イオンモバイルは2月6日、独自のフィルタリングサービスや60歳以上限定の音声通話プランなどを発表し、親子スマホ勉強会を開催した。6日に行われた会見には、イオンリテールの専門事業本部 モバイル事業部長の井関定直氏が登壇し、これまでの歩みを振り返りつつ、親子スマホ勉強会に対する思いを語った。
改正法の影響で解約率が明確に低下した
イオンモバイルは2016年にMVNOサービスを開始し、安全安心のサービスを低価格で提供することに重きを置く。最大の強みは全国に店舗網を持つことだ。
井関氏は2019年を「法改正や消費増税など2つのトピックがあり、われわれにとっても先行き不透明感があった」と振り返る。そんな中でもイオンモバイルは、ターゲットを絞って各サービスを提供してきた。
代表的なところでは、月額850円(税別、以下同)の「やさしい10分かけ放題」とイオンモバイルのデータ通信サービスをセットにした「やさしいスマホサービス」や、25歳以下のユーザーに対して3年間、データ容量を1GB増量する「3年学割」が挙げられる。2019年春頃から提供を始めたサービスで、主にシニア世代や学生をターゲットとしている。
井関氏は「こうしたサービスの影響も大きく、間もなく60万回線を突破する見込みだ」と手応えを語る。2019年1月末に50万回線を突破したので、ここ1年で約10万回線を得られたことになる。同社が目標に掲げている100万回線まであと約40万。井関氏は「3年ぐらいで達成したい」と話す。
改正法施行後の変化について井関氏は「2019年9月には駆け込み需要があり、10月以降は解約率も下がった」と話す。イオンモバイルは、もともと解約料を設定しておらず、転出のハードルが低いが、それでも「キャリアの大きなキャッシュバックを目当てに出ていかれる(転出する)方が一定量いたことは事実。これが改正法によって、明確に数値が変わった」という。
中でも70歳以上の乗り換えが過去3年間で最も増えている。この理由について井関氏は「キャリアが先般発表した3G停波による影響だ」と話す。実はイオンモバイルにとって、大手キャリアによる3G停波は、顧客獲得のチャンスでもある。キャリアの3Gが停波する前に、イオンモバイルのスマホに乗り換えてもらうのが狙いだ。
これらを踏まえて、60歳以上のユーザーを対象に打ち出したのが、月額980円の「やさしいプランmini.」という新料金プラン。電話やメールなどの利用が多く、データ通信をあまり消費しないユーザーに向けたものだ。井関氏は「シニアによるスマホへの乗り換えを一押しできれば」と期待を寄せる。
また、2019年秋からシニアを対象に、スマホの設定を代行する有償サービスも提供している。当初はGoogleアカウントの設定のみを試験的に(有償で)行っていたが、「それ以外も有償でいいからやってほしいという声があった」ことから、サービスを拡充した。
同時期には全国のイオン店舗でシニアを対象に、スマホの勉強会を開催。「中には開催される度に参加してくださる方もいた」と、シニア層への手応えを語った。加えて「今後はシニアだけでなく親子を対象とした勉強会を引続き開催していく」と述べた。(井関氏)
独自フィルタリング機能を提供する狙い
シニア層を順調に囲い込む一方で、「子どもやその親に対する施作が足りていない」と井関氏は指摘する。
イオンモバイルの運営元であるイオンリテールが2020年1月に実施した調査によると、アンケートに回答した保護者のうち80%が子どものインターネット利用について不安に感じているという。また井関氏によると、2018年には1811人もの子どもがインターネットの利用によってトラブルに巻き込まれており、その数は増加する傾向にあるという。
一方で、約半数の保護者がフィルタリングを入れるべきであると回答しながらも、「実際に入れている人は少ない」と井関氏はいう。これを受けて、イオンモバイルでは独自のフィルタリングサービス「イオンモバイルセキュリティPlus」を月額200円で提供する。
同サービスは、フィルタリング専用ブラウザからのアクセスによる制限だけでなく、ChromeブラウザやSNS(LINEやTwitter)など、他のアプリ内ブラウザを使った場合もフィルタリングが機能するように設計している。子どもによるスマホ利用の時間を制限したり、ゲームなどのアプリで子どもが勝手に課金したりしないように制限する機能も備える。
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子どもや親にスマホを正しく使ってもらいたい――親子スマホ勉強会
ネットの危険性やフィルタリングについての理解を深めてもらうことを目的とした、親子スマホ勉強会も同日に開催した。
親子勉強会では「SNSで個人名を含む個人を特定しやすい情報を書き込むのはやめましょう」などと書かれたプレゼンスライドを交えながら、専門のスタッフによる説明が行われた。
スマホを持つメリットとデメリットについても説明し、メリットについては「スマホは家族間でのやりとりに加えて調べ物をするのにも重宝する」とし、デメリットについては「会話でのコミュニケーションが不足する」「依存症になってしまうケースもある」などが挙げられた。
親子でしっかりとルールを作ってスマホを使うことを推奨した他、「法律上、子どもが有害サイトにアクセスできないように保護者がフィルタリングを行うことや、通信事業者もフィルタリングサービスを推奨することが義務付けられている」といった内容の説明がなされた。
遠方から来た保護者は「子どもがLINEを利用した際にトラブルに巻き込まれた。ちょうどいい機会なので今回の親子教室に参加した」と話していた。別の保護者は「子どもがネットのトラブルに巻き込まれないようにフィルタリングサービスを検討したい」と話していた。キッズケータイを子どもに持たせているという保護者も「将来的にはスマホを持たせることになるので、正しい使い方を一緒に学んでいきたい」と話していた。
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