェア開発事業を開始。独立系・全国にある拠点網を活かしたICTサービスを展開し、 “ソリューションメーカー“として顧客本位のサービスを幅広い業種、業務分野に提供しています。創業以来の事業である組込みソフトウェア開発で培った技術とノウハウを結実させ、豊富な人材と長年の業務で得た経験と実績で顧客と「新たな価値」を共創し、お客様の課題解決と理想の実現に取り組んでいます。
詳細については、https://www.core.co.jpをご覧ください。

■本製品に関するお問い合わせ先
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Monday, June 27, 2022

WMAコーデックに使い道はあるか? オーディオ性能を画像比較した - AV Watch

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オリジナルと圧縮結果の差分を可視化したもの。差分が少ない、つまり画像が真っ暗になるほど、オリジナルに近いということが分かる(画像は第931回より)

以前、MP3やAAC、OPUSといった各種エンコーダーのオーディオ性能がどんなものなのか、チェックしてみたことがあった。こうした性能チェックは、20年前のDigital Audio Laboratoryの連載開始当初から何度も行なってきているものだが、昨年見つけた“スペクトログラムを画像で比較して差分を表示させる”という手法は、視覚的に違いが分かりやすいのとともに、さまざまなエンコード方式を比較する上で扱いやすいものとなっていた。

「Opus」と「AAC」どっちが高音質? 周波数分析でコーデック比較した

今回はこの手法でチェックしていなかった「Windows Media Audio」にターゲットを絞り、各種設定でどのような違いがあるのかをチェックしていくことにしよう。

マイクロソフト発の「WMA」。使用頻度は少なく過去のコーデック?

Windows Media Audio(=WMA)は名前からも分かる通り、マイクロソフトが開発したオーディオ圧縮コーデックで、初期バージョンはこの連載がスタートする2年前の1999年に誕生し、その翌年に公開された「Windows Media Player 7」に標準搭載されたことで広く普及。アップルが初代iPodをリリースした頃でもあったため、当時はWMAを標準採用したデジタルオーディオプレーヤーも誕生した。

SDオーディオプレーヤーとして、初めてWMA再生に対応したパナソニック「SV-SD80」(2001年モデル)

またWindows Media Playerでは、オーディオCDからのリッピング機能を標準搭載するが、デフォルトのコーデック設定が当初WMAであったため、知らず知らずのうちにWMAでライブラリを構築していた……という方もいるかもしれない。

その後WMAは、Windows Media Playerとともに、バージョンアップを繰り返し、より高圧縮を可能にした「WMA Pro」や「WMAロスレス」も誕生。CBR(固定ビットレート)に加え、VBR(可変ビットレート)にも対応するなどの進化を続けていった。

Windows 10の時代になると「Grooveミュージック」(後のメディアプレーヤー)が前面に立つ形へ。オーディオCDの再生やリッピングを行なう際はWindows Media Playerを使うことになるが、デフォルトコーデックがMP3に変更された事、そもそもオーディオCDから配信試聴へと主流が変わった事を考えれば、使用頻度は少ないと思われる。

Windows11のアプリ「メディアプレーヤー」

Windows11の新アプリ「メディアプレーヤー」検証。カーネルミキサー問題も

その意味では、WMAは過去のコーデックと切り捨ててしまってもいいとは思うのだが、Windows 11の時代でも一応Windows Media Player 12というバージョンが残っているし、「WMA 9.2」や「WMA Pro 10」というコーデックでエンコードすることも可能な事から、2002年の記事(第71回および第72回)以来の検証をしてみたというわけだ。

Windows 11でも残っている「Windows Media Player 12」

コーデックの検証方法

WMAをサポートしているサードベンダーソフトはいろいろあるが、最新のエンコーダ、デコーダが搭載されているのはWindows Media Player 12だと思うので、本ソフトを使って手元のWAVデータをエンコードしていく。

Windows Media Player 12を使い、WAVデータをエンコードする

先程も紹介した通り、大きく4種類の選択肢がある。通常のWMA、高圧縮をうたうWMA Pro、そして可変ビットレートでの圧縮となるWMA VBR、そしてWMAロスレスだ。もっともロスレスは結果的にWAVと同じなので、ここでは除外。調査するのは3種類だ。

調査するのは、WMA、WMA Pro、WMA VBRの3種

また、それぞれで異なるビットレートが選択できるようになっており、その内訳は下表のとおり。全18通りとバリエーションが多いが、各変換を行なっていった。

種類 レート
WMA 48kbps
64kbps
96kbps
128kbps
160kbps
192kbps
WMA Pro 32kbps
48kbps
64kbps
96kbps
128kbps
160kbps
192kbps
WMA-VBR 40~75kbps
50~95kbps
85~145kbps
135~215kbps
240~355kbps

Windows Media Playerという実質的に過去のものとなったソフトに文句を言ったところで始まらないが、かなり実験し難かったのも事実。というのも、WAVデータをWMAに変換しようと思ったら、それができないのだ。以前はできたはずなのだが、いつのまにかその機能が削除されていた。

