Pages

Sunday, October 30, 2022

楽天モバイルの我は通るのか? プラチナバンド争奪戦の行方 - ITmedia NEWS

tahupedascabe.blogspot.com

 総務省が、携帯電話向け周波数の再割り当てを円滑に行うため設置した「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース」。ここで大きな論点となっているのが、プラチナバンドを求める楽天モバイルだ。

 既存キャリア3社が保有するプラチナバンドの無償割譲を求める楽天モバイルだが、当然ドコモ、KDDI、ソフトバンクの反発は大きい。これまでの状況をまとめるとともに、10月21日に行われたタスクフォースの第14回会合での最新アップデートをお届けする。

楽天モバイルの三木谷浩史会長(5月13日の会見時)

楽天モバイルと既存3社の見解に大きな相違

 これまで楽天モバイルは、電波政策懇談会において「プラチナバンド」(700M〜900MHz帯の周波数)を求めてきた。これまでのタスクフォースの会合では、楽天モバイルが大手3社のプラチナバンドから「5MHz幅×2」ずつの割譲を要望。また、再割当ての認定から既存免許人が周波数を明け渡すまでの「移行期間」は最長10年としているが、楽天モバイルは1年を希望し、さらに移行にかかる費用も負担しないことを希望している。

楽天モバイルは既存3社のプラチナバンドから「5MHz幅×2」ずつの割譲を要望。それが叶わない場合は「1社か2社にロックオンして」(楽天モバイル 矢澤社長)割当てを求めるという。(第10回会合 楽天モバイルの資料より)

 プラチナバンドを楽天モバイルに割り当てること、そのことに関しては既存キャリアも反対してはいない。ただ、隣り合った帯域を使用する場合、電波の干渉を防ぐために、既存3キャリアは基地局に電波干渉を防ぐフィルタを挿入することが必要だと主張している。一方、楽天モバイルはフィルタ不要との立場だ。

 また、既存3キャリアは、周波数の帯域幅が変わることによって、電波の届きにくい場所に設置しているレピータも交換が必要になるとしている。3キャリアは、それらフィルタやレピータの設置・交換に10年程度、費用に1000億円前後かかり、費用は新たに周波数を使う事業者、つまり楽天モバイルが負担すべきとしている。このように、楽天モバイルと既存3キャリアの意見は対立してきた。

既存3社が必要としている基地局の受信フィルタ(第14回会合 総務省の資料より)

 なお、新たに周波数を使う事業者が費用を負担することにより、基地局設置を前倒しできる「終了促進措置」という仕組みがあるが、楽天モバイルはこの仕組みを利用しないとしている。楽天モバイルの矢澤俊介社長は第10回会合で、「3社は(プラチナバンドの活用ですでに)大きな利益を上げている。いわゆる既得権益の世界に入ってきていると思う。制度的にも全くおかしな話で、1ミリも納得できるものではない」と強い口調で語っていた。

 その一方で楽天モバイルは、基地局展開を進める地域を分けて、段階的に移行する方法を譲歩案として提示してもいる。とはいえ費用は負担しないとの考えは変わらない。

移行費用負担に関する各事業者の意見

楽天モバイルは「競願」で既存キャリアに勝てるか

 10月1日に施行された「電波法及び放送法の一部を改正する法律」(改正電波法)によって、携帯電話などの周波数の再割当制度が創設される。携帯電話用周波数については、

  1. 「電波の有効利用の程度が一定の基準を満たさないとき」
  2. 「開設指針制定の申出があったとき」
  3. 「電波の公平かつ能率的な利用を確保するための周波数の再編が必要と認めるとき」

 の3つの場合に、再割当てができるようになる。

 楽天モバイルは(3)を適用して周波数の再割当てを要望するとみられるが、その際、いかに周波数を有効利用できるかを既存事業者と争うことになる。有効利用評価には、基地局の数や人口カバー率、面積カバー率、データ通信量などが評価される模様だが、人口カバー率にしてもデータ通信量にしても、楽天モバイルが既存事業者より上回る評価を得られるかは不透明だ。

 楽天モバイルとしては、低廉な料金プランを提供していることも含めた評価を望んでいるが、「既存事業者よりも周波数あたりの利用効率が高くなるという具体的な根拠が必要」と指摘している有識者もいる。

 契約者数や帯域のひっ迫率を考慮すると、3社から「5MHz幅×2」ずつ渡して15MHz幅にするのではなく、楽天モバイルには別の帯域から狭い帯域を割り当てればいいのではという意見も出ている。

 10月21日に行われたタスクフォースの第14回会合では、基地局の受信フィルタを交換しなかった場合の影響について、既存3社が実機を用いて検証した結果が報告された。3社ともフィルタがないとスループットが低下するなどの結果を示し、従来通りフィルタは必要との見解を示したが、楽天モバイル側は、フィルタなしの場合に実際にユーザーが品質低下を体感するのかを疑問視している。

 多少の譲歩案はあるものの、依然として双方の見解に大きな隔たりがある状態。どう結論を出すのか先が見えない状態が続いている。

筆者プロフィール:房野麻子

大学卒業後、新卒で某百貨店に就職。その後、出版社に転職。男性向けモノ情報誌、携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。モバイル業界を中心に取材し、業界動向を追っている。


Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 楽天モバイルの我は通るのか? プラチナバンド争奪戦の行方 - ITmedia NEWS )
https://ift.tt/ahWMl3I

Friday, October 21, 2022

「プラチナバンド」再割当てで楽天モバイルと割れる3社、技術検証の結果を公開 - ケータイ Watch

tahupedascabe.blogspot.com

 総務省は21日、携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース(第14回)を開催した。

 700MHz~900MHz帯のいわゆる「プラチナバンド」と呼ばれる周波数帯を利用したい楽天モバイルは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに割り当てられているプラチナバンドの一部の自社への再割当てを希望している。

 再割当てをめぐっては、楽天モバイルと3社との間で意見が割れており今回、楽天モバイルの求めに応じて、他社の影響を軽減して通信品質を保つ「フィルター」の効果を各社が検証。その結果が説明された。

割れる4社の主張

 楽天モバイルが4G LTEで割り当てられているのは、1.7GHz帯のみ。周波数の低い電波は大容量のデータのやりとりが難しい反面、障害物を避けてより遠くまで届きやすいという特性がある。

 プラチナバンドを獲得し、エリアの構築を進めたい楽天モバイルは「フィルター」は不要と主張する。

 電波におけるフィルターとは、他社の電波の影響を低減し通信品質を保つための仕組みのこと。隣接する帯域を使用する他社の端末からの干渉電波をふせぐことで、自社のユーザーに対してサービス品質を保証できる。

 フィルターには、ソフトウェア的に電波を整流するものと物理的に設置されるものがあり、楽天モバイルでは物理的に設置されるフィルターについてその必要性はないと主張。もし、楽天モバイルへの再割当て時にフィルターを設置するのであれば、その費用はドコモやKDDI、ソフトバンクが負担するべきとしている。

 これに対して、ドコモでは「縮退する帯域を使う事業者が新事業者への再割り当て時の費用を負担することは妥当ではない」、KDDIではフィルターについて「電波法第56条」に準じたもので、混信などが起きるのであれば新規事業者が対処するべきと主張。ソフトバンクも「周波数分割時のフィルターやレピーター設置など、特別な対応は新規事業者が負担すべき。フィルターは既存事業者のサービス維持に必要な特別な対応で新規事業者が負担すべき」と3社同様に楽天モバイルがフィルター設置費用を負担すべきと意見が割れている。

フィルター設置には各社500~600億円必要

 3社が主張するフィルター設置費用は、ドコモとソフトバンクが約500億円。KDDIで約620億円という。このほか、レピーターの交換や縮退した帯域分を補完する基地局増設費用などで各社でさらに約250億円~約650億円ほどの費用が発生すると見積もっている。

 費用のほか、フィルター設置にかかる期間もまた問題となる。3社ではフィルターの開発から工事の完了までに8年~10年は必要と主張。作業が必要な局数は約6万局~7万局強で、年間1万局前後の作業件数を見積もっている。

 楽天モバイルは過去の会合で、フィルター設置は不要で、レピーターの交換は1年で可能とも主張しており、こちらでも対立するかたちとなっている。

構成員からは

 会合に出席していた、楽天モバイル 代表取締役社長の矢澤俊介氏は各社の調査結果に対して「我々からのリクエストで実証実験をしていただき、まことにありがとうございました」としたうえで「-40dBm」という値に対して「実際にユーザーの体感値で出るのか」と疑問視。

 ドコモが提示した「基地局から70m」という条件は、自身もよくその条件で測定することもあるとして「よければここ(総務省合同庁舎)にもアンテナがあるので、見せてもいい。-40dBmはセルの前に立ってやったら出るかもしれないが、日常生活では出ないのではないか」とコメント。今回の実証の前提は結果をミスリードさせるものではないかと指摘する場面があった。

 その上で3社から5MHzずつ帯域を割譲してほしいという同社の要求は、3社のユーザーへの影響も考えてのことで「これでもだめというのであれば、1~2社に(再割当てを)ロックオンするしかないのかなと思う」とした。

 これについて、構成員のNICT ワイヤレスシステム研究室 室長の松村武氏は「ドコモは評価基準をしっかり出している。その条件でありうるということを実データを用いて言っているのであって総務省の部屋の中で(スループットが)出ないという主張をされても話が違う」と指摘した。

 また、大阪大学 三瓶政一教授は「障害が起きるシチュエーションを体感するのは時間率」と指摘。各社の調査は端末の場所を中心にフィルター有無の影響を検証しているが、昨今の通信障害の報じられ方を見ても「〇〇時間、通信が遮断された」というように、影響を受けた時間を軸に考えられることが多いことを指摘。場所と時間の問題を混在させて議論するのではなく、2つを整理して考えるべきではないかと主張した。

 このほか、会合では有識者らによる技術的な面を確認する場面が多くを占めた。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 「プラチナバンド」再割当てで楽天モバイルと割れる3社、技術検証の結果を公開 - ケータイ Watch )
https://ift.tt/fD8yCKE

Wednesday, October 19, 2022

「TikTok」でかなえるハリウッドの夢 本木真武太さん×綿矢りささん - 朝日新聞デジタル

tahupedascabe.blogspot.com

世界的人気を誇るショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」で活躍中のクリエイターに迫る本企画。記念すべき第1回は小説家の綿矢りささんを迎え、カンヌ国際映画祭の「#TikTokShortFilm コンペティション」でグランプリに輝いた本木真武太さんにお話をうかがいました。小説家とTikTokクリエイターの対談、一体どんなお話が飛び出すのでしょうか。

PROFILE

「TikTok」でかなえるハリウッドの夢 本木真武太さん×綿矢りささん

本木真武太

もとき・まぶた 映画監督・ビデオグラファー。映像制作会社LANG PICTURES代表。1988年長野県生まれ。2022年、短編映画「木って切っていいの?」が「第75回カンヌ国際映画祭」#TikTokShortFilmコンペティションのグランプリに輝く。「TikTok TOHO Film Festival 2022」では「おま釣り騒ぎ」がテクニカル賞を受賞。

「TikTok」でかなえるハリウッドの夢 本木真武太さん×綿矢りささん

綿矢りさ

わたや・りさ 小説家。1984年京都府生まれ。2001年「インストール」(河出書房新社)で文藝賞を受賞してデビュー。2004年「蹴りたい背中」(河出書房新社)では、史上最年少で芥川賞を受賞。「インストール」をはじめ、2020年「私をくいとめて」(朝日新聞出版)など、映像化作品も多い。近著に「嫌いなら呼ぶなよ」(河出書房新社)。

「表現方法を見たら、すごく人を信じる方なのかな、って」

綿矢:本木さんの映像、拝見しました。こんなに凝った作品を気軽に見られるのが「TikTok」の魅力だと改めて思ったんですが、そもそもどんなきっかけで映像の道に進んだのでしょうか?

