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Monday, April 24, 2023

ChatGPTの「ウラガワ」を知れば、本質が見えてくる ChatGPTとの向き合い方で人を「フィルタリング」できる!? –データのじかん週報2023/4/24付 - データのじかん

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ChatGPTの「ウラガワ」を知る意義と、ある意味、AIの脅威よりもChatGPTとの向き合い方について一石が投じられました。

データのじかん週報では、データのじかんの編集部内で会話されるこばなしを週1度程度、速報的にお届けいたします。

こばなし1:ChatGPTの「ウラガワ」を知れば、本質が見えてくる

 

大川:昨今、話題に事欠かないといえば「ChatGPT」ですね。エンジニア界隈だけでなく一般のビジネスパーソンから芸能人まで、名前を聞かない日がないと言っても大げさではないです。データのじかんとしてはもちろん、ChatGPTは私個人の新しい調査テーマとしても追いかけています。直近ではChatGPT関連のイベントだけで5本参加しました。

野島:さすがの注目度ですね。今週はデータのじかんでも、IT・AIのプロフェッショナルの方とご一緒してChatGPTとLLMの進化をテーマにした記事を公開したばかりです。

大川:私としてはChatGPTの技術的な話以外でも、実際に使用してみることで気付かされる「視座」が非常にバラエティに富んでいて面白いと感じています。ただ、そのためには生成した文章だけでなくその「ウラガワ」にある「プロンプト」に着目する必要がありますね。

■プロンプト(プロンプトエンジニアリング)
コンピュータやシステムにコマンドを入力を促す記号のこと。ChatGPTにおいては、応答を生成するための文章のことを指す。「質問」や「命令」、またはより詳しい「指示」をプロンプト(文章)で指示することで、高品質なテキストを生成できる。そのための技術をプロンプトエンジニアリングという。

大川:すごく分かりやすいのが、あるChatGPTイベントで紹介された「対話型RPG」です。このゲームのルールはすごくシンプルで、プレイヤーが「パーティーを探しに酒場に行く」などの行動を入力すると、自動でそれに応じたストーリーが展開されます。それを繰り返し、5ターン(会話5回)以内に魔王を倒せたらゲームクリアです。

野島:もちろん、ウラガワではChatGPTであらかじめ設定されたプロンプトによって、シナリオが生成されているんですよね?

大川:その通りです。ただ、このプロンプトが予想以上に「短くてシンプル」なのが肝です。それも主に表示方法を指示しているだけで、どのようにシナリオの作成方法などについてはほとんど記載されていないんですよ。つまり、ChatGPTはプレイヤーの千差万別の質問をもとに対して、ただ膨大な「RPGあるある」を回答するだけで、違和感のないシナリオを構築しているというわけです。ウラガワを見たときに私は、「ゲームシナリオって『こういうもの』だよね」と気付かされたわけです。プレイヤーはもちろん、出てくるモンスターや主人公の職業、作品のジャンルは違っても、根本の作りはこれまでの情報から構築できるんです。実際にこの世に存在する魔王を倒した人間はいないので、当たり前といえば当たり前かもしれませんが。

対話型ゲームのチャットボットのコード(一部抜粋)
https://github.com/yukinaga/chatgpt_api/blob/main/section_4/05_rpg.ipynb

大川:ChatGPTがまるで超技術のように語られることもありますよね。ただ、現状はあくまであるものをそれっぽくまとめて回答しているだけです。けれども今回のRPGのように「あるものを改めて打ち返されて気付ける」ことも十分に考えられます。それこそ、現時点のChatGPTの有意義な使い方であり価値なのではないでしょうか。

野島:ChatGPTは技術的には大きな変化はしていないけれど、やはり対話型というUI設計だからこそ「食っている情報が段違い」なのが、なんでもそれっぽく回答できる理由ですよね。それにしても、なんでもそれなりに回答してくれるのであれば、いずれChatGPTに恋してしまう人も現れそうですね。

大川:確かに(笑)。相談相手に恋愛感情を抱いてしまうのは、王道ですからね。実際、ChatGPTは占いとも相性が良く、質問者に対して「それなりに心地よい結果」を提示できるので余裕だと思いますよ。

