政府は２８日付で、さまざまな分野で功績を残した春の褒章受章者を発表した。群馬県内からは緑綬褒章１人、黄綬褒章６人、藍綬褒章６人の計１３人が受章する。発令は２９日付。このうち、黄綬褒章に輝いた日本料理人で水上温泉・山楽荘調理長、牧武夫さん（７１）＝みなかみ町＝に喜びの声を聞いた。
「こんな大きな章をいただけるとは思ってもいなかった。周りの方たちのおかげでもあり、ありがたくちょうだいしたい」。かみしめるように受章への思いを語った。
昭和２４年、旧子持村（現渋川市）の農家に５人兄弟の次男坊として生まれた。両親は農作業で忙しく、夕食の支度を担当することに。「料理をするのは好きで、兄弟がおいしそうに食べてくれるのが何よりうれしかった」。これが料理人としての原点だった。
中学を卒業すると同時に伊香保温泉のホテルに調理師見習として入社した。当然ながら、しきたりも何もわからない。ちょっとしたミスで怒られ、頭をポカリとやられるのもしょっちゅうだった。「盗んで覚えろ」が当たり前の世界。メモを取ることも許されない。
「トイレにこもってスネに書き、夜になって清書したこともあった。厳しくきつかったが、だいたいのことを聞かれても頭の中に入っているのは、修業時代のおかげ」と振り返る。
伊香保以降は東京・日本橋の料亭、水上温泉のホテルなどで腕を磨き続けた。平成１６年度の技能グランプリでは２位。２０年度には全国日本調理技能士会連合会から「全技連マイスター」に認定され、卓越した技能者を厚生労働省が表彰する３０年度の「現代の名工」にも選ばれた。
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