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Tuesday, January 21, 2020

ウズベキスタン料理は羊料理の楽園だった - メシ通

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「ウズベキスタン」と聞いて、パッと場所が思い浮かぶ人はどれぐらいいるでしょうか。「スタン」がつくのでなんとなく、アフガニスタンやカザフスタンの近くとわかるだけでもいい勘をしています。

ウズベキスタンは中央アジアにあります。中央アジアは、ロシアの南、中国の西、イランの北東に位置し、ウズベキスタンはその真ん中ぐらいにある国です。

観光の見どころは古都・サマルカンドの青い遺跡群。モスク(イスラム教の礼拝堂)、マドラサ(神学校)など緻密なイスラム建築の遺跡は言葉にできない美しさで、近年は日本からも多くの観光客が訪れています。

ウズベキスタン料理は馴染みがないかもしれませんが、プロフ、シャシリクなどは口にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

そんなウズベキスタン料理の専門店が高田馬場にあります。

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サマルカンドのイメージカラー青を基調とした外観の「ヴァタニム」です。

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2019年2月にオープンしたばかりの新店で、店内のいたるところにウズベキスタンの小物が配されていて、ちょっとした旅行気分を味わえます。

今回はウズベキスタンの本格ガイド本『はじめて旅するウズベキスタン』(辰巳出版)を上梓したカメラマンの矢巻美穂さんにお越しいただき、ウズベキスタンの料理と旅の魅力について語っていただきました。

はじめて旅するウズベキスタン

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▲矢巻美穂(やまき・みほ)。カメラマン。国内外の旅行雑誌を中心に撮影、執筆、編集までを行う。『ソウルラバーズが教えてくれる本当においしいソウル』(辰巳出版)、『トレッキングとポップな街歩き ネパールへ』(イカロス出版)など著書多数。本人公式YouTubeサイト『旅ちゃんねるMinMinTour』

www.youtube.com

日本人観光客が急増中のウズベキスタン

──知らない方も多いと思いますので、ウズベキスタンはどんな国か教えてください。

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:中央アジアにあり、過去にはシルクロードの中継地として栄えました。美しいイスラム建築の遺跡が多く現存しており、シルクロードの宝石と呼ばれています。

──最近は日本の観光客が急増しているそうですね。

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:2018年2月から、日本人はウズベキスタンのビザが免除になりました。その数年前から直行便も就航し、注目が集まっていたんです。首都・タシケントまでは、直行便だと成田から約7時間半で着きます。

──『はじめて旅するウズベキスタン』を出されたキッカケは?

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:もともと私はシルクロードの世界が好きで、本書の編集長から「ウズベキスタンの注目度があがっているから本にしよう」といわれたのが直接のキッカケです。私自身、本書を作るための取材で初めてウズベキスタンに行きました。
現在、ウズベキスタンは観光大国を目指していますし、親日派でもあるので旅行しやすいと思います。

──初めて旅する方に注意点はありますか?

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:治安は良いので、深夜にひとりで出歩かないなどの常識を守っていれば問題はないと思います。ウズベキスタン航空を利用する観光客の8割ぐらいが女性だと聞きました。カップルも多いそうです。

──ウズベキスタンを深く知る矢巻さんのオススメのプランを教えてください。

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:たとえば滞在期間が6日間として、首都・タシケントで2日間、遺跡観光の街・サマルカンドで2日間、砂漠の街・ブハラで2日間。余裕があれば、ぜひ砂漠のヒヴァを加えてほしいです。首都・タシケントには地下鉄があり、効率よく観光できます。サマルカンド、ブハラは徒歩で回れるところが多いので、散策にぴったりです。

──街によって料理の味は変わりますか?

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:ウズベキスタンはシルクロードにあり、ロシアとも歴史、文化のつながりが深く、近隣の国との交流もありました。それゆえ、世界各国の料理が楽しめます。特にタシケントでは、近年周辺の国のコミュニティやレストランもあります。地方だと、ウズベキスタンの郷土料理が多いですが、どのお店でも羊料理が絶品で、クミンなどのスパイス使いがうまいです。

ウズベキスタンのピラフはたくさんの具材が美味しさの秘密

──今日は矢巻さんにオーダーをお願いしましたが、1品ずつ料理の解説をお願いします。まずは現地で国民的な料理として親しまれている「プロフ」です。

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▲「プロフ」ランチ990円、ディナー1,320円

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:プロフは、日本でいうところのピラフです。作り方は、油で米を炒めてから炊きます。ウズベキスタンのピラフが日本のピラフと違うのは、大量の油を使うところです。だいたい具材の4分の1ぐらい油を入れますね。食べると唇がリップを塗ったようにテカテカになります(笑)。

──現地ではどのように作るんですか?

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:プロフは大きい鍋で作れば作るほど美味しいといわれています。ウズベキスタンで行ったお店では、旅館のお風呂ぐらいの広さの鍋で一度に500キロ、1000人分のプロフを作っていました。肉や野菜の量が多いと旨味もたくさん出て美味しいとされています。ヴァタニムのプロフも、柔らかめのお肉で美味しかったです。

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──ヴァタニムのプロフには「シャキャロップサラダ」という付け合わせのサラダが付きます。ウズベキスタンのサラダに特徴はあるんですか?