野島:人の感情をコントロールできるとなると少し怖い感じもしますが、開発者側は意図的に感情に関するデータを食わせる設計をしていると考えられますか? 私もChatGPTについ「ありがとう」と感謝の言葉を打ち込んでしまうこともあるんですが。

大川:私はそんなことはないと思いますよ。あくまで他と同じように「この単語の次はこの単語が来る」というように属性でつないでいるだけではないでしょうか。対話型なので利用者が感情を向けてしまうのは、往々にしてあると考えられますよ。ほら、スマートスピーカーやかなり昔のWindowsに搭載されていた「イルカ」も、冗談か本気か分からない色々な感情を向けられていたじゃないですか(笑)。

■Windowsに搭載されていたイルカ:「カイル君
カイル君は、Microsoft Officeにいたイルカの仲間。かつて、Microsoftオフィスソフトの画面上にアシスタントとして活躍。利用者にフレンドリーなサポートを提供し、作業効率を向上させる目的として実装されていた。もはやMicrosoftさん自ら”ヤツ”呼ばわりに”愛”しか感じない。

こばなし2:ChatGPTとの向き合い方で人を「フィルタリング」できる!?

野島:ChatGPTによる各方面のインパクトも懸念されていますが、大川さんはどのように考えていますか? 例えば、IoTセンサーが登場したときのような大きなインパクトは今後、起こると思いますか?

大川:プログラミング言語が自然言語に置き換わったわけですから、それだけ翻訳者が増えるのでSlerにとっては厳しくなるのではないでしょうか。ただ、ノンコーディングの流れはAPIが起点となって以降、すでに大きくなり続けていたので「新しい波」というわけではないと考えています。ただ、既存の潮流がChatGPTによって大きくなったのは事実で「一気に来たね」というのが正直な感想です。

野島:エンジニアからしたら「ただUIが変わっただけ」かもしれませんね。ただ、自然言語になったおかげで一般人でも利用できるようになり、裾野が広がって「食っている情報量」が莫大になり注目しなければならない事象でしょう。UIを変えるだけで、これだけ社会的に浸透することが大きなインパクトといえるかもしれません。

大川:そうですね。自然言語で行える領域が広がって興味を持つ人が増えれば、コーディングしかできない人はもちろん、日々の業務でオペレーティングしかしていない人にとっては「仕事が減る時代」が近づいたのかもしれません。私としては技術的な側面だけではなく、むしろ「ChatGPTとどう向き合うか」でフィルタリングできてしまうのがポイントだと思います。

野島:ChatGPTをどう使うか、ではなく「向き合うか」ですか。

大川そうです。ChatGPTはあくまで「あるものを打ち返すだけ」のシステムです。しかもその打ち返す内容は、質問する人間の認知力に合わせてくれるんですよね。プロンプトの内容はもちろん、回答の汲み取り、次の質問に反映させて精度を向上させるのも利用者次第。だからChatGPTを「使えない」という人は、自分から「私は認知力が低い人間」もしくはなぜ使えない回答が出てきたのかという「推論」ができないと言っているようなものなんですよ。そしてそのどちらも、ビジネスには欠かせない能力です。

野島:以前から何度か取り上げている「組織の8割はオペレーションの人」がより分かりやすくなる可能性があるということですか。

大川:そうですね。これだけ産業や業種、キャリアの壁を超えて手軽に利用できるChatGPTは「使って当然」です。ただ、何度かChatGPTの使用状況を質問するとやはり2割の人は登録すらしていない。企業がChatGPTをどう生かすかは議論の余地がありますが、少なくとも個人レベルでは、その人がオペレーションの人か否かを分けるフィルターになると思います。