「TikTok」でかなえるハリウッドの夢 本木真武太さん×綿矢りささん
綿矢りささん

本木:幼いときから絵を描いていて、ものをつくるのが好きだったんです。映像の世界をはっきりと意識したのは、10歳のとき。家族と1年間暮らしたカナダの映画館で、「アルマゲドン」を見たときでした。英語もわからないのにすごく感動して、ボロボロと涙が出てきて。そこで自分が「こういうのを作りたい、作るんだ」って思ったんです。

綿矢:絵と映像、同じクリエーションでもまた異なるジャンルですよね。

本木:僕が絵のモチーフにしていたのは妖怪やモンスターで、レンタルショップで借りた「ゲゲゲの鬼太郎」やキョンシーが出てくる映画のビデオからインスピレーションを得ていました。映像を見て「こういうの描きたい」と思い、紙に起こすという感覚だったので、絵も映像もつながっているんですよね。カメラが簡単に手に入らない、というのもありましたが。

「TikTok」でかなえるハリウッドの夢 本木真武太さん×綿矢りささん
本木真武太さん

綿矢:キョンシー! 私も子どものころ、すごく好きで毎日のように見ていました。おかげで中華系ホラーに興味をもったので、影響を受けているという点で共通していますね(笑)。本木さんの作品って、ちょっと怖い人が登場したりするじゃないですか。「この人、どんな人なんだろう」って、見ていて不安になるんだけど、ホラー好きだとそこに引きつけられるのかなって。

本木:まさにそうなんです。僕は悪いもの、怖いものの中に人の本質が一番見えると考えていて。ヒーローも好きだけど、悪役が出てくると「なんで悪いことするんだろう」って、子供のころから気になっていました。怖いもの、気持ち悪いものには、いまだにすごく興味あります。

綿矢:それでも、作品に出てくる怖い人は、最終的にひっくり返りますよね。最初に抱いた怖いという感情から、心があったかくなるような形に変わる。私は懐疑心が強いタイプなので、ああいう人物を出すと確実にろくでもない方向へ進むお話を作ってしまうんですけど、本木さんの表現方法を見たら「すごく人を信じる方なのかな」って感じました。

「TikTok」でかなえるハリウッドの夢 本木真武太さん×綿矢りささん

本木:え、すごい! 当たっています(笑)。悪い人も元から悪いわけじゃなく、何かしらきっかけがあったからだと思っていて。同じ状況に陥る可能性は誰にでもあるので、悔い改めることで許される救いみたいなものは表現していきたいですね。

これは、母がクリスチャンであることと、カナダにいたころに通った日曜学校の影響もあると思います。聖書って「信じる」がテーマなんです。これが脚本に根付いているから、ハリウッドや韓国の映画には心を動かされると思っているので、自分の作品でも意識するようにしています。

「小さな縦型の画面でも、映画と同じようにワクワクして欲しい」

綿矢:私も「TikTok」が好きでよく見ているんですが、本木さんの作品は他とは違うように感じます。たとえばオープニング。短時間の映像なのに遠景で撮っているからなのか、一般的な映画みたいにゆったり見ていられるんです。

本木:ありがとうございます。「TikTok」ユーザーはスピード感のある映像に慣れているので、テンポが良くなるように編集したりもしますが、基本的には映画と同じように最後まで見て欲しいと思っていて。小さなスマホ画面で、しかも縦型の映像という違いはありますが、映画館の席に着いて「これから何が起こる?」とワクワクしてもらいたいですね。

「TikTok」でかなえるハリウッドの夢 本木真武太さん×綿矢りささん

こういうシネマチックなコンテンツを作ることは、撮るときにすごく意識しています。映画では24フレームと言って1秒間に24枚のフィルムを使うので、同じ24フレームで撮影したり。色もオレンジを載せ、明るさを調整して映画でよく見る色味にしていますね。

綿矢:通常の映像作品と「TikTok」の作品とでは、いろいろ違いがありそうですね。

本木:まず、撮り方が横型から縦型に変わること。以前は横で撮ったものを縦枠にはめたりもしましたが、それだと映像のサイドが失われてしまいます。切り取る部分によって構図が変えられるので、編集時の自由度が上がるというメリットもあるんですが。3部作の「おま釣り騒ぎ」という作品は、完全に縦型で撮影しています。

綿矢:縦か横かを意識して見たことはなかったけど、確かにテレビなどの画面とは違いますね。たとえば「おま釣り騒ぎ」で釣り人が上下に移動するシーンも、横型ではあんな映し方はできない。

「おま釣り騒ぎ」Ep.1

本木:「TikTok」は音楽ありきという部分が大きいので、そこもすごく意識しています。あとは、ユーザーの反応が早くてすぐにコメントが読める点。僕にとってはとても重要で、見た人の反応はすごく参考になるし、スキルアップにもつながるので、あえてコメントしやすいものを映像に入れたりもします。意見をすぐに反映したり、次の作品に生かしたりもできるのでおもしろいですね。

綿矢:本の場合、まとまった感想文はあっても1行1行に対する反応はないので、おもしろそうですね。でも、それより緊張の方が大きいかも(笑)。電子媒体では感想を書き合えるものもありますが、結構ビビっちゃうと思います。

本木:僕も最初のころは怖いという気持ちがありましたが、慣れると楽しみだし、あえてツッコんでもらうように作ったりもしていますね。「TikTok」には良くない言葉遣いのコメントをはじく機能もありますが、フィルタリングではじかれたコメントも僕は載せちゃってます。見た人にも、いろんな意見を知って欲しいなと思うから。

「キャストの人選がどハマり。本当にいそうな外見と性格」

綿矢:どの作品も、キャストの方たちの人選がどハマりしていますよね。本当にいそうな外見と性格で(笑)。どうやって見つけるんですか?

本木:実はプロではなく、僕の兄妹や友人にお願いして出てもらっています。ちなみに、「おま釣り騒ぎ」に悪い人っぽく出ているのは、ウチの兄貴なんですよ。

「TikTok」でかなえるハリウッドの夢 本木真武太さん×綿矢りささん

綿矢:そうなんですか! 上手なので、俳優さんかと思っていました。セリフ回しやしゃべり方、すごくこなれていますよね。「木って切っていいの?」に登場するお兄さんも、めっちゃ怖かった……。

本木:あれ、僕です(笑)。

綿矢:えっ、そうなんですか!? それは意外です。あの不穏な感じがおもしろかったので、今度、本木さんご自身が考える「おもしろいおばさん」的なキャストも出して欲しいですね。今のところ男性キャストの方が多くて、「おもしろいおじさん」も出てくるので。

「木って切っていいの?」

本木:今後、製作費が出るようになれば、プロの方にも出て欲しいですね。若いときに演劇をしていたとか、演劇部だったとかでもいい。そういう人と一緒に、またカンヌへ行きたいですね。

綿矢:すごい人材を発掘してくれそう(笑)。身近に感じる人物を上手に撮る方だと思ったので、今後の作品でさらにたくさんの人の魅力を知りたいと思います。

「スマホの小さな画面から、スケールの大きな物語を」

綿矢:これから5年後、10年後、本木さんはどうなっていたいですか?

本木:ゆくゆくはハリウッド映画を作りたいという大きな目標があるので、ガチで目指したいですね。やはり映画監督ですから。縦型映画というジャンルはまだないので、その代表格みたいな存在になれれば、歴史にも名を残せると思います。ハリウッドで、スマホの小さな画面からものすごく大きなスケールのストーリーを生み出すのが夢なので、自分がまだ若いうちにやっていきたいですね。

綿矢:「TikTok」と連携することで、その夢に対してできることもありそうですよね。

「TikTok」でかなえるハリウッドの夢 本木真武太さん×綿矢りささん

本木:「TikTok」のすごく好きなところって、僕たち「LANG PICTURES」の名前を知らない世界中の人たちにおすすめとして拡散してくれるところなんです。これも他のプラットフォームとは違う点。ハリウッド映画という夢をかなえるには、広く知られていく必要があるので、これからも「TikTok」で発信し続けたいですね。

綿矢:縦型映画というジャンルを普及させるには、映画館も必要に?

本木:ですよねぇ。横型に比べると、縦型の画面は情報量が少ないのでスッと理解できる半面、ワンカットが長いと飽きて次の動画に移動しちゃうんです。5分、10分くらいなら没頭して見られるとは思いますが。あと、スマホの画面で人の顔をアップにするのはインパクトあるけど、スクリーンだと周囲に余白があるので印象が弱くなります。その辺りがどうなるか、楽しみでもありますけどね。

綿矢:なるほど。マンガもそうだったように、ツールによって変わっていく。きっとそうやって、新しい表現の形も生まれてくるんでしょうね。

本木:綿矢さんの小説は映画化されたものもありますが、やはり映像になることを見越して書かれたんですか?