そこで行なったのが、予めWAVデータをオーディオCDに焼いておき、これをあとからリッピングするという方法。

WAVデータをオーディオCDに焼き、それをリッピングした

これでなんとかWMAへのエンコードはできたが、別のビットレートなどで再エンコードするには、すでにエンコードされたデータを削除した上で、Windows Media Playerを再起動し、改めてCDドライブからリッピングを行なう必要がある。実験では、リッピングの時間を減らすべく、作成したオーディオCDのイメージファイルを作り、それを仮想ドライブとしてマウントしてからリッピングするという手法で時間を節約をしている。

作成したオーディオCDのイメージファイルを作る

こうして18種類のWMAデータは作ったものの、このままでは比較実験ができない。なぜなら、WMAのデコーダを用いてこれらを再度WAVファイルに戻す必要があるためだ。しかし、これをWindows Media Playerでファイル変換することはできない。

そこでWMAからオーディオCDを焼くという方法は用意されているので、これでオーディオCDを作成し、そこからリッピングしてWAVファイルを生成するという手法をとってみた。なお、この過程でひとつ気が付いたのはWMA Proの32kbpsを使うと、サンプリングレートが32kHzに落ちてしまうということ。これだと正しい比較ができなくなってしまうため、WMA Proの32kbpsだけは除いて、計17種類をチェックしていくことにした。

WMAからオーディオCDを焼いてリッピングを行ない、WAVファイルを生成した

実験1:WaveSpectraによる検証

それでは、従来から行なってきたのと同じWaveSpectraを利用したチェックから始めよう。

WaveSpectraでは再生時にリアルタイムにFFT解析結果を示す黒、最大値を記録したいく赤、300サンプル分の平均値を示す青で表示することができるので、ちょうど16秒のところで、一時停止して画面キャプチャしたものが以下のものだ。

WMAの場合

WMA Proの場合

WMA-VBRの場合

これらを見て思うのは、3種類とも基本的には、ビットレートを上げていくとより高域までの成分を含むようになるが、少し妙なのがWMA Pro。48kbps、64kbps、96kbpsと順調に伸ばしていくけれど、128kbpsになると高域がバッサリ削れてしまう。しかし、160kbps、192kbpsとまた上げていくと、再び高域成分が増えていくという形になっている。

「何かミスをしたのでは…」と思ってデータを見直してみたけれど問題はなさそう。推察されるのは、WMA Proが内部的にエンコード方式を128kbpsあたりで切り替えているのでは? ということ。詳細はあとのスペクトログラムでの比較を見ていくことにする。

実験2:WMAとAAC、WMAとMP3を比較する

では、これらをAACやMP3と比較してみたらどうだろうか?

詳細は以前の記事のグラフ(第883回第931回)と比較してもらいたいのだが、iTunes搭載のAACエンコーダ、およびWindows Media Player搭載のMP3エンコーダでの128kbpsと192kbpsの結果がそれぞれこちら。これらを比較してみると、やはりWMAは“MP3以上、AAC以下”のように見える。

AACの場合

AAC 128kbps
AAC 192kbps

MP3の場合

MP3 128kbps
MP3 192kbps

実験3:オリジナルのWAVとWMAの差分を比較する

次に、オリジナルのWAVと比較して、スペクトログラム的に見てどのくらいの差分があるのかを確認する。

SteinbergのWaveLab Pro 11でスペクトログラム表示させたもの

これも以前と同様、SteinbergのWaveLab Pro 11でスペクトログラム表示させた結果(上写真参照)を、Diffimgというツールで差分を表示させた。画像が真っ暗になるほど、オリジナルに近い事を意味する。差分の結果は下記の通り。

WMAとオリジナルの差分比較

WMA Proとオリジナルの差分比較

WMA-VBRとオリジナルの差分比較

これを見ると、ビットレートが低い場合にはWMA Proが優位だが、ビットレートを上げていくとどれも大きな差がなくなることが分かる。

また、先ほどのWMA Pro 96kbpsと128kbpsの違いもより細かなことが見えてくる。ローパスフィルタを入れているのか、エンジンを切り替えているのかは定かではないが、明らかに違いがある。

128kbpsにすると高域は出なくなる一方、中低域は96kbpsより128kbpsのほうが原音に近くなっている。聞いた感じでも、96kbpsと128kbpsには差があり、高域が…というよりも、音の雰囲気が128kbpsのほうがキレイだ。

なお、このスペクトログラムの差分においても、AACの128kbpsと192kbps、MP3の128kbpsと192kbpsの結果を見てみると、AAC、WMA、MP3の順であることが見えてくる。

AACとオリジナルの差分比較

AAC 128kbps
AAC 192kbps

MP3とオリジナルの差分比較

MP3 128kbps
MP3 192kbps

以上、Windows Media Audioの性能チェックを行なってみたが、いかがだったろうか。もしかしたら何か利用価値があるのでは? と淡い期待をしながら細かく実験をしてみたが、結果はやはり「あまり必要性が感じられないコーデック」というものだった。

むかしWMAでリッピングしたライブラリを構築した……という方もいると思うが、もし今のサブスク・ストリーミングには存在していない貴重なデータが残っているようなら、早めにWAVに変換して保存しておくのが良さそうだ。

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からの記事と詳細 ( WMAコーデックに使い道はあるか? オーディオ性能を画像比較した - AV Watch )
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Sunday, June 26, 2022