データのじかん編集長 野島 光太郎(のじま・こうたろう)  
広告代理店にて高級宝飾ブランド/腕時計メーカー/カルチャー雑誌などのデザイン・アートディレクション・マーケティングを担当。その後、一部上場企業/外資系IT企業での事業開発を経て現職。2023年4月より上智大学プロフェッショナル・スタディーズ講師。MarkeZine Day、マーケティング・テクノロジーフェアなどにて講演。近著に「今さら聞けない DX用語まるわかり辞典デラックス」(左右社)。静岡県浜松市生まれ、名古屋大学経済学部卒業。
データのじかん主筆 大川 真史(おおかわ・まさし)  
IT企業を経て三菱総合研究所に約12年在籍し2018年から現職。専門はデジタル化による産業・企業構造転換、製造業のデジタルサービス事業、中小企業のデジタル化。(一社)エッジプラットフォームコンソーシアム理事、東京商工会議所学識委員兼専門家WG座長、内閣府SIP My-IoT PF、ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会 中堅中小AG、明治大学サービス創新研究所客員研究員、イノベーション・ラボラトリ(i.lab)、リアクタージャパン、Garage Sumida研究所、Factory Art Museum TOYAMAを兼務。官公庁・自治体・経済団体等での講演、新聞・雑誌の寄稿多数。直近の出版物は「アイデアをカタチにする!M5Stack入門&実践ガイド」(大川真史編、技術評論社)
データのじかん編集 藤冨 啓之(ふじとみ・ひろゆき)  
経済週刊誌の編集記者として活動後、Webコンテンツのディレクターに転身。2020年に独立してWEBコンテンツ制作会社、もっとグッドを設立。ライター集団「ライティングパートナーズ」の主宰も務める。BtoB分野を中心にオウンドメディアのSEO、取材、ブランディングまであらゆるコンテンツ制作を行うほか、ビジネス・社会分野のライターとしても活動中。データのじかんでは編集・ライターとして企画立案から取材まで担う。1990年生まれ、広島県出身。

(TEXT・編集:藤冨啓之)

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Friday, April 21, 2023

新しいツールで生徒がオンライン上の情報源を見つけ、信頼性を ... - Microsoft News

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著者: バネッサ ホー (Vanessa Ho)

※本ブログは、米国時間 2 月 9 日に公開された “New tools help students find and evaluate sources in a sea of online information” の抄訳を基に掲載しています。

高校教師のクリステン ポペスク (Kristen Popescu) 氏は、ネットで調べ物をする生徒たちの困った傾向を長年目にしてきました。それは、彼らが大量の情報の中から信頼できる情報源を見つける方法をわかっておらず、たいてい最初に出てくる検索結果だけをクリックしていることです。情報源をたずねると、多くの生徒は漠然と検索エンジンの情報だと回答するので、ポペスク氏は落胆してしまうのです。

ポペスク氏は、シアトル東部の郊外カークランドにある Lake Washington High School で、生物学と海洋科学を教えています。「情報が簡単に手に入るようになったのですから、信頼できるものとそうでないものを判別できなくてはなりません」と、ポペスク氏は語ります。

そこでポペスク氏は、生徒の情報リテラシーを向上させようと Search Coach (検索コーチ) を使い始めました。これは、生徒が効果的に検索クエリを作成し、情報の信頼性を評価できるよう支援する新しいツールです。現在 Microsoft Teams for Education にて一般提供されているこのアプリは、広告のない安全な環境でフィルターや運営者、信頼性の評価について生徒を指導します。

クリステン ポペスク氏 (撮影: Spencer Kabelac Productions)
クリステン ポペスク氏 (撮影: Spencer Kabelac Productions)

情報リテラシーのさらなる向上に向け、近日中に Search Progress というコンパニオンアプリも教育者に提供される予定です。このツールによって教育者は生徒の進捗状況に関するインサイトを把握できるほか、生徒が自らの取り組みを示せるような課題を作成し、その課題の評価も合理的にできるようになります。これで教育者は、不透明で静的な参考文献を目にすることもなく、生徒がどのように情報源を見つけたのか、なぜ特定の情報源を選んだのか、といったような調査プロセスそのものが把握できるようになり、論理的思考力のスキルを教えられるようになるのです。

この教育用検索アプリは、世界中にいる何百人もの教師や司書、メディア リテラシー専門家からのフィードバックをもとに開発されたもので、ポペスク氏もこのアプリの作成に協力した人物のひとりです。多くの協力者が、情報過多の時代においてリテラシー ツールを改善する必要があるという考えを示していました。

マイクロソフトで教育マーケティング担当バイスプレジデントを務めるペイジ ジョンソン (Paige Johnson) は、「Search Coach と Search Progress は、生徒が論理的思考力を高められるよう、また自信を持って検索できるよう、そしてより強力な情報リテラシー スキルを身に着けられるよう支援します」と述べています。「マイクロソフトでは、あらゆる生徒が将来に備えて必要なスキルを身につけられるよう支援しており、こうしたツールもその取り組みの一環です」

