幅広い料理に使われるジャガイモが高くなっています。東京都中央卸売市場の卸売価格をみると3月は1キログラム280円と前の年の2.2倍です。平年比で7割以上高くなっていて、比較可能な1977年以降で最高値になりました。スーパーの店頭価格も前年に比べ3割高くなっています。この傾向は4月以降も続いています。
家庭消費はほとんど国産
新型コロナによる巣ごもりで家庭で消費する野菜の量が増えています。全国の食品スーパー売上高を見てみると野菜(青果)の売り上げはコロナ前の2019年比で8.1%伸びています。ただ卸値で比較するとレタスは3割安、キャベツは5割安となっており、ジャガイモとは逆です。レタスやキャベツは肉料理のつけあわせやサラダバーで多く消費されていましたが、外食自粛の直撃を受け需要が減りました。もちろんジャガイモも外食で使われています。
ではなぜ上がっているんでしょうか。外食では輸入ジャガイモが多く使われています。マッシュポテトやフライドポテト用の加工ジャガイモが多いです。ファミリーレストランのデニーズやサイゼリヤはホームページでフライドポテトなどの加工国を表示しています。一方、家で食べるジャガイモは国産がほとんどです。農林中金総合研究所は「外食の自粛にもかかわらず生のジャガイモへの影響は大きくなかったのではないか」と話します。
2つの値上がり要因
今回の値上がりの要因は大きく二つあります。一つはジャガイモが備蓄に適していたこと。もう一つは育成期の「天候不順」です。常温で1カ月以上保存できます。民間調査会社クロス・マーケティングの担当者は「外出の自粛が推奨されるなか、普段から食べているものや消耗品を少し多めに買っておき、使った分だけ補充するサイクルに、料理に使いやすく保存が利くジャガイモがなじんだ」と指摘しています。カレーや肉じゃが、ポテトサラダ……。料理に使いやすいという特徴もありますよね。おうち時間を充実させるため料理を楽しむにしても、毎日、凝った料理は難しいです。人気の定番メニューを料理することが増えるにつれ、ジャガイモの消費量も増加。常に家庭に用意しておきたい、備蓄食品としての存在感が高まったといえるんじゃないでしょうか。
日本の産地の天候不順も響きました。約8割を生産する北海道は昨年の夏の日照不足、そして春先から新物がとれる鹿児島でも生育期に日照不足が発生しました。新型コロナの影響は昨年初の緊急事態宣言以降強くなりました。2020年産は例年より早く売り切ってしまいました。
カレーの具材、小ぶりに?
天候が原因なら不順でなければ値段は下がります。でも作付面積も年々減少しています。農業従事者の高齢化と加工用の外国産の輸入が増え価格競争が起き、ジャガイモ以外の作物に転作する農家が増えていました。かつては100%だった自給率は現在68%にまで下がりました。以前に比べ天候に価格が左右されることが大きくなっています。カレーライスに入っている具材のジャガイモが小ぶりになるのはいやですね。
(BSテレ東日経モーニングプラスFTコメンテーター 村野孝直)
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