50分かかった超大容量置換が1秒に! 検索と置換がさらに速くなったEmEditorはなにを目指すのか? - 窓の杜

tahupedascabe.blogspot.com
「EmEditor」の検索・置換機能が極めて大幅に高速化された

 定番テキストエディタ「EmEditor Professional」は、最近の新バージョンである21.6(2022年3月)~21.8(6月)で、検索によるデータのフィルター(抽出)や、置換の機能・速度を大幅に強化した。

 その目玉は、「複数の検索文字列を同時に検索する際の新アルゴリズム」だ。これにより、フィルターや置換が圧倒的に高速化。具体的には、例えば100万件の検索・置換ペアが存在する場合、従来50分かかっていたものが、なんと0.5秒で済むようになったという。要するに「6千倍」の高速化、というわけだ。

 ここまで速くなると、もはや「便利になった」というレベルではない。「エディタの概念を超えた使い方ができるようになった」(制作者の江村氏)という。

 テキストエディタは、文章やプログラムなどのテキストファイルの編集に使われているが、昨今は、仕事のデジタル化にともない、大容量データファイルを扱うことも増えてきた。EmEditorは、こうした新しい用途にもいち早く注目、CSVファイルを扱うCSVモードや、GB単位の巨大ファイルへの対応、16TBより大きなファイルの一部だけを開く巨大ファイルコントローラーなど、テキスト形式のデータファイルを扱う機能を備えてきた。しかも、そのような巨大ファイルであっても、EmEditor最大の特徴である「高速さ」が損なわれない。

 最近の検索関連の強化は、こうした大量のデータをEmEditorで扱うときの強力な道具が加わったものといえる。そこで、今回は、この検索関連の強化・高速化について紹介していこう。

 なお、最近のEmEditorの強化ポイントとしては、Excel顔負けのピボットテーブル機能などもある。こちらについては別記事にまとめているので、参考にしてほしい。

多くの文字列を指定しての検索が圧倒的に高速に

 それでは、早速、EmEditor Professional 21.8.0の検索関連の新機能を見てみよう。

 なお、EmEditorにはProfessional(有償版)とFree(無償版)があるが、今回はいずれもProfessional版の機能。

 EmEditor公式サイトから購入できるが、年間サブスクリプション(初年度のみ 税込み5,280円、2年目以降は半額)、買い切りの永久ライセンス(税込み33,264円)から選べる。また、「EmEditor Free」をダウンロード後、試用期間の30日は「EmEditor Professional」の機能をすべて試すことができる。このほか、Windows 10/11であれば“Microsoft Store”から入手できるストアアプリ版も利用できる(年額2,350円)。機能は若干制限されるが、インストールやアップデートの手間が省ける(これらの価格は記事掲載時点のもの。為替レートの変動などにより、8月1日から価格改定される予定)

 さて、前提となる情報だが、EmEditorでは以前からの基本機能として、検索や置換のダイアログに複数の文字列を指定し、複数の検索文字列を検索したり、複数パターンの置換が行えた。

検索や置換に複数の文字列を指定(従来からの機能)

検索・置換するデータをまとめた「リンクファイル」が指定可能に

 ここに21.6からは、「リンクファイル」を指定できるようになった。

 リンクファイルはテキストファイル形式で、検索であれば検索文字列を1行に1つ、置換であれば置換前と置換後の文字列をタブ区切りで1行に1セットの形式で並べたものだ。

 これにより、大量の検索や置換を一度に指定しやすくなった。

 検索や置換のダイアログでは、「連続」をクリックして連続検索/連続置換のダイアログにしてから、複数指定するリストボックスにリンクファイルをドラッグ&ドロップすればよい。

リンクファイルをドラッグ&ドロップで指定
リンクファイルが指定された

「すべて一括置換」を新設、速度が大幅向上、「甲」と「乙」の一発入れ替えもOKに

 さらに、この複数パターンによる置換において、21.7からは、従来の「すべて連続置換」のボタンに加え、「すべて一括置換」のボタンが加わった。

 「すべて連続置換」は複数の置換を順番に置換していく処理だが、「すべて一括置換」では新しいアルゴリズムを採用。複数の置換を同時に適用する。

 そしてこの「すべて一括置換」では、大量の置換パターンがあるとき、置換速度が大幅に高速化された。

 詳しくは後で検証してみるが、なんと実測でも確かに400~1000倍以上の高速化が確認できた。ただし、アルゴリズムの都合上、「すべて一括置換」では正規表現や数値範囲表記による置換を行うと、その高速性が活かせず、動作速度が著しく低下するとのこと。

 また、速度以外に重要なのが、「同時に置換されること」だ。

 従来の「すべて連続置換」では置換を順番に適用するため、「“甲”を“乙”に」「“乙”を“甲”に」という2つの置換パターンを指定すると、“甲”をすべて“乙”に置換し終えてから、改めて“乙”をすべて“甲”に置換する。結果、“甲”だった箇所も“乙”だった箇所も、すべて“甲”になってしまう。これを避けるためには「“甲”を“丙”に」「“乙”を“甲”に」「“丙”を“乙”に」という三段階の変換をする必要があり、どうにもわかりにくい。