Search Coach と Search Progress は、情報リテラシー、数学、リーディング、スピーチなど、必要な学力の習得をサポートするマイクロソフトの Learning Accelerators という新しいカテゴリーで展開するツールの一部です。これらのツールでは、パーソナライズされた指導や、自己学習の機会、リアルタイムでのコーチング、実用的なインサイトなどが、単一の効率的なプラットフォーム上で実現します。

ポペスク氏は、海洋生物や気候変動に関する授業で、ドメインやパラメータといった研究の概念を取り入れる際に、Search Coach のフィルター機能が役立つといいます。このアプリはアダルト コンテンツをブロックするため、生徒があらゆる調査プロジェクトに適用できるスキルを実践する際にも安全な場が提供されます。また、数千におよぶサイトの信頼性と透明性を評価するためにジャーナリストが作成した NewsGuard というツールの評価を統合することで、生徒は情報の評価方法も学ぶことができます。

ポペスク氏は、生徒が何回検索したか、どのフィルターを使ったかなどが把握できる Search Coach のインサイトを活用することが楽しみだといいます。信頼できる情報を探すのに苦労している生徒を見つけ出し、サポートできるようなインサイトには、価値があると考えているためです。

「時間をかけて『その情報源はどこで作られたのだろうか、それを裏付ける他の記事は見つかるだろうか』と問いかけ、自分が読んでいるものについて批判的に検討することは、基本的な生活スキルですから」と、ポペスク氏は述べています。

カークランドの International Community School で教員兼司書を務めるアンバー ピーターソン (Amber Peterson) 氏は、Search Coach が情報リテラシーに関する授業の基礎を固める効率的な手段だと考えています。アプリのガイド付きツールや教育者のコントロール機能が、検索クエリや事実確認、偏見の評価に関する彼女の授業にぴったり合っているためです。

アンバー ピーターソン氏 (撮影: ダン デロング (Dan DeLong) )
アンバー ピーターソン氏 (撮影: ダン デロング (Dan DeLong) )

ピーターソン氏は最近、初級研究者と共に、アプリのカスタムフィルターを使って歴史の課題にふさわしいアーカイブサイトのリストを作成しました。移民に関するプロジェクトでは、生徒に国別ドメインフィルターの使い方を教え、韓国の移民についての検索結果が韓国と米国で異なっていることも確認できるようにしました。

このアプリの NewsGuard による評価は、学術サイトや一般大衆によるサイト、たまたまオンラインで公開されている高校生の読書レポートなどの信頼性について、活発な議論に発展することもあります。別の信頼性評価ツールを追加したい場合は、結果を snopes.com やその他事実確認サイトの記事に限定するというフィルターを有効にすることも可能です。

ピーターソン氏が勤めているのは中高生を対象とした学校ですが、「生徒が利用できる情報は非常に多いため、私の仕事の大半は、その情報に偏見や学術的な性質があるかどうか、生徒に情報をどうフィルタリングしてどう扱うべきか教えることです」といいます。

「Search Coach は、生徒がうまく情報を検索し、その信頼性を評価する際に役立つツールです」

ニュージーランドの Napier Boys’ High School でデジタル テクノロジ責任者を務めるジョン ステープリー (John Stapley) 氏も、ピーターソン氏と同じく Search Coach を称賛しています。このアプリによって調査スキルを教えることができ、生徒が自主的に作業できる場を与えられる点を評価しているのです。リアルタイム コーチングのヒントでは、生徒のクエリに基づいてパーソナライズされることが多く、例えば生徒が「犬よりも猫の方が優れているのか」と入力した場合、より良い結果を得るには偏りのない表現を使うようアプリが提案します。

Napier Boys’ High School の生徒たち
Napier Boys’ High School の生徒たち

このアプリを使って情報リテラシーの必修科目を設計し、その授業を担当しているステープリー氏は、「Search Coach を使う前の生徒は、調査スキルを全く持っていなかったのですが、コースを修了する頃にはクエリを絞り込む方法を習得できるので、情報の嵐に巻き込まれることもなくなります」と話しています。