綿矢:なんでこれが映像化されたのかなって、不思議なくらいです。登場人物の思考だけ、みたいな、文字でしか成立しないような作品がって。そして、映像化を意識した作品はお声がかからない(笑)。

本木:映像化された作品に対して、どう感じます? 本と映画では、表現の違いなんかもあると思うんですが。

「TikTok」でかなえるハリウッドの夢 本木真武太さん×綿矢りささん

綿矢:私の場合、映像化したものは違う作品だと思って見ています。題名が一緒でも別。でも、自分が書くだけあって好きなテーマなので、見ていて楽しいですね。違和感があるとすれば、自分の頭の中に浮かべていたキャラクターを役者さんが演じることで、美化されること。「あの子、こんなにきれいやったん!?」って驚いたりしていますね(笑)。

本木:そうなんですね(笑)。ご縁があれば、一緒にお仕事できるとうれしいと思って質問させていただきました。

綿矢:ありがとうございます、ぜひぜひ! それでは最後に、ファンの方とクリエイターを志す方にメッセージをお願いします。

本木:僕が学生のころと違って、今や誰でも手軽に表現できる時代。だからこそ、「TikTok」のような場を使って、挑戦してみるのがいいと思います。僕もカンヌでグランプリをとるまでは、誰にも知られていない存在でした。それでも、世界中の人が見ている「TikTok」から道が開けることもあるので、まずはやってみるのがいいんじゃないでしょうか。

その他の本木さんのTikTok作品はこちら

構成・文:石川由紀子
写真:山田秀隆

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 「TikTok」でかなえるハリウッドの夢 本木真武太さん×綿矢りささん - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/ZshOzKN

Tuesday, October 18, 2022

フルサイズでレンズ交換可能な遠隔カメラ、ソニー「FR7」 - AV Watch

tahupedascabe.blogspot.com
ジンバル一体型カメラ「FR7」レンズキット

上へと登り続けるソニー

コンパクトデジカメが立ちゆかなくなったとき、ソニーは「RX100」などハイエンドコンデジ路線を立ち上げ、価格勝負を避けて上へと逃げ切った。デジタル一眼も、動画文脈ではAPS-Cは「ZV-E10」といったVlog方向へと伸ばしつつ、α7シリーズの上の方は従来シネマカメラのラインだったCinema Lineと合流、「FX3」と登場させた。元々は業務用ラインナップだったCinema Lineだが、コンシューマユーザーでもFX3を買ったという人も多い。

そんなCinema Lineも、“ひたすらハイエンド”とはちょっと違った方向性を打ち出し、フルサイズセンサー搭載のジンバル一体型カメラ「FR7」を登場させた。またFX3とほぼ同形ボディながら、センサーにAPS-Cを採用した「FX30」も市場投入した。発売日はFX30の方が早く、10月14日には発売が開始されている。一方FR7は11月11日発売予定となっている。

FR7は、ボディのみで132万円、レンズキットモデルが161.7万円となっている。価格帯からすれば業務用カメラではあるが、いわゆるEマウントレンズが使えるフルサイズの固定カメラで、ロボティクスによりパン・チルト・ズームに対応する。

同じくフルサイズでジンバルが付いたシネマカメラといえば、ちょうど昨年の今頃登場したDJIの「Ronin 4D」を思い出すところだが、やはりInterBEEが近づく10月~11月には、面白いカメラが登場する。

今回はFR7のレンズキットモデルをお借りしている。外ロケというよりはスタジオカメラに近い製品だが、どこまでやれるのか、その実力を探ってみよう。

全体では大型のカメラ

まずボディだが、おおまかに言うとコンパクトで可動に耐えられるカメラヘッド部分と、ステーション部分を含むジンバル部に分けられる。本体にはカメラを操作する部分はなく、外からリモートで動かす、完全ロボットカメラである。

レンズを外したところ

カメラ総体としてはまあまあ大きいのだが、カメラヘッド部分はそれほど大きくはない。FX3ぐらいの大きさだろうか。ただしここにフルサイズのEマウントレンズがドーンと付くので、カメラ部としてはまずまずの重量になる。

カメラヘッド部だけなら小型

ジンバルの軸はカメラの台座部分と一体になっており、その上のスライド機構の上にカメラヘッドが載る。キットレンズは、電動ズーム対応の「FE PZ 28-135mm F4 G OSS」。かなり重量のあるレンズだが、スライダー部分にレンズを支えるアームがあり、マウント部だけに重量がかかる事はない。一般的なジンバル同様、レンズを取り付けたのち、スライダーで重量バランス位置を調整できるようになっている。

台座部はスライダー構造になっている
台座の後部に型番

使用できるEマウントレンズは、現時点では70本。中には電動ズーム非対応であったり、ズーム位置で重量バランスが大きく変わるレンズもあるため、レンズ交換のたびに重量バランスを見る必要がある。また一部のレンズは、マウントはできるが重量のためにジンバル部の動作を保証しないものもある。

キットレンズの「FE PZ 28-135mm F4 G OSS」

センサーはフルサイズのExmor R CMOSで、有効画素数は約1,030万画素。FX6にも搭載されていたバリアブルNDを内蔵する。1/4~1/128までをシームレスに可変できるため、露出のもう1つのパラメータとして利用できる。

AFは像面位相差検出AFとコントラスト検出AFを併用した、ファストハイブリッドAF。リアルタイム瞳AFを搭載し、タッチ可能なタブレットでWebアプリを使えば、映像のタッチでリアルタイムトラッキングを実現する。画像処理エンジンは「BIONZ XR」。

前面に赤外線リモコンの受光部

またFX9、FX6、FX3に搭載されていた「S-Cinetone」も搭載。これはS-Logではなく、肌色を綺麗に見せるルックだ。もちろん上位機種同様、S-Log3、S-Gamut3での撮影もできる。

ジンバル可動範囲は、左右方向に±170度、上下方向に下30度、上195度。動作スピードは、0.02度~60度/秒となっている。上下逆さまにして、上からの吊り下げにも対応する。

ジンバルの台座部分が、カメラヘッドから後ろ、プロセッサ部ということになる。背面端子を見れば、どういった範囲の仕事に対応できるのかがわかる。左は電源端子だが、LAN端子からのPoE++(Power over Ethernet Plus Plus)にも対応するので、LANケーブルで制御と電源供給が可能だ。ただしPoE++動作時は、カメラ内部記録とそこからの再生機能が使えない。

背面端子

映像出力はSDI、OPTICAL、HDMIの3タイプ。OPTICALは別途SFP+モジュールを使ってSDI信号を光変換して出力することになる。LAN端子からは、RTSP、SRT、NDI|HXでのIPストリーミングに対応する。

入力としては、GENLOCKとTC INがある。OPTION端子は、LAN端子同様RJ-45端子だが、ピン変換してGPIタリーの入出力になる。

音声入力は、XLRタイプの5ピンコネクタで、ステレオ入力に対応する。基本的には外部マイクを接続して内部収録するという事になる。なお収録されたファイルには、オーディオトラックが8ch分記録される。

背面から見て左側に、メモリーカードスロットが2基ある。CFexpress Type AとSDXCの兼用スロットだ。記録方式は以下のようになっている。

左側に2基のカードスロット
記録方式 解像度 フレームレート
XAVC Intra 4,096×2,160 59.94、29.97、24、23.98p
3,840×2,160 59.94、29.97、23.98p
1,920×1,080 59.94、29.97、23.98p
XAVC Long 3,840×2,160 59.94、29.97、23.98p
1,920×1,080 59.94、29.97、23.98p

なお最高3,840×2,160/120pのハイフレームレート撮影にも対応するが、この場合は画角が約10%クロップされる。

リモートシネマの先陣

FR7はカメラ本体だけあっても操作するところが全くないので、何らかの形でリモート操作する必要がある。現状で提供されている方法としては、付属の赤外線リモコン、Ethernet経由でのWebアプリ、リモートカメラ用コントローラ「RM-IP500」の接続がある。また来年、放送用としてシステムカメラへの対応が予定されている。さらに時期は未定だが、ソニーが開発するクラウド中継システム「M2 Live」への対応も予定されている。

カメラの基本的なセッティングは、赤外線リモコンを使うことで、映像出力にメニューが出せる。

付属のリモコン
リモコンでメニュー操作が可能

撮影モードとして、Log収録の「Cine EI」と、グレーディング不要の「カスタム」を備えるあたりは、FX6と同じ構造である。ただFR7はその撮影スタイルから、本体収録よりも映像出力をスイッチャーやレコーダで受けるといった使われ方のほうが多いカメラだと言える。

リモコンは、パン・チルト・ズーム・フォーカスがマニュアルで操作できるほか、プリセットボタンを使って3つのポジションを記憶できる。

今回はEthernet経由でiPadに直接接続し、Webアプリを使って操作してみた。カメラにQRコードが書いてあるので、それを読み取ってログインすると、ブラウザにUI画面が出てくる。

WEBアプリ画面

ポイントは、タブレット画面だけでモニターしながらパン・チルト・ズーム・フォーカスのコントロールができるところだろう。今回は23.98fps、ベーシック感度ISO 800、F4に固定し、露出はバリアブルNDでフォローしている。なおバリアブルNDは最小でも1/4で、ゼロにする場合は物理的にNDフィルタが外に出る。

マニュアル操作は、画面右下のUIで操作する。パン・チルトとズームは、マルチタッチ対応なので同時に動かす事が可能だ。ただこんなに両方のUIが近いと両手ではなかなか操作できないので、ズーム操作は左側に移すなどして欲しいところだ。

ポジションのプリセットは、WEBアプリのほうが多くのポジションが登録できる。マニュアル操作での動作と、プリセットの動きについては、動画でご確認いただきたい。

マニュアル操作とプリセット動作

内部録画した映像

今回はS-Log3で収録したものを、DaVinci Resolveでグレーティングしている。映像品質としては、FX6やFX3と変わらず、グレーディングによって同じカラーに合わせ込むことができる。

なおプリセットによる動きは、ズームスピードとジンバルのスピードを一致させるのは難しい。ジンバルの動作は、プリセット画面であとから変更もできるのだが、ズームスピードはプリセットに記憶できないようだ。このため、ズームの動作が終わってからジンバルの動きが完了するような動作になる。

単にカメラアングルを切り替えるだけならこうした仕様でもいいのだが、カメラ動作まで本編で使いたいという場合は、ジンバル・ズーム・フォーカスの3つを時間軸で同時に制御できるUIが必要だろう。

なおタブレットのUIでもカメラ設定の変更が可能だ。こちらのほうが多くの設定をいっぺんに見られるので、状態が把握しやすい。

Webアプリ側での設定画面

音声収録はハードルが高い?