 それに対し、「すべて一括置換」では、両者を同時に置換を適用するため、「“甲”を“乙”に」「“乙”を“甲”に」の2つの置換パターンを指定するだけで、“甲”だった箇所は“乙”に、“乙”だった箇所は“甲”に入れ替わる形で置換される。

「甲」「乙」が含まれる文章
「“甲”を“乙”に」「“乙”を“甲”に」という2つの置換パターン
「すべて連続置換」ではすべて“甲”になってしまう
「すべて一括置換」なら、“甲”と“乙”が入れ替わる

CSVファイルの抽出も高速化

 新しい検索アルゴリズムが最も威力を発揮するのは、「高度なフィルター」機能で多数の検索文字列を指定したフィルターの機能だろう。CSVファイルのように1行に1項目のデータが記録されたテキストファイルに対して、指定した検索文字列を含む行だけを抽出できる。

 フィルター機能では、対象となるデータは膨大なものになり、さらに検索文字列も多数になることが考えられる。新しい複数の検索文字列の検索アルゴリズムにより、この抽出速度が大幅に高速化された。

 高度なフィルターでも、リンクファイル形式で多数の検索文字列を指定できる。EmEditorのツールバーの「フィルター」のところにドラッグ&ドロップするか、「高度なフィルター」のダイアログを開いてリストボックスにドラッグ&ドロップする。

フィルターを指定:ツールバーにドラッグ&ドロップする場合
フィルターを指定:高度なフィルターのダイアログにドラッグ&ドロップする場合
フィルターが動作しているところ。大幅に高速化された

速度を実測!どれだけ速いのか?

 検索や置換の機能がどれだけ速くなったか、実際に比較してみた。

 検証では、「200万件のデータが入ったファイルに対し、100万件(または1000件)に含まれるデータが入っているかどうか?」という検索/置換を行った。

 検証したのは、新アルゴリズムが採用されたEmEditor 21.8と、それらが実装される前のバージョンである21.5。

 また、こうしたデータ処理はExcelでやっている例も多いと思うが、「200万行のデータに対し、100万件(または1000件)に含まれるデータが入っているかどうか?」を抽出あるいは置換する、というのはよく考えると「Excelでは手軽な手段がない」ということがわかるだろう。

 つまり「できるだけ」でも大きなアドバンテージというわけだ。

フィルター速度は実測1,387倍!

 まずは、データのフィルター(抽出)の速度から説明していこう。

 検索対象となるファイルは、次のような形式で200万行のデータが入ったCSVファイル(Data.txt)だ。

Data.txt(抜粋)

IDs,A,B
SJG35816,aftffoym,59684989
HVX64633,dvdcbazy,22927837
OVE29196,bpghaype,51333691

 そして、「検索したい文字列」としてIDを1行ずつ並べたた以下のようなファイル(IDs.txt)を用意する。これは100万行分用意した。

 ……のだが、21.8が極めて高速なため、同じ100万行を従来の21.5で処理すると、現実的な時間で終了しない。計測に支障が出るほどだったため、「21.5での計測用」としては、その1/1,000、1千件分のIDs.txtを用意した。

IDs.txt(抜粋)

XCB21768
EAT33549
PFU81051

 なお、EmEditor 21.5ではリンクファイルに対応していないが、かわりにTSVファイルによる条件指定としてIDs.txtをインポートし、「前の条件との論理和」をオンにしてフィルタリングを実行した。

 結果の所要時間は以下のとおり。

  • EmEditor 21.8で100万件:29.9秒
  • EmEditor 21.5で千件:41.4秒

 ごくおおざっぱに、21.5での時間を1,000倍して計算すると、その差は約1,387倍。まさに「桁違い」というしかない、圧倒的な高速さだ。

置換の速度も400倍以上!

 次に、新しい「一括置換」と従来からの「連続置換」とでどのぐらい速度が違うか、EmEditor 21.8で試してみる。

 IDs.txtはフィルタと同様のものを用い、そのIDの文字列を置換する想定で、次のようにタブ区切りで置換前と置換後の文字列を並べた(IDsReplace.txt)を用意する。これを連続置換ダイアログに読み込ませて、「すべて一括置換」と「すべて連続置換」をそれぞれ実行してみる。

IDsReplace.txt

XCB21768        SPC17553
EAT33549 OGL33072
PFU81051 WSH37055

 フィルターと同様に、こちらも性能差がありすぎるため、置換パターンとして「すべて連続置換」では1千行のファイルを、「すべて連続置換」では100万行と1千行のファイルを用いた。

 結果の所要時間は以下のとおりだ。

  • すべて一括置換:(100万行)4.9秒
  • すべて一括置換:(1千行)0.45秒
  • すべて連続置換(1千行):181.2秒

 1千行どうしの比較では約400倍。「すべて連続置換」の1千行の結果を1千倍して「すべて一括置換」の100万行の結果と比較すると、約36,755倍。おおざっぱな計算だが、圧倒的な差となった。

エディタの概念を超えたフィルタ・検索機能はなぜできたのか?