メキシコのエルモシヨで障碍のある生徒を担当している学校心理カウンセラーのセルジオ ルイス (Sergio Ruiz) 氏は、Search Coach のインクルーシブ デザインが重要だといいます。このアプリは、検索結果から画像や動画、広告を排除するため、注意散漫になる状況が最小限に抑えられます。また、明確な表現やチェックボックスにより、検索のコンセプトが生徒にとって扱いやすく、また理解しやすくなっています。ルイス氏の生徒は最近、Search Coach を使って自分の障碍について調べ、授業で発表する課題もこなしています。

「注意力や集中力を失いやすい生徒もいますが、Search Coach を使うことで、入手する情報に集中できるようになりました」とルイス氏は話します。「将来必要となる検索スキルや情報リテラシースキルの構築に、このツールが役立っているのです」

トップ画像:ワシントン州カークランドの International Community School で教師兼司書を務めるアンバー ピーターソン氏 (撮影: ダン デロング (Dan DeLong) )

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Tuesday, April 4, 2023

フィルタリングは必須!子どもが初めて「スマホ」を持つ時に知っておきたいルール・設定のコツ - goo.ne.jp

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この春、新生活が始まるタイミングで子どもにスマホを持たせる人もいるはずだ。

その際に注意すべき点、親子でのルールづくりのコツはぜひ知っておきたい。

ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーの鈴木朋子さんに聞いた。

子ども向け携帯電話とスマホの違いは?

内閣府が2月に発表した「令和4年度青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」によると、10歳以上の小学生の64%が自分専用のスマホを持っているという。

ちなみに中学生では91%、高校生は98.9%もの子どもが自分のスマホを持つという結果が出ている。

「小学生の高学年くらいになると、塾や習いごとなどで1人での行動が増えるので、見守りの意味を込めてスマホを持たせる家庭が多いですね」と鈴木さん。

「スマホがここまで一般的になる前は子ども向けの携帯電話が最初の選択肢になる家庭も多かった」という。

子ども向けの携帯電話とは、スマホ以前に主流だったフィーチャーフォン、通称「ガラケー」のようなもの。

「丈夫で壊れにくいため子どもが多少乱暴に扱っても安心で、月額の利用料金もスマホと比較して低く抑えられる」ということもある。GPSが内蔵されており、位置情報の取得も可能だ。

「ただし、あらかじめ登録した、限られた連絡先にしか電話できない、アプリも使えないなどの理由で物足りなさを感じるご家庭もあります。そのため最初からスマホを持たせるご家庭が増えています」

ルール設定でまず抑えたい基本

子ども用のスマホも存在するが、多くは大人も使うスマホ端末を子どもが利用するケースのはずだ。その際に、最低限決めておくべきルールは何だろうか?

「まず大切なのは『1日1時間まで』など使用時間の上限についてのルールです。『21時以降は使わない』など終了時間の設定も必要でしょう。曜日ごとに設定したり、習い事のある日はちょっと遅くまで使ってもいいよ、というように実際の生活に合わせて無理なく守れるルールにすることがコツです」

加えて決めておきたいのが「スマホを使う場所」だ。

「自分の部屋に持ち込んでしまうと、いつまでも使ってしまいます。ですから家族の目があるところ、例えば『リビングのみで使う』と決めるのも効果的。そうすれば詐欺メールなどが届いたときなどに、子どもがすぐ親に尋ねて被害を未然に防げるケースがあるでしょう」

友人間でのトラブルがあった場合も、スマホを操作する子どもの様子がおかしいなど、早めに気づくことができるはずだ。さらに犯罪被害を防ぐためには「SNSなどで知り合った人に個人情報や連絡先を教えたり、会いに行ったりしない」などのルールづくりも忘れてはいけない。

フィルタリングをうまく活用する

鈴木さんのもとに寄せられる相談でもっとも多いのが「長時間利用に関する悩み」だという。

「ずっと動画コンテンツを見続けている、友達とずっとLINEのやりとりをしている、などの相談です。それが進むと、深夜まで寝ずにスマホを見続けてしまう、テスト勉強をしない、など生活に支障が出てきて事態は深刻になっていきます」

長時間利用を防ぐには時間のルールづくりとともに「YouTubeは1時間まで」といったようにアプリごとの使用時間を設定するのもおすすめだという。

ここで活躍するのが「フィルタリング」だ。

そもそもフィルタリングとは、違法や有害情報との接触から子どもを守り、安心して安全にインターネットを利用する手助けをするサービスのこと。18歳未満の子どもがスマホや携帯電話を持つ際にはフィルタリングを設定することが法律で義務化されている。