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:実は現地のレストランのメニューで、一番ページを割いているのはサラダなんですよ。海外旅行は野菜不足になることも多いと思いますが、ウズベキスタンではその心配はいらないですね。大きく分けると、お酢、レモン、食用油などを使うドレッシングと、マヨネーズの2種類があります。

──マヨネーズは意外ですね。

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:プロフに合わせるならさっぱり系のサラダですけど、なぜかウズベキスタン人はマヨネーズが好きなんですよ。旧ソビエトの文化なのかもしれません。

全く臭みを感じさせない羊肉の串焼き

──続いては「キーマシャシリク」(羊の串焼き)と「ケスマシャシリク」(牛の串焼き)です。「キーマ」とは一般的にひき肉のことですが、ヴァタニムでは羊肉を使用しています。

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▲「ケスマシャシリク」(※手前)ランチ・ディナー共に770円/1本「キーマシャシリク」(奥)ランチ330円/1本、ディナー550円/1本(スメターナは別途)

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f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:シャシリクは長い鉄串に牛肉や羊肉を刺した串焼き料理で、串から外して食べます。ウズベキスタンだとシャシリクは大衆食堂から高級店までどこでもありますね。

──羊肉は臭みが強いというイメージがありますが、「ヴァタニム」のシャシリクは全く臭みを感じさせないですね。

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:とても美味しいですね。ウズベキスタンで食べても羊の臭みはまったくないんです。羊を食べ慣れると、むしろ牛の方がミルク臭く感じるほどです。

──シャシリクと一緒に頼んだ「スメターナ」は何でしょうか?

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▲「スメターナ」ランチ308円、ディナー352円

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:スメターナは新鮮なミルクから作ったヨーグルトのようなものです。ナンやスープ、さらにお肉にまでつけて食べます。酸味があって、塩っぽいので、お肉の油っこさをさっぱりさせてくれるんです。

──確かにパンとスメターナの相性は抜群でした。

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▲「タンディール ノン」ランチ330円、ディナー440円(スメターナは別途)

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:ヴァタニムでは「タンディール ノン」という料理名ですが、一般的には「ナン」と呼びます。ナンは「タンドール(窯)」にペタっと貼り付けて焼くんですが、ウズベキスタンでは毎日食べますし、種類もたくさんあります。ヴァタニムのナンは柔らかいですけど、サマルカンドなどではずっしりと重く密度のあるナンが好まれています。

──現地のレストランとヴァタニムで味の違いは感じましたか?

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:現地のものより、ヴァタニムは比較的さっぱりしています。きっと日本人に合うようにアレンジされているんでしょうね。とても美味しくいただきました。

──ヴァタニムにお酒は置いてないですが、現地のレストランにお酒はあるんですか?

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:イスラム教の国ですが、お酒はあります。ビールもワインも自国で作っていますからね。レストランでも注文できますし、バーもあります。一般的なスーパーにお酒は置いてないのですが、リカーショップで買って、ホテルで飲むことも可能です。特にビールは100種類以上あって、フルーティーな味なども楽しめます。

──最後に改めてウズベキスタンの魅力について聞かせてください。

f:id:exw_mesi:20191227144919j:plain矢巻:遺跡は絶対に外せませんね。カメラマンの私が「実物は写真より100倍キレイ」と言い切れるほどです。
また旅行するときに、私が一番大事にしているのは食事です。ウズベキスタンはどこにいっても料理が美味しくて、しかも安い。古くから食べられてきた素朴な味です。値段はナン、サラダ、メインのお肉、スープといった内容のコースが食堂なら約1,000円ぐらいから。プロフは市場なら1食150円ほどです。
ヴァタニムは、日本では数少ないウズベク料理の専門店。ここに来れば現地で定番の美味しいウズベク料理が食べられます。お客さんもウズベク人が多くて、現地さながらの雰囲気が味わえますね。

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遠い国だと思っていたウズベキスタンでしたが、矢巻さんに話をうかがいながら、ヴァタニムの料理を味わっていると、ぐっと身近に思えてきました。

ヴァタニムの店主に話しかけると、「日本人のお客さんは現状4割ぐらい。もっと増えてほしいね。初めての人にも料理の説明を丁寧にするし、手作りのウズベク料理で待ってるよ」と優しく誘ってくれました。

近年、日本では羊料理が人気ですが、ウズベキスタンは宗教上の理由で豚は食べず、羊をよく食べます。長く羊を食べてきたので、クミンやニンニクが羊の香りとよく合うこと、肉を柔らかくするために玉ねぎと一緒に漬け込むなど、羊料理を熟知しているそうです。また現地では冷凍ではない羊肉を提供するので、臭みがなくて新鮮で、柔らかいとのこと。ウズベキスタン料理は羊料理の楽園なのです。

ウズベキスタンに行くのはハードルが高いという方も、高田馬場でクミンとコリアンダーが香り立つ焼き立ての羊肉にかぶりつきながら、遠い中央アジアを思い浮かべてみるのも趣があっていいのではないでしょうか。

撮影:松沢雅彦

お店情報

ヴァタニム

住所:東京新宿高田馬場3-33-3
電話番号:070-5544-8811
営業時間:12:00~22:00(L.O)
定休日:水曜日
※2020年4月、下記の住所に移転予定
住所:東京都中野区新井1-36-9

書いた人:松本祐貴

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1977年、大阪府生まれ。フリー編集者&ライター。雑誌記者、出版社勤務を経て、雑誌、ムックなどに寄稿する。テーマは旅、サブカル、趣味系が多い。著書『泥酔夫婦世界一周』(オークラ出版)。

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January 22, 2020 at 07:00AM
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