 こうしたエディタの概念を超えたフィルター・検索機能がなぜできたのかを、開発者である江村豊氏にお伺いした。

データベースやスクリプトが必須な処理も、エディタで手軽に

――高速なフィルター検索や一括置換などの機能はなぜ実装しようと思ったのでしょうか。

[江村氏] やはり一番大きな動機は高速化です。EmEditorでは、巨大ファイルを高速に開くことができます。検索や置換もすでに充分に高速化されています。しかし、何百万個以上の多くの文字列を一度に検索や置換するとなると、EmEditorでも時間がかかる処理になっていました。

 あるお客様が質問サイト「Stack Overflow」への投稿で、2500万件の電話番号リストでファイルを検索できないかを質問していました。せっかく巨大ファイルを開くことができても、このような検索処理に時間がかかってしまっていては、EmEditorを使う意味が薄れてしまいます。

 この問題についてしばらく考えていましたが、高速なアルゴリズムを考えついたので実装し、非常に多くの検索文字列を一括検索する場合でも高速に検索できるようにしました。いままでであれば、データベースを使ったりスクリプトを使ったりしていたことが、テキストエディタで完結できるようになります。これまでの「エディタ」の概念を超える速度が実現できたと思いますし、そうした新しい使い方ができるようになったと自負しています。

「500万件のデータから、200万人の名前リストを抽出する」処理もわずか数秒

――具体的な利用分野・活用方法などのイメージがあれば、教えてください。 [江村氏] たとえば、人口500万人のある都市で、ワクチン接種券を配布対象市民のマイナンバーの一覧があったとします。その一覧には、200万人のマイナンバーが含まれています。そして、市民のマイナンバーと関連付けられた住所や氏名などの情報が、500万行のファイルに入っているとします。市役所の作業者は、この500万行のファイルから200万人のマイナンバーを含む行を抽出しなければならないとします。このような場合、以前のバージョンのEmEditorでは難しかったのですが、v21.6では通常で数秒以内に抽出できるようになりました。  別の例としては、ある会社で、500万人顧客リストのCSVファイルがあったとします。その中で、ある製品のリコールが発生して、その製品の所有者200万人全員に連絡しなければならないとします。そして、対象者の情報はメールアドレスだけで、顧客リストと別のファイルになっていたとします。すると、その会社の作業者は、500万行のファイルから200万人分の一覧を抽出しなければなりません。このような作業も、以前のバージョンでは遅くてできませんでしたが、最新版では、一瞬に抽出できるようになりました。 ――そうした自治体や大企業の大規模データでの採用はたくさんあるのでしょうか。 [江村氏] 用途は詳しく聞いていませんが、自治体も含めてかなりあります。日本の省庁もありますし、EUや米国の組織などもあります。  大規模データでは、たとえばCSV形式の顧客リストの解析などに使われていて、CSVの解析に便利な機能の要望が多くなっています。最近追加したピボットテーブルの機能も、大規模データを扱う会社からの要望でした。そのようなお客様は、EmEditorで多くのマクロを書いて、CSVなどの巨大ファイルを多く処理しています。EmEditorと私のファンだと書いていただいたこともあり、ご愛用いただいております。  また、セキュリティのデジタルフォレンジックの分野では、巨大なサーバーログファイルを開いて分析するのにも使われています。

「文書を1回スキャンするだけ」の新アルゴリズムで高速化

――今回の機能は、かなり高速に動くようですが、どうしてここまでの速度が出るのでしょうか?

[江村氏] 簡単に言うと、従来の検索では、文書から検索文字列を検索していました。新しいアルゴリズムでは、逆に、検索文字列から文書を検索しているというイメージです。

 検索文字列がN個存在しているとします。従来の連続検索では、1個の検索文字列を検索する動作をN回繰り返すため、文書をN回スキャンします。したがって、この場合の計算時間は、“O(N) ”、つまりNに比例する時間がかかります。

 一方、新しい一括検索では、文書をスキャンする回数は1回だけです。

 文書の最初から1文字ずつスキャンしていき、それをN個の検索文字列のいずれかと一致するかどうか調べるわけです。さらに、N個の検索文字列と比較するときに、検索文字列があらかじめABC順でソートされていれば、二分探索 (バイナリ サーチ) が可能になります。二分探索の計算時間は“O(log N)”、つまりNの対数に比例する時間になります。この違いは、Nが非常に大きな数の場合に、大きな時間の差になります。

――高速化にあたって、目標や、意識していた相手などはあるでしょうか。

[江村氏] 巨大ファイルを扱う検索や置換の場合には、コマンドラインでPythonのようなスクリプト言語を使った方が効率がいいという意見もあります。しかし、スクリプト言語を使っても、アルゴリズムが悪ければ高速にはなりません。EmEditorでは、Windowsアプリの使いやすいGUIを備えながら、最適化されたアルゴリズムとコードを使用して、高速な動作を実現しています。

 また、「すべて一括置換」では、速度だけでなく結果も変わってきます。一括置換の結果としては、従来の「すべて連続置換」より新しい「すべて一括置換」のほうが多くの人の感覚に合っていると思います。

「こだわりのエディタ」としてのEmEditor品質やセキュリティ、「見えない文字」対策も……

――せっかくなので、そのほかのことも聞かせてください。EmEditorは「こだわりが多いエディタ」という印象がありますが、開発にあたり、どのようなこだわりがあるのでしょうか。