具体的には、ドコモ、ソフトバンク、au、LINEMO、Y!mobileなどが運営する「あんしんフィルター」。また、子どものAndroidスマホに設定できるGoogleのアプリ「Googleファミリーリンク」、iPhoneやiPadなどには「スクリーンタイム」と「ファミリー共有」もある。

この機能によって有害なサイトを閲覧できないようにするだけでなく、アプリの利用時間も設定できる。有料コンテンツも勝手に購入できないようにできるため、ゲームアプリなどの課金で多額の請求が届くなどのトラブルも未然に防ぐことができる。

アナログの見守り+フィルタリングの両輪がマスト

ただ、フィルタリングがあれば安心とはいかないのが難しいところ。なぜなら、フィルタリングは親の許可があれば解除できるからだ。

「高校生ぐらいになると学業に関して自分で調べ物をする機会も多く、フィルタリングが支障となるケースもあります。親のほうも細かく解除の設定するのは大変なので『まあ大丈夫だろう』と、すべて解除してしまうケースが多いのです」

だからこそ、鈴木さんは「『フィルタリング』と『家庭での見守り』の両輪でお願いします」と強調する。そのためにも子どもの様子の変化に早めに気づけるよう、親の目が届く範囲でスマホを使うルールが大切になる。

「例えば子どもが夜遅くまでスマホを見てると気づいたら、まず『そろそろおわりの時間が近いよ』と声をかける。それでもやめないときにはフィルタリングの設定で21時で強制的に終了とする。この両方をうまく使わないとルールの運用は難しいでしょう。

口で言うだけでは何となく利用時間が延びてしまうこともありますが、フィルタリングでロックされてしまえばしょうがないよね、と子どももあきらめられる。親子の関係性が必要以上に悪化せずにすみますよね」

スマホとうまく付き合うために

「子どもの頃からインターネットに触れて、フェイクニュースなどをきちんと判別できるリテラシーをつけることは成長する上でとても役に立つでしょう。YouTubeが勉強に役立つこともありますし、SNSでの励ましあいや情報交換が役立つこともあるはずです」

思春期になると親子で話し合うことも容易ではなくなるが、SNSから拡散されたことでニュースに取り上げられる迷惑動画に関してなど、親自身の率直な感想や考えを子どもに伝えていくことも大事だという。

「『お父さんはこういうのは好きじゃないな』『やりすぎだと思う』『食べ物がもったいないよね』など、ニュースをきっかけに伝えていくだけでも、子どものリテラシーの向上に十分つながるのではないかなと思いますね」

現代の社会において、インターネットを触らせるのは不安だからと遮断するのはもはや不可能に近いだろう。うまく付き合う方法を親子でそれぞれ見つけていくことが大切そうだ。
 

鈴木朋子
IT ジャーナリスト。ITの知見と2人の娘の子育て経験を生かして、子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」として活動中。著書に『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)がある。

取材・文=高木さおり(sand)
イラスト=さいとうひさし

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Monday, April 3, 2023

子どもの有害サイト接続制限“フィルタリング”利用90%|NHK 岡山 ... - nhk.or.jp

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子どもがスマートフォンなどで、有害なサイトに接続するのを制限するフィルタリング機能の県内での利用率はおよそ90%で、これまでで最も高くなったことが県の調査でわかりました。

18歳未満の子どもが、スマートフォンなどを契約する際は、原則として販売店がフィルタリングを設定することが義務づけられています。
県はことし1月から2月にかけて、県内211の販売店を対象に実態を調査し、135店舗から回答を得ました。
それによりますと、この期間に契約された519件のうち、保護者などの意向を確認してフィルタリングを設定したのは472件で、率にして90.9%でした。
去年を8ポイント余り上回り、平成27年度に調査を始めてから最も高くなりました。
県は警察と連携して、学校で子どもたちに指導したり、保護者向けの説明会の開催を重ねたりしたことで、フィルタリング機能についての理解が深まり、浸透してきているのではないかとしています。
一方で「うちの子は大丈夫」とか「親の責任で管理する」といった理由で、保護者が設定を希望しないケースもあったということです。
県男女共同参画青少年課は「SNSをきっかけにした犯罪被害も増えているので、今後もフィルタリングへの理解促進を進めていきたい」としています。

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