FR7をマルチカメラ収録で使用する場合は、別途タイムコードを分配して各カメラに入力して同期するというスタイルになるだろう。FX6と組み合わせる場合は、FX6からタイムコードが出せるので、これをマスターにしてFR7に入力すればよい。

一方FX3と組み合わせる場合、先のアップデートでタイムコード入力には対応したが、出力ができない。よって、別途タイムコードジェネレータを用意して分配するといった配線が必要になる。

一方昨今の編集ツールは、同じ音声が入っていれば、それを頼りに各カメラを同期してくれる機能を持っている。音声さえ入っていれば、簡易的なマルチカメラ編集はできるわけだが、あいにくFR7はマイクを内蔵していない。

XLRの5ピンコネクタもそれほど一般的なものではないため、マイク1本繋ぐだけでも別途特殊コネクタを用意する必要がある。筆者宅にもさすがに用意がなかったので、今回は音声入力はテストしていない。

音声入力は充実しているが……

搭載スペースがなかったかもしれないが、FX3でもハンドル部に標準XLRが2ch搭載されていることを考えると、FR7に音声を入れるのは、なかなかハードルが高い。何か簡易的なマイクでも付けられればいいのだが。3.5mmのマイク入力ぐらいあってもよかっただろう。

またジンバル動作時は、ウィーン、ウィーンというロボコップの動作音みたいなモーター音が若干聞こえてくる。ある程度重たいレンズでも動かせるよう、かなりトルクの高いモーターを使用しているからだろうが、動作スピードによって音の高さも変わってくる。

今回のテストでは、2mぐらい離れた位置でラベリアマイクを使って音声収録を行なってみた。このぐらい離れればモーター音は入ってこない。ただ静かな場所で被写体に接近して撮影する場合、録音音声に動作音が入ってくるかもしれない。むしろ長ダマを使った撮影に威力を発揮するカメラと言えるかもしれない。

音声収録の例

総論

昨今はNetflixのようなプラットフォーム主導によるシーズンものの大作が多く作られるようになり、撮影もカメラマンの足場がないようなユニークな位置からの撮影など、多彩なカメラワークが求められている。コストを抑えたシネマ品質の特殊撮影機器は、ニーズが大きいところだ。

またシネマ以外にも、通常のビデオ撮影にも対応できるため、スタジオカメラとしての利用も想定されるところだ。レンズ込みでの161.7万円、コントローラの「RM-IP500」が42.9万円なので、合計で200万円ぐらい。放送用カメラのレベルからすれば、割と安い。モーターとしてはかなりゆっくりも動かせるので、タイムラプス撮影にも使える。複数台のマルチカメラ用途であれば、ワンポイントでの利用も多くなると思われるので、機材レンタル屋さんでも多く導入されるだろう。

ただ、このカメラをリモートでマニュアルコントロールするのか、それともプリセットを使ったオートメーションで動作させるのかで、評価が変わってくる。現在は割とマニュアルコントロールに重きを置いているようで、完全プログラムで同じパターンを何度も撮るみたいな撮影には、まだソフトウェアが追いついておらず、今後の開発に期待がかかる。

とは言え、これまでソニーのPTZカメラは4K/30p止まりで、レンズ交換できるものがなかった。またフルサイズセンサー搭載も初である。中国メーカーのカメラがジンバル当たり前になってきている中、その方面でもソニーは上に登っていく方向で勝負するようだ。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( フルサイズでレンズ交換可能な遠隔カメラ、ソニー「FR7」 - AV Watch )
https://ift.tt/hzbWmvY

Monday, October 17, 2022

コロナ禍でオイル交換減少、整備業界に与えた影響をビッグデータで分析 - レスポンス

tahupedascabe.blogspot.com

[unable to retrieve full-text content]

コロナ禍でオイル交換減少、整備業界に与えた影響をビッグデータで分析  レスポンス
からの記事と詳細 ( コロナ禍でオイル交換減少、整備業界に与えた影響をビッグデータで分析 - レスポンス )
https://ift.tt/SXqwBUg

Sunday, October 16, 2022

整備ビッグデータから探る、新型コロナが自動車整備業界に与えた影響 - PR TIMES

tahupedascabe.blogspot.com ナルネットコミュニケーションズでは、オートリース会社を中心とするさまざまな企業が月々、定額で自動車の維持管理をアウトソーシングできる「自動車メンテナンス受託」を事業の柱のひとつに据えており、現在の総管理台数は13万台を超えています。

2020年1月以降、世界中に広がった新型コロナウィルス感染症の流行は多くの業種・企業に影響を及ぼしており、自動車整備業界、オートリース業界も例外ではありません。今回、新型コロナウィルス感染症流行前の2019年度(2019年4月~2020年3月)と、それ以降の2020年度(2020年4月~2021年3月)、2021年度(2021年4月~2022年3月)の点検・整備費用等を比較することにより、コロナ禍が自動車整備業界に与えたインパクトを分析しました。

稼働台数および総点検・整備費用は純増

ナルネットコミュニケーションズが管理するリース車両の台数は年を追うごとに増えており、月ごとの稼働台数(当社にてメンテナンス受託している車両数)を集計した年間稼働台数も約67万台(2019年度)から約69万台(2020年度)、そして約75万台(2021年度)へ約12%増加しています。年間稼働台数の増加率の推移をグラフで表したものが図1です。なお、この間に日本の新車販売台数は15%程度減少していることと比較すれば、当社自動車メンテナンス受託事業は堅調と言えます。

図1

コロナ禍で消耗品の交換件数が低下

車種別の年間稼働台数を見ると、「乗用車」「軽自動車」「バン」は増加の一途を辿る一方で、「トラック」は漸減しています。点検・整備費用については、2019~2021年度の各年度において全車種で漸増していました。

点検・整備費用の細目を分析したところ、多くの項目で整備件数および費用(工賃+部品)が増加していたものの、新型コロナウィルス感染症が流行し始めた2020年度については、消耗品の代表格であるエンジンオイルおよびオイルフィルタの点検・整備費用が、「軽自動車」を除いて減少していることが判明しました。各車種における増減の度合いを示したグラフが図2~図5です。なお、2021年度に入ってからは減少に歯止めがかかり、点検・整備費用は増加に転じています。

図2

図3

図4

図5


2020年度は、新型コロナウィルス感染症の流行に伴う緊急事態宣言や外出自粛要請などの影響で、通勤や顧客・社内の対面による面談を目的とする自動車の使用が控えられたことにより、「乗用車」「バン」の交通量が顕著に減少。そのことが、エンジンオイル等の消耗品の交換の頻度やスパンに影響を与えたと推察されます。交通量の減少は事故整備の減少につながりますが、今回の分析からはそれを示唆する結果は得られませんでした。軽自動車については、コロナ禍による販売台数の落ち込みが他車種より少なく、かつ回復も早かったためか、稼働台数の低下がみられず、そのことが整備費用の伸びた原因と思われます。また、軽自動車は一度に乗り合わせる人数が少ないと想像でき、感染リスクが低い点など、使用形態の差も作用したと考えられます。

巣ごもり需要の拡大が、トラックの整備費用に影響?

図6は「トラック」の総稼働台数と点検・整備費用の増減率の推移を示したグラフです。

図6

 

総稼働台数は減少しているにもかかわらず、新型コロナウィルス感染症の流行が始まった2020年度以降、点検・整備費用は増加しています。いわゆる「巣ごもり需要」でインターネット通販等の宅配荷物が急増したことにより、トラック輸送のニーズが増加。国土交通省の調査(※)では、2021年度のトラック輸送トン数は2019年度に比べ3.7%増加、宅配便貨物個数は13.8%増加しています。これに比例して、「トラック」の一台あたりの走行距離が伸び、整備機会が増えたと推察されます。

※参照元:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001483673.pdf

 今回の整備費用データの分析により、コロナ禍が自動車整備業界や物量業界に大きな影響を及ぼしたことがあらためて浮き彫りとなりました。

ナルネットコミュニケーションズでは、メンテナンスを受託した車両の整備状態を常に適切に保ち、かつ入庫に伴うユーザーの手間を省いて、リーズナブルなコストでサービスを提供できるよう、長年積み重ねたノウハウを活かして効率的な管理を実施しています。今回、公表した数値以外にも各車の整備費用や内容のデータを逐一集積して、合理的な自動車メンテナンスを整備工場を通じて提供しています。

 契約内容や点検スケジュール・実施状況をインターネットを通じて提供する車両管理システム『なるほどネット』を導入しているほか、万一のトラブルにおいても、24時間365日、 緊急ロードサービスのエキスパートが顧客第一主義で対応する『緊急ロードサービス』をご利用いただけます。

ナルネットコミュニケーションズについて

​ナルネットコミュニケーションズは、愛知県を本拠地とする自動車メンテナンス受託管理会社です。1978年「日本オートリース」として誕生後、徐々に事業を拡大し、オートリース会社に対する車両管理・メンテナンスや残価保証、個人向けリース商品の企画・提案、車両買取などを実施しています。
 


全国約10,000カ所以上の提携工場に管理車両のメンテナンスを委託、本社で車両情報を一元的に管理し、効率的なデータ収集や顧客対応を実施しています。少ない入庫回数で充分なサービスを行うことで車両稼働率を向上させ、自動車ユーザーの利便性を高めるほか、独自の整備データベースに蓄積した整備記録に基づくメンテナンス料算出を行うことで整備工場の業務効率化を支援しています。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 整備ビッグデータから探る、新型コロナが自動車整備業界に与えた影響 - PR TIMES )
https://ift.tt/Q9p3fG6

Thursday, October 13, 2022

モデルカーからコンテンツ処理まで: ブランド企業が生産性と創造性の向上にマイクロソフトの AI を活用 - News Center Japan - Microsoft News

tahupedascabe.blogspot.com

マイクロソフトの AI プラットフォーム担当コーポレートバイスプレジデント、エリック ボイド (Eric Boyd) によると、このトレンドは、より多くのデータに、より多くの計算量を適用し、よりリッチでパワフルなモデルをトレーニングすることによって達成される AI 能力の非線形なブレークスルーの結果です。

「モデルのパワーは、品質の閾値を超え、今ではより多くの用途で役立っています。もう一つのトレンドは、すべての製品開発者が、使いやすさだけでなく、『AI を使えば自分の製品をもっとうまく使えるようになる』と、自分の製品に AI 適用する方法を考え、理解していることです」とボイドは述べます。

DALL E 2 は、マイクロソフトが OpenAI 専用に構築した、Azure 上のスーパーコンピューターで学習を行っています。Azure OpenAI Service 上で動作する、OpenAI の自然言語モデル GPT-3、そして、GitHub Copilot や Microsoft Power Apps の一部機能を支えるモデル である Codex の学習にも、同じAzureのスーパーコンピューターが使用されています。また、Azure は、これらの AI ツールが、画像、テキスト、コードの提案を迅速に生成し、人間がレビューして利用を検討できるようにしてくれます。

DALL E 2 の追加は、マイクロソフトと OpenAI の継続的パートナーシップを基盤とし、Azure OpenAI Service のユースケースの幅を広げます。Azure OpenAI Service は現在プレビュー中の Azure Cognitive Services ファミリーの最新サービスであり、セキュリティ、信頼性、コンプライアンス、データプライバシーなど、Microsoft Azure に組み込まれているエンタープライズ級機能を提供します。