[江村氏] 「他のテキストエディターにはなく、EmEditorでしかできない」という機能は、特に重視して開発しています。巨大ファイルへの対応や、高速な検索と置換、CSVへの対応などはその一例です。

 また、基本性能や、品質、セキュリティにもかなり気を使っています。

 EmEditorの多くの機能は、Gitリポジトリにコードをpushするたびに、専用マシンで自動的にテストが行われます。もしコードの修正により何かの不具合が発生したら、それがすぐにフィードバックされて修正するという作業を迅速に行うことができます。さらに、プログラムのビルドはボタン1つで、そこから一般への公開もボタン1つで行うことができます。このリリース作業の間に人的なミスやウィルスなどが入る余地はありません。

 2014年には、EmEditorの更新チェックの機能を利用したハッキングが起こる可能性があるという脆弱性が発見され、大変なご迷惑とご心配をおかけしてしまいました。この時の教訓を生かし、現在では、更新チェッカー自体も、ダウンロードするプログラムに、弊社と全く同じ名前と住所のデジタル署名が付いているプログラム以外はダウンロードできないように、改良を加えています。

 EmEditor自体にも、セキュリティを意識した機能を追加しています。テキストファイルには、U+200B(ZERO WIDTH SPACE)という非表示文字(目に見えない文字)や、U+0081といった制御文字が含まれている可能性があります。Webからソースコードをコピー&ペーストした場合に、悪意のある非表示文字や制御文字が含まれていると、場合によっては、脆弱性が入ってしてしまう危険があります。EmEditorでは、そのような非表示文字や制御文字を可視化して、標準で強調表示します。保存時にも、それらの文字が入っていると警告を発生させることも可能です。

 このように、EmEditorは、単に多機能や高速化するだけでなく、基本性能、品質、セキュリティにもこだわって開発を続けています。


「速度を求めて高価なパソコンを買うより、ソフトを最適化して快適にしたい」

――特に高速化には強いこだわりがあるように思いますが、なぜでしょうか。

[江村氏] 多くのソフトウェアは、まだ充分に最適化できていないと思います。少しコードを変えれば、数倍にも数十倍にも高速になるにもかかわらず、充分に高速化されていないのが実情です。マルチスレッドや拡張命令セットはおろか、64ビット化でさえも進んでいないのが現状だと思います。

 多くのユーザー様は、少しでも速いCPUを求めて高価なパソコンを購入しようとします。しかし、実はソフトウェアを少し最適化するだけで、高価なハードウェアを買う以上の結果を生みます。これは、ある種、もったいないように思います。ユーザーの皆様は、ソフトウェア会社に、もっとアプリの高速化、最適化を要求するべきだと思います。

 私は、マルチスレッドや、64ビット化、拡張命令セットの利用など、現在可能な方法を使用して、EmEditorを極限まで高速化し、ユーザーの皆様に喜んでいただきたいと考えています。

――そのほか、今、注目している機能などがあったら教えてください。

[江村氏] 近い将来のバージョンでは、Gitに対応し、現在開いているファイルの変更履歴や以前のバージョンとの比較を表示できるようにしたいと考えています。この機能は、プラグインとして提供され、弊社によって開発されています(注:インタビュー後にリリースされた21.8では、まずGitリポジトリのコミット履歴を表示するプラグインが追加された)。

 また、CSV の解析で便利な機能、例えば、水平にスクロールしても特定の列を常に表示する機能なども、さらに充実させていきたいと考えています。

 さらに、長期的には、マクロに使用している JavaScript をもっとモダンなバージョンに改良したり、プログラム開発のための便利な機能をより多く取り入れていきたいと考えています。

――ありがとうございました。

[制作協力:Emurasoft, Inc.]

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Friday, June 24, 2022

Gmailの受信トレイを使いこなすための13のテクニック【PC&スマホ】 - Business Insider Japan

tahupedascabe.blogspot.com

Gmail

グーグルの「Gmail」はさまざまな機能が搭載されているが、使いこなすためにはまず「知る」必要がある。

撮影:今村拓馬、画像:筆者によるスクリーンショット

不要なメールで受信トレイがいっぱいになっても、Gmailならメッセージをフィルタリングしたり、大量に削除できる。

Gmailの受信トレイを初めて開くと、メールのリストとフォルダ、検索バーが並ぶだけのシンプルな構成に見える。

しかしGmailは、グーグルの主力製品のひとつで、検索に次ぐ重要な製品だ。カスタマイズ用の設定や機能が多数用意されている。

ここでは、Gmailのデザインや、メールのソート、保存方法や削除など、Gmailの受信トレイを管理するためのヒントを紹介する。

(1)Gmailの「受信トレイの種類」を変更する

Gmailでは、「受信トレイの種類」によってメールがどのような順番で表示されるか決定される。

標準では、受信した順番にメールを表示する。設定によっては、未読のメールや重要なメールを最初に表示したり、フィルターやラベル付きのメールだけを出すことも可能だ。

受信トレイの種類は、GmailのウェブサイトまたはGmailアプリで変更できる。

ウェブサイトでは、右上の歯車アイコンをクリックし、「受信トレイの種類」から行う。

アプリでは、左上隅にある3本の線をタップし、「設定」を選択。Gmailアカウントをタップし画面をスクロールさせると、下の方に「受信トレイの種類」が用意されている。

