料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回はクリスマスの食卓にもぴったりのローストビーフの作り方を教えていただきます。
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―― 冷水先生、こんにちは。12月に入って、もう年末感ですね!
冷水 はい、本格的に寒くなってきましたしね。
―― 引き続き読者のみなさんは来たるべきビッグイベントであるクリスマスとお正月に向けて、予習に余念がない様子です。
冷水 みなさん、腕まくりしてますね(笑)。
―― 今回は満を持して、直球のクリスマスメニューをご紹介できたらと思うのですが、いかがでしょうか?
冷水 お、やる気満々ですね! ではクリスマスの定番料理、ローストビーフはどうでしょう?
―― おおお……。なんだか一気にハードルが上がったような気が……。
冷水 そんなことはないですよ! ローストビーフは自宅でも簡単に作れますし、前日から用意しておけるので、初心者の方でも落ち着いて作れていいんですよ。当日にお料理するのは気が急(せ)きますからね。
―― それはいいですね! レシピを確認しながら落ち着いて調理できたら、失敗も減りそうです。
冷水 しかもローストビーフはオーブンで焼いて、あとはほったらかしなので、その間にもう一品作れたりと、忙しい方にはとってもありがたい料理なんです。
―― わお! 今日のお肉はいつにも増して存在感がありますね~。
冷水 はい、ローストビーフは、素材の味が命です。クリスマスですし、いつもより少し奮発して、牛もも肉を用意していただけるといっそうおいしく仕上がると思います。
―― お肉の下味は塩だけですか?
冷水 はい、今日はフルーツのソースを添えますので、塩だけにしました。わさびしょうゆで食べる場合も下味はお塩だけで大丈夫です。シンプルに塩とこしょうで味付けしてもいいですね。その辺りはお好みで。
―― 先生、冷蔵庫でお肉を保存していた場合は、調理前に常温に戻した方がいいでしょうか?
冷水 いえ、冷たいままでも大丈夫です。下味をつけたあとも時間を置く必要はありません。手でしっかりと塩をもみ込んだら、すぐにフライパンで焼いてOKです。
―― まずはフライパンで表面を焼くんですね。何か注意することはありますか?
冷水 とにかく焼き過ぎないことですね。この「焼き」は肉に火を通すというより、表面だけを焼いて肉汁が逃げるのを防ぐためのものですから。表面の色が変わったら肉を転がして、全面を軽く焼いてください。
―― 焼き過ぎてしまうと、ローストビーフの命であるバラ色の断面が台無しになっちゃいますもんね!
冷水 焼けたら一度取り出して、次はオーブンでの「焼き」です。ポイントは「湯煎焼き」です。天板にお湯を入れて湯煎しながら焼くことです。お湯は熱湯を使うのがおいしく作るコツです。
―― 水を入れてもオーブンの熱でお湯になるし、まあいいか的な考えではダメですか?
冷水 横着しちゃ、ダメ(笑)。熱湯を注ぐことで一気にオーブン内にスチームが充満するんです。このスチームがお肉をしっとりとさせてくれます。
―― なるほど! ちゃんと理由があるんですね、スミマセン……。
冷水 そうそう、このとき天板にローズマリーなどお好みのハーブを入れておくと、ハーブの香りがお肉に移るんです。シンプルなソースでいただくときはその手もいいと思いますよ。
―― わあ、それもすてきですね! ところで……お肉の調理はこれで完了ですか!?
冷水 はい。あとはオーブン任せです。焼き上がりを待つ間にソースを作りましょうね。今日はちょっとおしゃれに、りんごを使ったソースにしてみました。
―― わあ、ロマンチックです〜。
冷水 これも切ったりんごと調味料を小鍋で煮るだけなので、とても簡単です。似ている間に少しアクを取るくらいで、基本ほったらかしです(笑)。
―― りんごは形がなくなるくらいまで煮た方がいいんですか?
冷水 それもお好みです。今日は少し形を残して、お肉と一緒に食べたときに、お口の中で果汁があふれてソースになるような感じにしましょうか。
―― 賛成! そのほうが楽しいですね。
冷水 さあ、そろそろお肉も出来上がりです。お迎えする準備をしましょうね。
―― お、お迎えですか!?
冷水 そう、ローストビーフの仕上げは、お肉自体が持つ余熱でじわじわ火を入れることなので、アルミ箔でくるんで1~2時間休ませるんです。
―― この十字架のようなアルミ箔は、お肉さんの仮眠ベッドなんですね(笑)。
冷水 アルミ箔を二重にしたものを十字に重ねて、その中央にお肉を置いてください。それで包んで、しばし眠っていただきます。
(2時間後……)
冷水 さあ、そろそろいい塩梅だと思いますから、切ってみましょう。
―― わあ! すごくきれいなバラ色の断面!
冷水 作った初日だと少し赤い肉汁が出てレア感が強いですが、このあと冷蔵庫で半日〜1日置くと肉汁も落ち着いて、味も凝縮されます。肉肉しい感じや食感がお好きな方は作った当日に、お肉のうまみを堪能したい方は翌日にお召し上がりください。
―― 私は半分は当日、残りは翌日食べる作戦でいきます!
冷水 それは名案です(笑)。
今日のレシピ
ローストビーフ
◎材料(4人分)
牛もも肉:500g
塩:適量
油:少々
りんご:200g
砂糖:20g
レモン汁:小さじ2
白ワインビネガー:小さじ2
白ワイン:150ml
カルダモン:1粒
クローブ:1本
チコリ:適量
◎作り方
1 牛もも肉に塩をもみこみ、フライパンで中火強で表面を全面焼く。
2 オーブンの天板にのせた網の上に肉を置き、120度に予熱したオーブンで湯煎しながら40分焼く。その後肉を取り出し、アルミ箔で包んで1時間以上保温する。
3 りんごは皮つきのまま1㎝大の角切りにする。砂糖、レモン汁、白ワインビネガー、白ワイン、つぶしたカルダモン、クローブと一緒に鍋に入れて、中火にかける。沸いたらアクを取ってふたをし、弱火で20分ほど煮る。
4 2の肉をスライスする。塩味が足りなければ表面に少し塩を振り、チコリを添える。2のソースを別の器に盛って、好みで肉にかけながら食べる。
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(料理・レシピ 冷水希三子 写真 関めぐみ 文 小林百合子)
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冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家
PROFILE
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小林百合子
編集者
1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。 -
関めぐみ(写真)
写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。
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December 12, 2019 at 10:02AM
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