その他、言語翻訳、音声トランスクリプト、文字認識、文書要約など、マイクロソフトが開発し、Azure Cognitive Services で利用できる AI テクノロジが、Microsoft TeamsMicrosoft Power PlatformMicrosoft 365 などの製品やサービスで段階的に利用可能になっていく予定です。

「この 1 年半の間に、AI はできることの実証段階から、実際にエンドユーザーに役立つシナリオやプロセスに対応でいる段階への移行が見られました。巨大な言語モデルの製品化が進行しています」とマイクロソフトのビジネスアプリケーション & プラットフォーム担当コーポレートバイスプレジデントのチャールズ ラマナ (Charles Lamanna) は述べています。

これらの AI 機能は、面倒な作業を排除し、従業員がより価値の高い作業に集中できるようにすることを目的としています。たとえば、営業担当者はメモを取ることなく顧客と会話できると、ラマナは言います。また、営業電話の要約を書き、顧客データベースに追加するなど、現在何時間もかかっているプロセスを自動化することも可能です。

「私たちの会話に耳を傾ける AI を活用し、トランスクリプトの作成、アクションアイテムの取得、会議の要約、共通フレーズの特定、あるいは『私は聞き上手か』についての分析を行い、人々の生産性を高める手助けができるようになりました。そのためには、最先端の AI の進化と、デジタルコラボレーションツールの進化が必要でした」とラマナは述べています。

ラマナは、コンピューティングデバイスを持つ誰もが、Microsoft Power Platform を使用して独自の AI 搭載アプリケーションを作成できるようにするツールの作成にフォーカスしています。たとえば、彼のチームは、自然言語を使ってマイクロソフトのクラウドで稼働するさまざまなサービスをつなぐワークフロープロセスを構築できるようにするために、Power Automate に AI を搭載したコパイロット機能を展開する予定です。

「『上司からメールが来たら、スマホにメールを送って、Outlook に ToDo 項目を入れておいて』と、普通の言葉でユーザーが言うだけで、自動的に処理が行われます」とラマナは説明します。

このように文章をワークフロー化できるようになったことで、AI を活用したソフトウェアソリューションを作れる人の数が飛躍的に増えたと彼は言います。そして、技術的なノウハウを持っている人であれば、AI Builder のインテリジェントな文書処理テクノロジなど、Power Platform で利用できるローコードツールやグラフィカルインターフェースを使用して、アプリケーションをさらにカスタマイズし、洗練させることができる、と付け加えました。

たとえば、弁護士はこのテクノロジを利用して、新しい契約書が SharePoint サイトにアップロードされるたびに起動するカスタムアプリケーションを構築できます。このアプリケーションは、契約書の執筆者、関係者、業界分野などの重要な情報を抽出し、これらの情報を含む契約の概要を、その分野やクライアントを担当する所内の弁護士にメールで送信できます。

「これは、一種のマジックです。今までは、SharePoint のサイトをチェックし、新しいファイルを開き、それをざっと読んで、何か必要な作業はないかをまとめなければなりませんでした。AI は、この単調な作業から人々を解放し、元々コンピュータに適していた作業を行ってくれます」と、ラマナは、今日の典型的な仕事方法と AI により自動化されたワークフローを比較します。

ここ数年のデジタルトランスフォーメーションにより、世界中の人々が生み出すコンテンツは洪水のように増え続けています。たとえば、マイクロソフトのお客様は、現在、1 日あたり約 16 億個のコンテンツを Microsoft 365 に追加しています。マーケティングプレゼンテーションや契約書、請求書、作業指示書、Teams 会議のビデオ録画やトランスクリプトなどがそれにあたります。

マイクロソフトのコラボレーティブアプリとプラットフォーム担当プレジデントのジェフ テパー (Jeff Teper) は次のように述べています。「お客様はドキュメントを作成し、そのドキュメントに基づき Teams でコラボレーションし、SharePoint でドキュメントを保存しているのです。マイクロソフトがやりたいことは、このコンテンツに AI テクノロジを統合し、お客様が契約承認、請求書管理、規制当局への提出など、より体系的な活動を行えるように支援することです。」

これが、マイクロソフトが、Azure Cognitive Services などの AI テクノロジを活用し、コンテンツの作成、処理、発見方法を変革する Microsoft 365 向けの新しいコンテンツ AI サービス Microsoft Syntex を開発した理由です。Microsoft Syntex は、デジタルか紙かを問わず、コンテンツの読み取り、タグ付け、インデックス付けを行い、検索可能にし、特定のアプリケーション内や再利用可能な知識として利用できるようにします。また、セキュリティやリテンション設定により、コンテンツのライフサイクルを管理することも可能です。

たとえば、TaylorMade Golf Company は、知的財産管理や特許出願のための電子メールや添付ファイルなどの文書を整理して安全に管理するための、総合的文書管理システムとして Microsoft Syntex を採用しました。当時は、同社の弁護士が手作業でこれらのコンテンツを管理し、後に共有・処理するために何時間もかけて書類をファイリングし、移動していました。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( モデルカーからコンテンツ処理まで: ブランド企業が生産性と創造性の向上にマイクロソフトの AI を活用 - News Center Japan - Microsoft News )
https://ift.tt/NYwEZ82

Tuesday, October 11, 2022

ウォルマート、アプリ更新の焦点はパーソナライゼーション:「顧客の購買行動を常に注視している」 - DIGIDAY[日本版]

tahupedascabe.blogspot.com

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります

ウォルマート(Walmart)は、最新の技術的なアップグレードにおいて、引き続きパーソナライゼーションを最前線に置いている。

同社は9月13日、自社のアプリとウェブサイトを更新すると発表した。この更新には、特定の衣服にマッチする靴、バッグ、アクセサリーを勧めるなど、コーディネートを完成させることができるスタイリング機能が含まれている。また、ギフトレジストリをリストを作成・共有する機能や、他人にEBT対象商品を表示するをフィルタの機能も追加されている。その数日後には、バーチャル試着機能を拡張し、利用者が自分のスマートフォンを使用して、服を着た姿がどのように見えるかを確認できるようにした。


ウェブサイトとアプリのアップデートを説明する動画(ウォルマート)

急速に変化する顧客の需要

大手小売業者であるウォルマートは、利用者がより自信をもって買い物でき、より簡単にショッピングを行えるようにする試みとして、カスタマイズを中心とするテック機能に重点を置いてきた。これらの更新は買い物客の要求が急速に進化したことに対応したものだと、専門家は述べている。同社は、買い物客の個別の好みに合わせてショッピング体験を提供できるようにすることで、急速に変化していく顧客の需要により的確に応じられるようになることを期待している。

ウォルマートeコマース(Walmart eCommerce)のサイトエクスペリエンス担当シニアバイスプレジデントを務めるブロック・メッキール氏は、次のように米モダンリテールに語った。「パーソナライゼーションすることによって、顧客が誰なのか、何を購入しようとしているのかが判明するため、顧客の意思決定を絞り込むことができる。当社は顧客についてよく理解している」。

ウォルマートは、最近の決算発表レポートで、米国部門の在庫が第2四半期に前年と比べて26%増加したと発表した。この増加は、顧客の要求の不一致が一因であるといわれている。結果として、この四半期に同社の営業収入は6.8%減少し、69億ドル(約9870億円)になった。

メッキール氏は、アパレルはパーソナライゼーション可能な機会が多く存在するカテゴリーのひとつだとし、ウォルマートが昨年買収した仮想試着プラットフォームのジーキット(Zeekit)の拡大もそれを目的としていると語る。しかし、ウォルマートが注力しているカテゴリーはアパレルだけではない。6月には、特定の家具や屋内装飾の商品が自宅内でどのように見えるかを確認できるアプリベースのAR機能をリリースした。食料品の分野でも、商品をスキャンして、そのアイテムが自分の食事の好みと合致しているかどうかを調べることができるオンラインおよびアプリ内ツールを1月にリリースした。

メッキール氏は、このサイトの更新が、顧客やウォルマートの提携企業からのフィードバック、さらにウォルマート自身の顧客に対する観察から得られたものだという。同氏は次のように述べている。「当社は、顧客のショッピングの行動を常に注視している。顧客が商品を見つけやすくし、顧客が探しているものを見つけ、適切な品揃え、最良の価格を提示できるようにしたいのだ」。

メッキール氏は、これらの新しいプログラムで達成をめざしている特定のKPIを明かしていないが、これらの新しいテック機能を追加することによって、利用者との信頼を築き上げ、繰り返し購入を促進することに期待していると語る。

「パーソナライゼーション」各社の動き

近年において、小売業者は個別の利用者について、それらの利用者がどこでショッピングを行うかにかかわらず、ショッピングエクスペリエンスをパーソナライズ化するための作業を行ってきた。男性用ボディケアブランドのヒューロン(Huron)は、買い物客が好きな商品の組み合わせをカートに入れ、一定額以上の買い物をすればインセンティブが得られる「ビルド・ユア・オン・バンドル(自分用のバンドルを作る)」機能を提供している。ジェイシーペニー(JCPenney)は人工知能の機能を提供する計画を9月に発表し、顧客がメイクアップを仮想でテストし、特別にカスタマイズされたスキンケアの助言を受けることができるようにするとしている。

カスタマーエクスペリエンス・プラットフォームのエンプリファイ(Emplifi)の最高エクスペリエンス責任者を務めるシェリー・ホルンハーゲン氏は、AR技術などショッピングエクスペリエンスのパーソナライズ化に役立つツールは、返品を減らすための手段となり、小売業者の収益改善にも貢献すると語る。同氏は、顧客が買い物に満足すれば、返品する可能性は少なくなると語る。スナップ(Snap)とピュブリシスメディア(Publicis Media)によって行われたアルターエージェンツ(Alter Agents)の調査によると、回答者の80%はARを使用して購入したものについて、より自信をもって購入できたと回答している。

ホルンハーゲン氏は次のように述べている。「消費者の観点からは、ブランドに共感できることが重要だ。ブランドが自分との一体感のため多くのことを行っていると感じることができれば、それはブランドに対するロイヤルティとロイヤルティのあるファンベースを構築することになる」。

ウォルマートは店舗でも、ショッピングにさらにパーソナライズ化されたタッチを付け加えることを検討している。同社は6月、顧客が商品情報を見る方法をパーソナライズできるARツールを開発していると明かした。たとえば、顧客に食事制限がある場合、食品の原材料をすばやく絞り込むことができるという。