受信トレイの種類

「受信トレイの種類」を選ぶ。

画像:筆者によるスクリーンショット

例えば、「デフォルト」から「未読メールを先頭」に変更すると、まだ読んでいない新着メールが優先的に表示される。

ただし、新しい受信トレイの種類を選択した場合、それが有効になる前に、アプリの再起動が必要なケースもある。

(2)スレッドリストの表示間隔を調整する

プレビュー

表示間隔を変えるとどうなるか、イラストである程度プレビューすることができる。

画像:筆者によるスクリーンショット

スレッドリストの表示間隔が狭いほうが、より多くのコンテンツを画面に表示できる。しかし、スレッドリストの表示間隔が狭すぎると、メッセージが読みづらくなる。

Gmailでは、

  1. 添付ファイルも表示される「デフォルト」
  2. 添付ファイルを表示せずに同じだけのスペースを確保する「標準」
  3. できるだけスペースを取らない「最小」

と、3段階の間隔を用意。ユーザーの好みでいつでも変更可能。

ウェブサイトでは右上の歯車アイコン、モバイルアプリでは「設定」メニューから変更可能だ。

(3)Gmailの背景をカスタマイズ

背景

背景はユーザーの好みに変えられる。

画像:筆者によるスクリーンショット

GmailのWeb版は、デフォルトでは白か黒の無地の背景が表示されている。

この背景はユーザーが好きなものに変更できる。あらかじめグーグルが用意した画像もあるが、自分の写真などをアップロードして使用することもできる。

背景の設定変更は、右上隅にあるその歯車のアイコンをクリック。「テーマ」の項目に8つのサムネイルが表示されているので、選択すると背景はその画像に切り替わる。

それ以外の画像を使用したい場合は「すべてを表示」をクリック。さきほどの8つの画像を含めたプリセット画像が選べるほか、「その他の画像」や「マイフォト」から、自分のオリジナル画像や写真をアップロードして使用できる。

残念ながら、モバイルアプリの背景は変更できない。

(4)ラベルを使ってメールを分類

Gmailでは、フォルダーと同じような感覚で「ラベル」を使ってメールを整理できる。ラベルは左サイドバーに表示され、好きなだけ作成できメールに適用可能だ。

新しいラベルは、GmailのウェブサイトとiPhoneアプリから作成できるが、なぜかAndroidアプリからは作成できない。

ラベル作成

「新規作成」をタップするとラベルをつくれる。

画像:筆者によるスクリーンショット

ただし、ラベルの振り分けは、WebサイトとiPhoneアプリ、Androidアプリともに可能。

メールを開いて「ラベル」をタップするか、メニューから「ラベル」を選べば、作成したラベルが一覧で表示されるので、適用させたいラベルを選択するだけだ。

左側のサイドバーでそのラベルを選択すると、そのラベルに設定したすべてのメールを一覧で表示できる。

(5)メール本文を閲覧ウインドウで開く

閲覧ウィンドウ

「閲覧ウインドウ」は2種類のレイアウトから選べる。

画像:筆者によるスクリーンショット

Web版のGmailでは、メール本文を表示する「閲覧ウインドウ」を受信トレイも表示したまま開けるレイアウトも用意されている。

画面右上の歯車アイコンをクリックして、「閲覧ウインドウ」で、「受信トレイの右」もしくは「受信トレイの下」を選択する。

「受信トレイの右」にすれば、受信トレイのメール一覧の右側に閲覧ウインドウが表示され、メールの本文が読める。

「受信トレイの下」なら、上下に分割して、受信トレイと閲覧ウインドウを表示できる。

(6)メールの表示件数を変更し一度に多くのメールを見る

Gmailの表示件数を変更すると、受信トレイに一度に表示されるメールの数が変わる。

例えば、1日に何十通ものメールを受信する場合は、表示件数を多くすれば、届いたメールのタイトルを一気に閲覧できる。

処理能力が低いパソコンを使っている場合は、ページサイズを小さくすると表示が速くなり便利だ。

表示件数

一度にリスト表示できるメール数を指定できる。

画像:筆者によるスクリーンショット

このオプションは、Gmailのウェブサイトの「設定」ページで設定可能。

モバイルアプリでは表示件数に関する設定はなく、無限にスクロールする。

(7)すべてのメールを既読にする

全選択

「すべて」をクリックすると、リスト内の全メールを選択可能。

画像:筆者によるスクリーンショット

Gmailの未読メールカウンターがどんどん増えていくのをゆっくり眺めることほど、ストレスなことはない。

とはいえ、このカウンターをリセットするためにすべてのメールを開く必要はなく、手軽にメールを既読へと切り替える方法がある。

一度にすべてのメールを「既読」にするためには、パソコンでGmailのウェブサイトにアクセスし、「label:inbox is:unread」と検索する。

すると、未読のメールがすべて表示されるので、チェックマークボックスを使って未読メールをまとめて選択。

あとは3点が並んだメニューボタンから「既読にする」を選べば、選択したメールはすべて既読になる。

(8)不要なメールを一括削除する方法

すべてのメールを読んだとしても、受信トレイにはメール自体は残っている。この状態だとストレージの容量を圧迫するし、ごちゃごちゃして嫌な人も多いはず。そこでメールを大量に削除する方法を憶えておこう。