投資に見合うか

しかし、高度なパーソナライゼーションが期待に応えることができるとは限らない。オムニコン・コマース・グループ(Omnicom Commerce Group)のコマース担当シニアバイスプレジデントを務めるブライアン・ギルデンバーグ氏は、小売業者が非常に多くの時間とエネルギーを費やした結果、見返りがほとんど得られないというリスクを冒している可能性があると語る。「ウォルマートが顧客に対して持っている情報は、高度な自動化を使用しなければ、有意義な方法で収益化することは困難だ」と、同氏は述べる。

それでも、ウォルマートのメッキール氏は、同社が近い将来、このような投資をすぐに減らすことは計画していないと語っている。

メッキール氏は次のように述べている。「当社は顧客に耳を傾け続ける。常に顧客を意思決定の中核に置き続け、顧客に従って特長や機能の導入を優先すれば、顧客が当社から期待しているものを提供し続けることができるだろう」。

[原文:‘We’re constantly looking at the customer shopping behaviors’: Walmart hones in on personalization in latest round of tech updates]

MARIA MONTEROS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( ウォルマート、アプリ更新の焦点はパーソナライゼーション:「顧客の購買行動を常に注視している」 - DIGIDAY[日本版] )
https://ift.tt/c1AjGYm

Monday, October 10, 2022

2022年度第6週目レビュー【随時更新中】 - ANY GIVEN SATURDAY - Any Given Saturday

tahupedascabe.blogspot.com

2022年度第シーズンも第6週目を終え、いよいよレギュラーシーズンの半分を終えたことになります。開幕時の全米ランキングで顔を連ねていた面々と比べるとトップチーム以外は結構顔ぶれが変わっているように思えます。今後もさらにそういったチーム同士の対戦が待っており、その結果次第でランキングの様子はどんどん変化していきます。

そんな中行われた第6週目のカレッジフットボールでも引き続きトップを狙うチームたちのサバイバルゲームが繰り広げられました。あるチームは生き残り、またあるチームは敗れて戦線から離脱・・・。今後もこのフィルタリングが続いていくわけですが、今回ここではこの第6週目に行われた試合の中から特に気になったランカーチームの行方を追いかけてみたいと思います。

#17テキサスクリスチャン大38、#19カンザス大31

今季ここまで無敗同士でBig 12カンファレンスに所属するチーム同士の戦い。特に2009年以来勝ち越しから遠ざかってながら今季開幕後5連勝を飾って全米ランキングにも登場したカンザス大は全米中の注目を浴びていますが、その証拠に米スポーツ専門局「ESPN」の名物プリゲームショーである「College Gameday」もわざわざカンザス大キャンパスにやってきて試合前の生放送を行っていました。

どちらも先週まではランク外チームだったわけですが、そんな話題の2チームのマッチアップはただ話題を振りまくだけのものではなく、実際の試合自体もその期待を裏切らないすばらしいものになりました。

テキサスクリスチャン大(TCU)はQBマックス・ドゥーガン(Max Duggan)、カンザス大はQBジェイロン・ダニエルズ(Jalon Daniels)という走って投げれる選手に率いられるチーム。果たしてどちらのチームがより多くのスコアを奪えるのかに注目が集まりました。

ただそのダニエルズは第1Q後半に肩に怪我を負ってしまい途中退場。彼の代わりには昨年までチームの先発QBだったジェイソン・ビーン(Jason Bean)が登場しますが、ここまでのカンザス大の快進撃を支える一人だったダニエルズの退場でカンザス大には早くもピンチが訪れたかと思われました。

ただ、予想外にこのビーンが大活躍。ダニエルズが退いたあとに4つのTDパスを成功させるなどして得点を重ねていくTCUと点の取り合いを演じます。この2チームは最後まで見ごたえのあるガチンコ勝負を繰り広げたのでした。

その激戦を制したのはTCU。31対31のタイスコアで迎えた試合大詰め、残り時間4分を切ったところで攻撃権を得たTCUはドゥーガンとRBケンドル・ミラー(Kendre Miller)のランでカンザス大陣内を急襲。そして最後はドゥーガンからWRクエンティン・ジョンストン(Quentin Johnston)へのここしかないという針の糸を通すかのようなパスをエンドゾーンで決めて勝ち越し。これが決勝点となってTCUが無敗を守り、カンザス大についに今季初の黒星が付きました。

カンザス大はオフェンスの面でTCUに見劣りすることはありませんでしたが、試合前から懸念されていたとおり、ディフェンシブバックフィールドでのTCUのスキルポジョションプレーヤーたちとのマッチアップで劣勢を強いられているように見えました。ミドルレンジに放り込まれたパスを受けたレシーバー陣をあと少しでも止められていたらまた結果は代わっていたのかもしれません。

とはいえ、スピード感あふれるオフェンスを擁するTCUと互角に戦えたことからも、今年のカンザス大がマグレで開幕後5連勝をかざったのではないことが証明されたと思います。そしてそんなチームを後押しするために集まった超満員のファンたちは負けたとはいえ大健闘した選手たちに惜しみない拍手を送っていました。なかなかカレッジの世界でも見ることのないこのシーンには胸を熱くされましたね。


#1アラバマ大24、テキサスA&M大20

開幕前のオフシーズンに監督同士の場外喧嘩があったことで前々から何かと注目を集めていたこのマッチアップ。しかしながらその監督同士がある意味仲直りし、しかもテキサスA&M大が苦戦していたため、いざ試合を迎えるにあたりその注目度は減ってしまっていたのですが、蓋を開けてみれば大接戦となり最後の最後まで試合の行方がわからないという手に汗握る展開になりました。

アラバマ大はエースQBブライス・ヤング(Bryce Young)が前戦のアーカンソー大との試合で右肩を地面に強打し途中退場。そしてこのテキサスA&M大戦にも欠場ということで、先発を任されたのはジェイレン・ミルロー(Jalen Milroe)でした。

元々テキサス大行きを公言していたものの心変わりしてアラバマ大に進学した1年生のミルローはアーカンソー大戦でも見せた通りどちらかというと走るタイプのQB。しかも早い上にムキムキで(笑)ヤングが先発時のオフェンスと比べてどうなるかに興味がそそられましたが・・・。

さすが初先発ゲームということもあったのか、パサーとしてはポケット内でターゲットを探す時間が長く判断が遅れてスクランブルする場面が多くみられ、その結果2つもファンブルを犯すという失態。しかもその2つとも相手に得点に結びつけられるという最悪な結果となり、さらにはパスINTも記録してアラバマ大は思ったよりもボールを動かせませんでした。

ただ、ディフェンスが踏ん張って相手QBヘインズ・キング(Haynes King)に度重なるプレッシャーを浴びせ、相手の3rdダウンコンバージョンを17回中5回しか許さなずオフェンスのスコアリングを待ちます。その中心人物となったのがLBウィル・アンダーソン・Jr(Will Anderson Jr)。この日はQBサックこそ記録しなかったものの、QBハリーが脅威の8個と相変わらずの実力を見せていました。

試合の方は後半攻めあぐむアラバマ大に対してテキサスA&M大が2つのFGで24対20と点差を詰め、試合残り時間4分を切ったところで攻撃権を得たアラバマ大がとどめの点を入れたいところでしたが、自陣奥深くでの3連続ランプレーで1stダウンが奪えず残り時間2分を切ったところでテキサスA&M大は絶好のチャンスを手に入れます。

自陣29ヤードからの最後のドライブを敢行したテキサスA&M大は途中1年生WRイヴァン・スチュワート(Evan Stewart)の2つの好プレーでアラバマ大陣内レッドゾーンへ一気に攻め込みます。

そして試合は最終局面。残り時間10秒を切ったところでテキサスA&M大のQBキングがエンドゾーンへパスを放るもDBジョーダン・バトル(Jordan Battle)がインターセプト。これで試合が終わったかに思われましたが、ディフェンシブホールディングの反則が取られてテキサスA&M大は残り3秒で2ヤードラインからという最後のチャンスを得ます。

TDで逆転勝利となるところでしたが、キングが右側エンドゾーンへ放ったパスはオフターゲットでインコンプリート。そのまま試合終了となり、テキサスA&M大の2年連続アップセットの希望は潰えアラバマ大がかろうじて勝利を手に入れました。

アラバマ大はやはりこの試合でQBヤングの欠場が大きく響きました。ミルローとのパフォーマンスの差は明らかでヤングがいたらアラバマ大ももう少し楽に勝てていたかもしれません。ただ同時にLBアンダーソンのディフェンス面での貢献度の大きさも際立ち、彼の凄さを再確認するにはいいゲームとなりました。

負けたテキサスA&M大は先発の座を剥奪されていたキングが局面で非凡な才能を見せ、また1年生WRスチュワートはこの日106ヤードといい数字を残しスキルポジションで火力の無さが指摘されていたチームに一筋の光を見出してくれました。こういった試合展開を見せることができるテキサスA&M大ですが、それがコンスタントに出てこないところが彼らの課題だと言えそうです。

#2ジョージア大42、アーバン大10

深南部最古のライバリー(Deep South’s Oldest Rivalry)」という別称を持つこの著名なライバルゲーム。今年で127回目を迎える対決となったこの試合ですが、スコアからも分かるとおり全米2位のジョージア大の圧勝で幕を閉じました。

ファーストダウン数、3rd/4thダウンコンバージョン、パスヤード、ランヤード、ペナルティー、ボール所有時間、どれをとってもジョージア大アーバン大を圧倒。トップ2のQB(T.J.フィンリーザック・カルザダ)を怪我で欠く中で登場した3枚目のQBロビー・アシュフォード(Robby Ashford)には全米トップレベルのディフェンスは荷が重すぎました。

ジョージア大はパスオフェンスにおいては208ヤードと並のプロダクション(ゼロTD)でしたが、292ヤードをグラウンドアタックで稼ぎ、さらに前述の強力オフェンスをしてアーバン大を封じ込めるのには十分でした。

アーバン大はこれで3勝3敗(SEC戦は1勝2敗)。今季2シーズン目ながら既に去就問題に発展しているブライアン・ハーシン(Bryan Harshin)監督ですが、強敵のジョージア大が相手でありQBが手薄であることはあったとしても、完敗続きで後が無いのは紛れもない事実。あとは奇跡でも起きない限り話の論点はハーシン監督が解雇されるかどうか、ではなくハーシン監督がいつ解雇されるか、に絞られて来そうです・・・。

#3オハイオ州立大49、ミシガン州立大20

全米3位のオハイオ州立大ミシガン州立大キャンパスに乗り込んだこの試合は大方の予想通りオハイオ州立大が49対20とダブルスコア以上の差をつけて圧勝。力の差をアウェーで見せつけました。

前半から飛ばすオハイオ州立大はハーフタイムの時点で35対13とリードをつけ、その勢いは第3Qも止まらずにさらに2つのTDを記録して大勝。QB C.J.ストラウド(C.J. Stroud)が361ヤードに6TDを獲得。この6TDはオハイオ州立大において1試合での最多TD数。また大学生涯通算TD数が64個となり、現在シカゴベアーズに所属するジャスティン・フィールズ(Justin Fields)を抜いて2位に躍り出ました(1位は104個のJ.T.バレット)。

また偉大なる父マーヴィン・ハリソン(Marvin Harrison)の実子であるマーヴィン・ハリソン・Jr(Marvin Harrison Jr)も大活躍。キャッチ数が7回でトータルで118ヤードに3TD。特に3つ目のTDキャッチは目を疑うほどのスーパーレシーブでした。

一方のミシガン州立大は攻守ともにオハイオ州立大に対抗する術を持ち合わせておらず、昨年の躍進で盛り上がっていたモメンタムは完全に消し去られてしまいました。その証拠にミシガン州立大のホームゲームなのに

ファンにも既に愛想をつかれたのか・・・?

#4ミシガン大31、インディアナ大10

全米4位のミシガン大は敵地でインディアナ大と対戦しこれを31対10で撃破。連勝記録を6に伸ばしました。

立ち上がりはスローなスタートで前半は10対10と同点。思いのほかインディアナ大ディフェンスがミシガン大オフェンスを止めることに成功し、ミシガン大は歯切れの悪い展開に追われますが、後半になるとインディアナ大のディフェンス陣が息切れを始め、それに合わすようにQB J.J.マッカーシー(J.J. McCarthy)の3つのTDパスが決まってインディアナ大を突き放し、終わってみれば21点差で快勝を収めました。

この試合ではチームの元スターRBでRBコーチを務めているマイク・ハート(Mike Hart)氏がサイドラインでてんかんを引き起こして卒倒。急遽救急チームが彼をストレッチャーで病院へ搬送するというシーンもありました。

幸い大ごとにはならなかったようですが、前半スローになったのは少なからずこのことが影響していたのかもしれませんね。そしてRBブレイク・カーラム(Blake Corum)は自身のポジションコーチのためにも、と思ったのかどうかはわかりませんがこの日は124ヤードに1TDの激走を見せていました。

#5クレムソン大31、ボストンカレッジ3

全米5位のクレムソン大ボストンカレッジと対決。立ち上がりこそボストンカレッジとどんぐりの背比べを続けましたが、前半終了間際にRBウィル・シプリー(Will Shipley)の1ヤードTDランが決まると後半はそのままの流れで21連続得点。最終的には31対3とボストンカレッジを寄せ付けずに彼らも無敗を守りました。

先週のノースカロライナ州立大戦でもクレムソン大は前半僅差のスコアに甘んじるなどスタートダッシュが苦手なようですが、大きなミスをしないオフェンス(QBのD.J.ウイアンガラレイは1INTを犯しはしましたが)と強固なディフェンスがジリジリと相手を追い詰めていくという展開は変わらないようです。

オフシーズンにはOCだったトニー・エリオット氏(バージニア大監督に就任)、DCだったブレント・ヴェナブルズ氏(オクラホマ大監督に就任)を失い、代わりにOCブランドン・ストリーター(Brandon Streeter)氏とDCウェス・グッドウィン(Wes Goodwin)氏を内部で昇格させましたが、クレムソン大は快進撃を続け一方でエリオット氏とヴェナブルズ氏がそれぞれの新チームで苦戦しているのは皮肉なものです。

#6サザンカリフォルニア大30、ワシントン州立大14

全米6位のサザンカリフォルニア大ワシントン州立大とのPac-12カンファレンス戦に挑み、これを30対14で制しましたが、彼らもまた相手を突き放すまで時間がかかりました。

今季調子のいいワシントン州立大は試合前からサザンカリフォルニア大に太刀打ちできるだけの力を持っていると思っていましたが、その通り前半には一時彼らがリードを奪うなどし、前半はサザンカリフォルニア大が17対14の僅差のリードで折り返します。

しかし後半になるとようやくリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督およびQBケイレブ・ウィリアムス(Caleb Williams)のオフェンスが目を覚ましボールを動かし始めます。第3QにウィリアムスからWRマリオ・ウィリアムス(Mario Williams)への24ヤードパスが決まり、さらに2つのFGを決めてワシントン州立大を突き放し勝利を収めました。

ちなみにこの2人はオクラホマ大時代のチームメイト。ライリー監督がサザンカリフォルニア大に移籍した際に後を追ってついてきた選手たち。オクラホマ大が失墜する中(後述)、そのオクラホマ大から移ってきた選手やコーチを中心にサザンカリフォルニア大が躍進しているのを見るのはなんとも残酷な現実といえます。

#8テネシー大40、#25ルイジアナ州立大13

今季ここまで絶好調の全米8位テネシー大が先週今季初めてランクインしてきた全米25位のルイジアナ州立大と対決。SEC(サウスイースタンカンファレンス)内の大御所同士の対決としてある程度の注目は浴びていましたが、試合の方はテネシー大が圧勝。敵地だというのに彼らのアイコニックな曲である「ロッキートップ」が鳴り響き続けていました。

今年2年目となるジョシュ・ハイペル(Josh Haupel)監督の織りなすハイテンポのRPOアタックはこの日も健在。それを率いるQBヘンドン・フッカー(Hendon Hooker)は239ヤードに2TDのパス、56ヤードのランを記録。また彼からのハンドオフの受け手となるRBジャバリ・スモール(Jabari Small)は127ヤードのランに2TD。そして元5つ星のWRブルー・マッコイ(Bru McCoy)は自身ベストとなる140ヤードのレシーブを記録しました。

マッコイはかつてサザンカリフォルニア大→テキサス大→サザンカリフォルニア大と渡り歩き、サザンカリフォルニア大で問題を起こして無期限謹慎処分に処され、その後テネシー大にやってきた選手。一つの場所に定まることができない人物というレッテルを貼られていましたが、ようやくテネシー大という落ち着ける場所を見つけて才能を発揮しています。

ルイジアナ州立大はQBジェイデン・ダニエルズ(Jayden Daniels)が奮闘するもラインプレーでテネシー大に圧倒され、ダニエルズが300ヤード以上のパスを投げるものの、得点につながったのはスターWRケイション・ブーテ(Kayshon Boutte)へのTDのみ。ディフェンスはテネシー大選手たちを全くもってタックルできずにやられ放題。今季初陣となっているブライアン・ケリー(Brian Kelly)監督の色に染まるまではまだ時間がかかりそうです。(染まる日が来るのかな?)

テネシー大はこれで5勝無敗。これ以上な状態でいよいよ次戦のライバリーであるアラバマ大戦を迎えます。

(続く)

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 2022年度第6週目レビュー【随時更新中】 - ANY GIVEN SATURDAY - Any Given Saturday )
https://ift.tt/Rj6v1AW

Thursday, October 6, 2022

まだUnityはゲーム制作を重視しているのか? - GamesIndustry.biz Japan Edition

tahupedascabe.blogspot.com ironSourceとの取引を控え,CEOのJohn Riccitiello氏がUnityの未来や損失の歴史,レイオフに続いた自社株買いについて語る
まだUnityはゲーム制作を重視しているのか?

 多くの人々はまだUnityを単なるゲームエンジンメーカーだと考えている。これは技術的には正しい説明だが,同社のビジネスに対して偏った印象を与えてしまう危険性がある。

 ゲーム制作に必要な基本ツールを含むUnityのCreate Solutions部門は,エンゲージメント,マネタイズ,ユーザー獲得に重点を置くOperate Solutions部門よりも,実は会社の中で小さい割合だ。そして,それは以前からそうだった。

 このことは,ゲームをビジネスよりもアートとして考えたい開発者に不安を与え,その不安はUnityがアプリ収益化プラットフォームironSourceと合併する計画を発表し(関連英文記事),CEOのJohn Riccitiello氏が収益化を気にしない開発者の知的能力について発言したこと(関連英文記事)で深刻化した。(彼は後にこの発言について謝罪している)

 GamesIndustry.bizの取材に対して,Riccitiello氏は会社の規模が収益化に大きく傾き,制作から遠ざかっているわけではないことを伝え,開発者を安心させようとしている。近年,Operate Solutions部門の収益が,Create Solutions部門の収益の2倍になることが多く,ironSourceがそれを悪化させそうだとしても,Riccitiello氏は同社のビジネスの両サイドは“ほぼ均等に”進行する見込みであると語る。

「開発者の中には,ゲームを作ることだけを考えている人もいると思いますが,ライブゲームのパブリッシングと運用という複雑な迷宮を経験した人なら,それ以上のものがあることを知っています」

 同氏は,Createサイドの事業は“当社のリソースの大部分が割り当てられた場所”であり,今年はOperate部門の収益よりも速いペースで成長していると語った。(今年の第2四半期,Create部門の収益は前年同期比66%増の1億2100万ドル,Operate部門の収益は13%減の1億5900万ドルだ)

 ironSourceが格差を広げることについて,Riccitiello氏はironSourceの事業の大部分はOperateサイドの事業にうまく合わないパブリッシングであるという。

 「広告ネットワークだけでなく,クリエイターがゲームを世に出すためのツールとして,もう少し活用できるのではないかと考えています」とRiccitiello氏は語る。「そのほかにも,彼らが提供するサービスはCreateサイドとより密接な関係にあると捉えています」

 また,書類上は収益をCreateかOperateのどちらかに帰属させる必要があるにせよ,Riccitiello氏は片方がゲームを作る場所,もう一方が収益化する場所というように,明確に分かれているとは考えていないようだ。Operateサイドはアプリ内課金と広告のほか,ホスティング,マッチメイキング,有害ユーザー対策のチャットフィルタリングなどのツールを提供するという。

 「開発者の中には,ゲームを作ることだけを考えている人もいると思いますが,ライブゲームのパブリッシングと運用という複雑な迷宮を経験した人なら,それ以上のものがあることを知っています」と,Riccitiello氏はいう。「ですから当社の使命とビジョンは,ホスティングから音声,マルチプレイヤーマッチメイキング,アナリティクス,適切な場合はマネタイズまで,あらゆる問題に真っ向から取り組み,制作を支援することだと考えています」

 「ironSourceの背後にあるビジョンは,ironSourceの持っているパブリッシングツールが,開発者にABテストや他の形式のテストよりも優れたフィードバックを与え,より人々に愛される製品を作れるよう助けることです。そして開発者はそれを使うことも使わないこともできます」と,同氏は付け加える。

ゲームへのこだわりは全くないのか?