基本的には、メールを既読にしたのと同じ方法で行う。

Gmailのウェブサイトにアクセスし、削除したいメールを検索する。未読のメールを見つけるには「label:inbox is:unread」、開いたメールを見つけるには「label:inbox is:read」と入力する。

検索結果からすべてを消してもいいし、消したいメールだけを選ぶのでもいい。

もし、残しておきたいメールを誤って削除してしまった場合は、慌てず左サイドバーの「ゴミ箱」をクリック。

削除したメールを見つけだし、「受信トレイ」タブにドラッグすれば復活する。

(9)Gmailの「ゴミ箱」フォルダを空にする。

ゴミ箱

ゴミ箱タブをワンタップで空にできる。

画像:筆者によるスクリーンショット

一度削除したメールは、30日間ゴミ箱フォルダーに移動され補完される。30日間を過ぎると、メッセージは永遠に削除される。

そのため、ゴミ箱にあるメッセージはストレージ容量を使用した状態にある。

大量のメールを受信トレイから削除してもまだ容量が足りない場合は、ゴミ箱に補完してあるメールを削除すればストレージ容量を開放できる。

ゴミ箱にあるメッセージをすべて削除するには、ゴミ箱フォルダを開き、ページの上部にある「ゴミ箱を今すぐ空にする」を選択する。

この操作はウェブサイトでもアプリでも可能だ。

特定のメッセージを個別に削除するには、そのメッセージを開いて「完全に削除」を選択する。

(10)メールを削除する代わりにアーカイブする

受信トレイは整理したいけれど、メールを永久には消したくない場合、メールを「アーカイブ」しておこう。

アーカイブすると、メールは受信トレイから取り除かれるが、別の「すべてのメール」フォルダに格納され、いつでも閲覧できるようになる。このメールは、ゴミ箱のように勝手に削除されることはないので安心だ。

メールをアーカイブするには、メールを開いてから、ページの上部にある、下向きの矢印が付いたボックスのような形をしたアーカイブのアイコンをクリックする。

メールをアーカイブすると、左のサイドバーにある「すべてのメール」ラベルに振り分けられているので、メールを再度閲覧したい場合は、そこから探せる。

(11)重要なメールが迷惑メールにならないようにする

迷惑メール除外

特定のメールをスパムとしてマークしないように設定できる。

画像:筆者によるスクリーンショット

グーグルのスパムフィルターはかなり優秀ではあるが、時にはあまりに厳しすぎて、重要なメールも迷惑メールとしてマークしてしまうことがある。

もしGmailが重要なメールを自動的にスパムフォルダに振り分けてしまったら、迷惑メールに移動してそのメールを開き、ページの上部にある「迷惑メールではない」をクリックする。

モバイルアプリでこのオプションが表示されない場合は、右上の3つの点をタップし、そこから「迷惑メールでない」を選択できる。

メッセージを受信トレイに戻すことで、グーグルが今後そのようなメッセージをフィルタリングしないように学習していくことが期待できる。

(12)メールをブロックする

ブロック

メールを送ってきた人をブロック。

画像:筆者によるスクリーンショット

受け取りたくないメールが送られてくる場合, それらをブロックできる。

この設定をしておけば、そのメールアドレスから受け取ったメッセージはすべて自動的に削除される。

ブロックしたい相手から届いたメールを開き、返信ボタンの横にある3つの点をクリックし、「●●さんをブロックする」を選択すればいい。

また、「配信停止」のオプションが表示されている場合は、それをクリックすると、そのメールの送信元であるメーリングリストからあなたを外すことができる。

後でブロックを解除したい場合は、Gmailのウェブサイトで右上の歯車アイコンをクリックし、「すべての設定を表示」を選択。

開いた設定ページで、「フィルタとブロック中のアドレス」をクリックし、再び連絡を取りたい相手の横にある「ブロックを解除」をクリックすると解除される。

(13)キーボードショートカットを使う

ほとんどのGoogleアプリと同様に、GmailのWeb版ではマウスを使わずに操作可能。キーボードとショートカットだけ多くの操作が可能だ。

まずは、ショートカットをオンにする必要がある。

GmailのWebサイトを開き、右上の歯車アイコンをクリックして、「すべての設定を表示」をクリック。設定ページの「全般」タブにある、「キーボードショートカット」までスクロールし、「キーボードショートカット」をオンにする。

その後、ページの一番下までスクロールして、「変更を保存」をクリックすれば準備完了。

切り替え

ショートカットのオン・オフは「全般」タブから設定する。

画像:筆者によるスクリーンショット

キーボードショートカットをオンにすると、Gmailの基本的な機能のほとんどをマウスなしで操作できるようになる。

例えば、新しいメッセージを作成する場合は、「C」キー(タブ内のミニウインドウで作成)または「D」キー(別タブで作成)を押す。

検索バーを選択するには、「/」キー、受信トレイのメッセージ間を移動するには、「J」キーと「K」キーを使う。

Gmailのキーボードショートカットの全リストを見るには、「Shift + ?」キーを押すとポップアップで表示されるので、一度確認しておこう。

(文・中山智、編集・小林優多郎

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