Unityクライアント「Vectual」が都市計画用にパリをゲームエンジンで再現
まだUnityはゲーム制作を重視しているのか?

 Unityがゲーム制作よりもマネタイズに重点を置いているという開発者の懸念は解消されるかもしれないが,ゲームではないものに重点を置いているという点についてはどうだろうか?

 第2四半期の収益報告書で,Unityは“業界や地域を問わずゲーム外のビジネスを加速させた”ことを重要な成果の1つとし,防衛関連企業のCACIや,自動車メーカーのメルセデス・ベンツを主な顧客として挙げた。ゲーム業界以外の会社からの収益は,わずか6か月前の33%から,当四半期には40%を占めるまで増加したという。

 Riccitiello氏は,Unreal Engineを開発したEpic Gamesがゲームだけに注力しているわけではなく,建築,エンジニアリング,建設業界向けのサービスを強化するために,Autodeskとの提携を発表したばかりであることを指摘する。また,タンパク質フォールディング,核融合,交通管理など他業界で開発されたシミュレーションをゲームに再採用し,それらの世界をよりダイナミックに表現することに対する需要は大きいと付け加えた。

「何度も何度も,当社が学び,経験していることは,ゲーム以外の仕事をすることがゲームの仕事を向上させることです」

 「はい,当社はゲーム以外のビジネスがあります」とRiccitiello氏はいう。

 「はい,それらは収益を生み出します。そのおかげで,当社はより健全な企業になり,ゲームにもっと投資したいと思った時に投資できるようになります。しかし,当社の技術に対する理解を深め,より良いゲームエンジンを作ることにも繋がるのです」

 同氏は,プロアスリートが本業のスポーツのパフォーマンスを上げるために有酸素運動をするのと同じだと例える。

 「何度も何度も,当社が学び,経験していることは,ゲーム以外の仕事をすることがレンダリングを向上させることです」と,Riccitiello氏はいう。「物理演算,ライティング,UI,UX,特定の問題を解決しようとするクリエイターのためのワークフローを改善できます。これらはゲーム業界を助けます」

 「私も当社やEpicのような会社が,ゲーム以外の仕事をする時,ゲームにあまり集中していない世界を想像します。しかし。それはラファエル・ナダルが身体のパフォーマンスを向上させるために筋力トレーニングをする時,テニスに集中していないというようなものです。それは,真に正しい考え方ではありません」

株価の低迷


Unityの株価はこの1年で打撃を受けた(チャートはYahoo Financeによるもの)
まだUnityはゲーム制作を重視しているのか?

 Unityの株価は,ピークとなった11月の210ドルから約84%下落し,2020年9月のIPOから40%近く下落した32ドル前後で取引されている。ゲーム分野全体で,この1年多くの企業が下落に見舞われているが,Unityの下落の度合いから,Riccitiello氏がどのように考えているのかを聞いた。

 「私は株式市場のアナリストではありませんが,投資家との対話に多くの時間を費やしています」とRiccitiello氏は語る。「知るべきことの1つは,ゲーム業界とテクノロジー企業では,取引が全く異なるということです」

 ゲーム会社は通常,企業価値(負債と手元資金を考慮した発行済み株式の累積価格)が年間収益の5,6倍になるような価格で取引されているという。11月のピーク時,Unityは収益の約50倍の企業価値で取引されていた。

「なぜあれほど高く取引されたのか,なぜこれほど低く取引されるのか,いつも分かりません」

 「なぜあれほど高く取引されたのか,なぜこれほど低く取引されるのか,いつも分かりません」と,Riccitiello氏は語る。「しかし,当社はゲーム会社ではありません。当社は,他のハイテク企業とともに取引しており,一緒に上場した企業に対して,信じられないかもしれませんが,かなりの金額で上回っています」

 同氏は,投資家にとって慰めにならないことを理解しているが,株式市場にとって例外的に難しい1年であったという。

 「私は世界経済が復活し,株価が上昇することを信じています。しかし,上から下までの何百ものハイテク企業を見れば,当社が中くらいであることが分かるでしょう」と,Riccitiello氏はいう。「また,当社より6か月前,6か月後に上場した企業との比較でも平均を上回るパフォーマンスを示しています。当社は,ゲームを作っているわけではないのでゲーム会社と比較することは間違っています。当社はSaaSと比例収益型ビジネスを融合させた企業なのです」

黒字化への転換


 Unityは,2004年に設立されたにもかかわらず,まだ黒字の四半期を経験していない。Riccitiello氏は2014年からしか指揮をとっていないが,それでも長い間の赤字経営が続く戦略について聞くには十分な時間だ。

 同氏はまず,Unityの頃にIPOした企業のうち,利益を出していたのは10%程度であったことを述べ,それが一般的な現象であることを指摘する。

 「当社が2021年と2019年を通して行ったように,40%の成長を報告しても利益を出している企業はほとんどありません」と,Riccitiello氏はいう。「重い,重い成長を支えるために雇用しているからです。金融市場はそれを理解しており,極端な成長段階にある企業は採算が取れず,時間をかけてどんどん利益をあげ,収支が均衡し,収益性を高めていくと予想しています。これはまさに,当社がS-1(IPO前の申請書)で説明したことであり,実際にやってきたことなのです」

「当社は,4〜5年ごとに製品をリリースする永久ライセンスビジネスで,なかなか製品が良くならなかったです」

 「私がUnityに入社した最初の頃までさかのぼると,こんな風に考えられます」と,Riccitiello氏はいう。「当社は,4〜5年ごとに製品をリリースする永久ライセンスビジネスで,なかなか製品が良くならなかったです。素晴らしい製品で,インディーズに愛されていましたが,トップ500に入ったタイトルはゼロでした。つまり,当時の重要なゲームのほとんどはUnityで作られていなかったのです」

 Riccitiello氏によると,同氏の指揮の下,UnityはSaaSモデルへ移行し,ゲーム分野の研究開発費を4年間毎年2倍にし,年間研究開発費は合計16倍になったとのことだ。また,広告ビジネスを立ち上げ,Createサイドへの投資による損失を補うために第2の収入源を確立し,会社を新しい産業へと導いたという。
 
 「当社は,ゲームが主要なメディアになった世界では,リアルタイム3Dがゲーム業界の外に出て,ゲーム業界を強化する強みになると考え,これが市場に最も貢献できる正しい方法だと思い,そのパターンをほぼ踏襲しました」と,Riccitiello氏は語る。

 同氏によると,この動きの結果としてUnityのマーケットシェアは,10%台前半から70%以上になり,コンソールでは“ほとんど存在しない”状態から,プラットフォームによって30%から70%の間になったという。

 「利益を出すべきですか?そうかもしれませんが,それでは今のような形で業界に貢献することはできません。マーケットシェアも伸びなかったでしょう。マーケットシェアといっても,私が見ているのは,以前はいなかった何千人もの開発者の業界への参入で,当社がそれを可能にしているのです」

 「ゲーム業界人が何かを望むとしたら,それはゲーム業界に利益をもたらすために,収益の伸びを上回る投資を続けるということだと思います。長年そうしてきましたが,研究開発費を相殺するほど収益が成長し,損益分岐点に到達できる規模になりました」

 同氏は,投資家に対して,2023年に利益を計上する計画であると語っており,予想よりも早くその目標に達する可能性もあるという。

レイオフと自社株買い



 最後に,6月に発表された全社員の約4%,約200名のレイオフ(関連英文記事)について尋ねた。同氏はすぐに,これらの従業員には当社の他の求人に応募する機会が与えられ,その結果,影響を受けた従業員の4分の3が新たな立場で働き続けることになった,と指摘した。

 また,「やるべきことに集中するために,うまくいっていないプロジェクトをいくつか停止しました」と,今後のロードマップを示した一連のブログ(外部リンク)を紹介した。

 「リソースの配分を考えると,計画したことが100%うまくいかないということも起こりうるんです」と同氏はいう。「スキーにちょっと似ていますね。たまには転ばないと,新しいことに挑戦していないので上達しないのでしょう。当社が取り組んでいることの約4%は,当社が行くべきところに効果的に到達できていないと感じていました」

 また,Unityの平均勤続年数は6〜7年と,他のハイテク企業と比べてかなり低いとのことだ。

 「私はどの会社にも,すべてが機能しなければならず,仕事が終わってはならないという基準を課すつもりはありません」と,Riccitiello氏は語る。「それは連邦政府のようなもので,結局は肥大化しますが,巨大企業にはなりたくありません。私は,当社がシャープかつスマートに,顧客のためになることに集中することを望みます」

 レイオフを踏まえて,そのわずか1か月後にironSourceの買収にあわせて25億ドルの自社株買いを開始した判断についても尋ねた。

 Riccitiello氏は,この2つの行動は無関係であると強調する。

当社は大型合併を発表しました。当社が買収した会社は多額の現金を持っています。当社にも多額の現金があります。当社の株式が希薄化しないことを強く望んでいる投資家がいるのです。

 「当社は配置転換により1%をレイオフしました」と,同氏はいう。「特に不況に直面している際に,それが異常だと考えるのは,現実離れしているでしょう。現実には何千という企業が,顧客のため,そして率直に言って会社で働く人々のためにこのような調整をしているのです。だから私はそれが真実だと信じています」

 「2つ目の問題は,大型合併を発表したことです。当社が買収した会社は多額の現金を持っています。当社にも多額の現金があります。当社の株式が希薄化しないことを強く望んでいる投資家がいるのです。全株式の取引で,従業員が所有する株式は合併によって26.5%希釈されることになり,大きな問題です。当社は発行済み株式の大部分を買い戻すことができたので,20%台ではなく10%台の希薄化になっています」

 「当社が1%の雇用を削減したのは,損益計算をするためではありません。エネルギーを集中させるためです。多くの物事と同様に
,両親があなたに野菜を食べるようにいうのは,あなたを罰するためではありません。両親は,あなたがより良く,より栄養のある人間になるためにいうのです。これにはもう1つ,本当の話があります。とてもシンプルです。当社は顧客のニーズを満たすため,良い会社がすることをしたのです」

 同氏は続けた。「他の大企業と合併することは,常に希薄化するものです。その希薄化を最小限にしたいのは,Unity社員が全員株式を保有していることもあり,彼らが報酬制度を通じて付与された当社の株式への投資をより価値のあるものにし,今回行ったM&Aで希釈させたくないからなのです。はい,それらはすべて連綿と続いているのです。誤った理解やストーリーを見つけることはいつでも簡単です。世界はそういうもので溢れています」

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( まだUnityはゲーム制作を重視しているのか? - GamesIndustry.biz Japan Edition )
https://ift.tt/ZMO9tQE